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さまざまな要因で電動化が促進

中東での戦争をきっかけとした燃料価格の高騰と、家庭用電気料金の低下により、英国では中古EVの販売が急増している。ディーラー各社がAUTOCAR UK編集部に語った。

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2月28日に米国がイランへの最初の空爆を実施して以来、原油の卸売価格は3分の1以上上昇した。これにより、英国の軽油価格は1Lあたり平均40ペンス(約84円)、ガソリン価格は20ペンス(約42円)上昇。王立自動車クラブ(RAC)によると、いずれも月間の上昇幅としては過去最高だという。生活費の高騰に苦しむ家計にさらなる圧力をかけている。


中東情勢の変化を受け、英国ではEVへの関心が急速に高まっている。

こうした価格上昇が始まって以来、EVへの感心は高まり続けている。英国最大の自動車マーケットプレイス、オートトレーダー(Autotrader)におけるEVの問い合わせ件数は、新車で28%、中古車で15%増加した。

「従来の燃料が世界情勢の影響を受けやすいと感じるようになると、EVの魅力は格段に高まります。したがって、この戦争は英国市場全体におけるEVへの関心を高める重要なきっかけとなっています」と、オートトレーダーの最高顧客責任者(CCO)であるイアン・プラマー氏は述べた。

問い合わせの数は2倍に

実際、ディーラー各社はAUTOCAR UK編集部に対し、EV販売台数の増加を伝えている。その一例が、ノース・ヨークシャーにある中古EV専門ディーラー、ブラウンズ・オブ・リッチモンド社で、問い合わせ件数は2倍に、販売台数は60%増加した。

オーナーのフレイザー・ブラウン氏は、「通常、土曜日は販売スタッフが4〜5名常駐し、同時に来店するお客様は5〜6名程度です。しかし、先週の土曜日はショールームが満員で、一日中15〜16人のお客様がドアの外で列をなしていました。全員が購入を希望していたのです」と語った。

ブラウン氏は、燃料価格高騰への懸念に加え、英国政府による家庭向けエネルギー料金(ガス・電気)の引き下げや中古車市場におけるEVの選択肢の増加といった要因が重なった「パーフェクトストーム」が、この関心の高まりを後押ししていると見ている。

「3年落ちの内燃機関車とEVの価格を比較すると、現在はEVの方が安くなっています。また、4月1日から適用されるエネルギー料金の引き下げにより、自宅での充電コストが低下しました。公共充電器における付加価値税(VAT)も20%から5%に引き下げられる見込みで、これもコスト削減につながります。ガソリンや軽油の高騰と相まって、これは転換点となっていると言えます」とブラウン氏は言う。

過去最高を記録したディーラーも

大手ディーラーグループも同様だ。中古車販売大手モーターポイント社は、3月のEV販売台数が過去最高を記録したと発表した。

同社CEOのマーク・カーペンター氏は、中古EVの価格がガソリン車やディーゼル車と同等になり、多くのモデルがより安価になったことで、購入者の関心が高まっていると述べた。


EVの販売増加は持続するだろうか?

家計が逼迫する中、次のクルマを購入する際、定価だけでなく「保険料から自動車税に至るまで、あらゆる要素が意思決定の材料となる」と予測している。

しかし、英国では過去にもEVへの関心が一時的に高まったことがあったが、必ずしも持続的な販売増加につながったわけではない。英国自動車製造販売者協会(SMMT)の統計によると、2025年の新車販売に占めるバッテリーEVの割合は23%強にとどまった。この割合は上昇すると予想されるものの、政府の目標(今年は33%)を下回っている。

持続的な販売増加を期待する声も

それでも、EVへの関心が高まっている兆候は見られる。英国を代表するEV充電サービス業者の1つであるポッド社によると、家庭用充電器に関する問い合わせが3月に59%増加したという。

CEOのメラニー・レーン氏は、この関心の高まりは充電コストや電力料金体系の変化も反映していると述べた。

「燃料価格の変動と、家庭での充電コストを削減する柔軟な電力料金プランの利用拡大が重なっている状況を見ると、電動化によって家庭のエネルギーコストをより適切に管理し、予測できるようになることが改めて分かります」

レーン氏は、これは短期的な急増にとどまらない可能性があると付け加えた。

「現在見られるのは、消費者の行動がその現実に追いつきつつあることです。業界と政府が引き続き信頼を築き、インフラに投資し、EVへの切り替えを支援していけば、この変化は一時的なものではなく、持続的なものになる可能性があります」