なぜコンクリートは劣化するのか…意外と知らない「複合劣化」の正体

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日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?

注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。

(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)

複合劣化

医療の世界に「合併症」という言葉があります。辞書を引くと「何かしらの疾患が原因となって発症する別の病気。もしくは、手術や検査したことが原因となって起こる病気を指す」という意味です。ここでは前者について、コンクリート構造物に置き換えて考えてみます。

【劣化の特徴】

これまでの研究で、凍結防止剤として塩が散布される道路構造物では、凍害によってコンクリート表面から徐々にはがれていく現象が促進されることが明らかになっています。中の鉄筋はコンクリート表面と鉄筋表面との距離、すなわち「かぶり」によって腐食から守られているのですが、かぶりが薄くなってしまい、より早期に塩害を引き起こすことになります。このように凍害が原因となって塩害を発症するといったことが近年問題となり、「複合劣化」と呼んでいます。

複合劣化が生じると、思っていたよりずっと早く劣化が進行してしまうため、極めて重要な問題です。凍結防止剤散布下の道路橋コンクリート床版では、凍害や塩害のみならず、外部からアルカリが供給されることに伴うアルカリシリカ反応や、交通作用の繰り返しによる疲労も複合して起こる可能性があるため特に注意が必要です。

寒冷環境にある高速道路などでは、想定以上に床版の早期劣化が進んでしまっていることから、床版の大規模更新のために特別な予算を付けて、架け替えを急ピッチでおこなっているところです。

さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。

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