なぜ?創業137年の老舗仏壇店が完全異業種「コーヒー」栽培に挑戦…社長「ムーブメントは起こっています」【岡山】
コーヒー好きの日本人
日本のコーヒー消費量は世界4位とコーヒー好きな人が多い国。ただそのコーヒー豆、99%以上は輸入に頼っていて、国産は1%以下です。
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それもそのはず、「コーヒー」は、赤道を中心に緯度にして南と北に25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域で育つ熱帯性の植物。
寒暖差が必要だったり、標高が高いところだったり、というのもありますよね。日本はというと、沖縄や小笠原諸島などでは栽培されているのですが、基本的に露地栽培は困難とされています。温室での栽培は可能ですが、燃料費などコストがかかりすぎるため、海外から安く輸入した方がいい、という流れが一般的...
そんな中、岡山県倉敷市の老舗企業がコーヒー栽培への挑戦を始めました。それもコーヒーとは無縁の意外な業種なのです。なぜ始めたのでしょうか?
日本で育つ「コーヒーの木」しかも、住宅街で
「見てもらえばわかるんですけど、濃いワインレッドっていうんですかね、コーヒーチェリー、この中にある種がいわゆる、皮をむいたりとかさしていただいたのがコーヒー豆、アラビカ種ティピカになります」
そのビニールハウスは住宅地の真ん中にあります。ハウスの中には150本ものコーヒーの木が。本来は熱帯エリアで育つものですが、こちらでは、アプリでハウス全体の状況を把握しながら、熱帯に近いコーヒー栽培に適した環境作りをしています。
今シーズンは1月に本格的な収穫作業を始め、コーヒーカップ約500杯分に当たる約50キロのコーヒーチェリーを収穫しました。このコーヒー栽培を手掛けているのが、何と…。
コーヒーを栽培する会社の正体は…
(記者)
「さっきから気になっているんですが、胸元のタグは?」
(中原三法堂商品管理部 高尾康宏さん)
「三法堂ですか?我が社が中原三法堂という会社でして、仏壇仏具を取り扱っている会社なんですけども、(コーヒー事業に)参入して3年目になります」
手掛けているのは、仏壇・仏具店なのです。創業137年、倉敷に本社を置き、岡山県と広島県東部に18店舗を展開する中原三法堂です。なかなか共通点がなさそうな「仏壇・仏具」と「コーヒー」なぜ老舗企業はコーヒー栽培に乗り出したのでしょうか?
(中原三法堂 木村謙吾社長)
「コーヒーと言えば南国ですよね…、『だからやりたかった』、だれもやったことがないことをやりたいんです、新しいことに、古い会社なんですけど、新しいことに挑戦したいというのがあったんです。本当にものを生み出すというのがどれだけ大変なのかというのを私が知りたかった。それと、130年以上地域のお客さんにお世話になってきたんで、何か恩返しができないかなって」
老舗企業として地元・倉敷に恩返し、さらには新しい挑戦もしたい。中原三法堂ではその一環として約10年前に、倉敷美観地区の店舗を、和物のアクセサリーやコスメなどを中心に扱う雑貨店に作り変えました。
未知の領域…仏具店が「コーヒー」栽培
そして、今回たどりついたのがまさに未知の領域である農業。相談を受けた岡山市の農園も驚きを隠せませんでした。
(やまこうファーム 下川惇史さん)
「いやー、さすがにびっくりしましたよね、完全に異業種ですけど、本当に異業種も異業種なので、実際にお話ししたら本気で農業っていうものに取り組みたいと、その中でコーヒーというものに、おもしろそうだと言っていただいた、そのチャレンジ精神と言いますか」
そのやまこうファーム自体もチャレンジ精神の塊です。日本で南国の植物を育ててみたいと、約15年前から熱帯植物であるパパイヤやバナナの栽培を始め、約10年前には、その成果にさらに磨きをかけ独自の方式でハウスでのコーヒー苗の栽培にも成功しました。今では、日本各地に50か所を超えるようになったハウスのコーヒー農園に苗を出荷しています。
近年、コーヒーは世界的に、地球温暖化などの影響を受け生産量が減少し、価格が高騰。2050年には、コーヒー豆栽培に適した環境が現在の半分になるとも言われています。だからこそ、今注目されている国産のコーヒー。様々な挑戦を続けてきたやまこうファームは、中原三法堂の新たな挑戦を後押ししたいのです。
(やまこうファーム 下川惇史さん)
「岡山ってところを一種のコーヒー大国といったところにしていきたいし、それが中原三法堂さんの方で、倉敷コーヒーっていうものの第一号のような形で商品化っていうのもぜひ目指して行きたい」
仏具店の挑戦…3年目で成果が
コーヒー栽培を始めて3年。中原三法堂には思わぬ成果が表れたといいます。
(中原三法堂 木村謙吾社長)
「採用の部分が大きく変わりましたね。どうしても、仏壇仏具というイメージがすごく強いですけど、その中に新たな分野をやっているとか、まったく違うこともやっているんだと、びっくりとか驚きがあるみたいで、コーヒー栽培をメインに普段業務もあるけどどうかなって、採用をかけたら採用に応じてくれた」
昨年入社した藤本さんもその一人。仏壇・仏具の商品管理とコーヒー栽培の二刀流です。
(商品管理部 藤本雄也さん)
「中原三法堂がコーヒーと仏壇仏具をされているということだったので、ぜひやりたいなというので応募しました。(最初は)ちょっと、驚きました」
(中原三法堂 商品管理部高尾康宏さん)
「僕はコーヒーがあることを知らずに就職して出会いましたね、こちらと(コーヒーと)。別でメインでやっている仕事が、いわゆるお位牌を用意したりとか、というお手伝いをさせてもらったりする業務をやっています。植物を育てるという全然違うことをしているので、やっぱりやりがいの種類も違うのかな」
軌道に乗り分かった「メリット」が
ハウスでのコーヒー栽培は、ひとたび軌道に乗ればほとんどが軽作業のため、障害者の働き場所や高齢者の再雇用先としても注目されています。人材確保にも一役買えそうなコーヒー栽培。老舗の挑戦はここからが本番です。
(中原三法堂 木村謙吾社長)
「あくまで中原三法堂は仏壇仏具がメインと考えておりますけど、でも、新しいことをどんどん会社としてやっていこうというムーブメントは起こっていますんで、岡山発のブランドを作りたいよねって話を(みんなと)一緒にしています。倉敷産です、完全、倉敷産のコーヒーです。いずれ増えて、倉敷産のコーヒーを皆さんにお届けできると思います」
中原三法堂は、今後は収穫量を増やし、カフェやキッチンカーなどの運営も視野に入れています。線香の香りとともに、コーヒーの香りも。輸送に時間もコストもかからない、地産地消のコーヒーが身近になる日が遠からずやってくるかも知れません。
