国際宇宙ステーション退役の後釜をねらう民間企業たち。ポストISS候補5つの企業とは
2030年、人類の宇宙進出は大きな転機を迎えます。
NASAと国際パートナーは、2030年末に国際宇宙ステーションを軌道離脱させ、大気圏で燃え尽きさせる計画を進めています。そしてISSの引退は、商業宇宙ステーション新時代の幕開けを意味しています。
すでに複数の企業が、宇宙飛行士が宇宙で生活し、働き続けられるような軌道上の研究施設やモジュール型居住空間の開発を進行中。これらの新しいステーションは、より柔軟で低コスト、そして科学研究や宇宙産業に新たな機会をもたらすと期待されているのです。
ここでは、ISSの後を担う存在として注目されている5社を紹介します。
Axiom Space(アクシオム・スペース)
NASAのLEO Destinationsプログラムを通じて開発資金1億4000万ドルを受け取り、独自の宇宙ステーション開発を進めているアクシオム・スペース。2024年2月には、民間からも3億5000万ドルの資金を調達して、ISS後継の開発を加速しました。
パートナー企業であるタレス・アレニア・スペースでは、最初のモジュールの溶接や加工が進められており、飛行用ハードウェアの初期部品も組み立てが始まっています。最初のモジュールが打ち上げられるのは2027年の予定。
このプロジェクトがユニークなのは、ISSを“足場”として使う点です。
まずISSに接続して軌道上でシステムを検証し、その後切り離して別のモジュールと合流させるのです。
ただ、それだけではフル機能の宇宙ステーションにはならないため、さらに複数のモジュールを追加する必要があるとのこと。
最終的には、居住モジュールと研究・製造モジュールが中核になり、さらに「SEE-1」と呼ばれる宇宙初のエンターテインメント施設になる可能性のあるモジュールも加わるとされています。
Vast Space(ヴァスト・スペース)
ヴァスト・スペースは、2027年の打ち上げを目指して「Haven-1」を開発中です。アクシオムはISSを足がかりにすると書きましたが、Haven-1は、最初から独立運用を前提としています。
Haven-1は最大4人の宇宙飛行士が短期間の研究や商業活動を行えるステーションで、居住区、共有スペース、そして無重力研究や製造に対応した実験室で構成されます。2024年1月にはドッキングの初期段階に進み、2027年第1四半期の打ち上げに向けて順調に進んでいると発表されました。
なお、このHaven-1は、ISS後継となる「Haven-2」への足がかりでもあります。2028年に最初のモジュールを打ち上げ、以降6か月ごとに追加していく予定。2030年までに4モジュール構成にする計画で、この段階で最大8人が滞在可能。さらに2032年には9モジュールに拡張し、最大12人の滞在を目指します。
ブルーオリジンとシエラ・スペース
ブルーオリジンとシエラ・スペースは、共同で「Orbital Reef」を開発中。これは地上約400kmに浮かぶ「複合用途型ビジネスパーク」といった位置づけです。
研究や産業、国際利用、商業利用など、幅広い用途に対応し、居住空間などの施設設備だけでなく、船内スタッフまで提供する構想なんだとか。
初期段階ではステーションを5つのモジュールで構成。中心は「コア」と呼ばれるモジュールで、ISSの約3分の1の居住空間になります。これに研究モジュールと拡張型居住モジュールが加わり、最大10人の乗員が滞在できる設計です。
このプロジェクトはLEO Destinationsプログラムから1億7200万ドルの資金を受けており、2025年には実物大モックアップを使った生活シミュレーション試験が実施されました。
Starlab Space LLC(スターラブ・スペース)
スターラブ・スペースは、ボイジャー・スペースとエアバスの合弁企業。前出のアクシオム・スペースや、ブルーオリジンとシエラ・スペースの計画と同じく、LEO Destinationsプログラムのもとで宇宙ステーションを開発しています。2026年2月にはNASAの重要な審査をクリアし、製造や試験の段階へと進みました。
Haven-1と同様にこのステーションも独立型で、推進や電力を担うサービスモジュールと居住モジュールで構成され、最大4人の宇宙飛行士を収容可能。2029年の打ち上げが予定されています。
ステーションには2種類の実験室を装備。内部ペイロードでは、生物学的研究や人間工学的研究、材料研究などが行われ、外部ペイロードではペイロードの試験および運用が行われるそうです。
Max Space(マックス・スペース)
フロリダ拠点のスタートアップであるマックス・スペースは、この分野の新興企業。2025年に「Thunderbird Station」の計画を発表し、膨張式モジュールを用いた宇宙ステーションを開発中です。
Thunderbirdは1回の打ち上げで展開される小型ステーションで、最大4人が滞在可能。軌道上で膨張し、約350立方メートルの広さを持つ空間に早替わり。
2029年の打ち上げを目標としていますが、現時点ではまだ初期段階にあり、今後の進展が注目されます。
これら5つのプロジェクトはどれもユニークなアプローチ。慣れ親しんだISSの終焉が近いのは寂しく感じますが、これらが活躍する日が近未来は純粋に楽しみです。
ちなみに、ご存知かも知れませんが、ISSはタイミングが合えば地球からでも目視できます。私はまだ見たことがないのですが、アプリを使って根気強く空を見ていれば見れるかもしれませんよ。ISSが役目を終える前にぜひ。
