ただ、著名シェフを起用するだけに、簡易なキッチンなどでは対応が難しい。そこで、今回の「ブランズタワー大崎」、「ブランズタワー横浜北仲」のように、共用ラウンジに本格的なキッチンを導入した物件でのサービス提供を予定している。「大規模マンションにはキッチン付きラウンジをつくっていき、徐々に広げていく」(鮫島氏)

 東急不動産を始めとするデベロッパーは、特に大規模マンションにおいては共用部の充実を図ってきている。

 ただ、「共用部もマンション価格に入っているのにもかかわらず、使われていない場所が多い。少しでも使えるようにすることが、価値を高めることにつながる。それは他社との差別化にもつながる」(同)。

 例えば、共用ラウンジにコーヒーメーカーを置いただけで、利用率が向上した事例もあるという。「細かい工夫も、今回の新サービスのような大掛かりな仕掛けも含めて、日常の体験、日常ではないハレの日の体験を増やしていくことが顧客満足度、ひいては価値につながっていくのではないか」

 今後は食にとどまらず、享受者に対して「アート」や「スポーツ」の体験を提供するサービスを展開することを検討中。こうした体験価値の提供は、東急不動産のマンションで「新たなスタンダード」(高橋氏)にしていく計画。

 特に首都圏のマンションでは価格高騰もあり、ハード面の競争は行き着いた面もある。今後は今回のように、いかに独自のサービスを提供できるかが、選ばれるマンションになるかどうかの分かれ目になる可能性がある。

 人と人とのつながりが希薄化する現代で、改めて「コミュニティ」を構築できるか。