"彼女は勤勉です"を英語で言うと? スラスラ出てくる人が使う「Hから始まる中学で習う副詞」
※本稿は、まんじろう『英語が口からスッと出る! 「一択」英会話』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■英会話がうまくいかないワケ
はじめまして。まんじろうです! 英会話に関する記事なので、英語でもご挨拶を。
Nice to meet you!
……さて、この場面、あなたならなんと挨拶しますか?
・It’s great to meet you. ・I’ve heard so much about you. ・I’m glad to meet you.
・It’s a pleasure to meet you. ・I’m honored to meet you.
英会話を勉強してきた人であれば、ここにあるような多くの選択肢が頭に浮かぶでしょう。しかし、これらをすべて知識として持っていても、実際の会話の場面で口からスッと出てくるかどうかは別の話ですよね。
むしろ、勉強していろいろなバリエーションを覚えれば覚えるほど、どの表現を使うか迷う場面が多くなる。結果として、相手の問いかけにスムースに返答することができず、会話が弾まない……。
知識が多すぎることが、かえって会話の妨げになってしまう。
これって、英会話を真面目に勉強している人が陥りがちな、偽らざる現実ではないでしょうか。
■知識の“ぜい肉”が会話の妨げになる
一般的には、英会話が上達するためには、勉強して知識を増やすことが必要だと思われています。よくある英会話本も「こんな言い方を知っていましたか?」「ネイティブはこんな言い方をしますよ」と、表現のバリエーションを増やすことを売りにしています。
この固定観念をひっくり返してしまいましょう。
運動やスポーツにおいて、身体に「ぜい肉」がついていると瞬発力をもって動けなくなるのと同様、無駄に増えた知識は、実際に使う際に迷いを生じさせるだけの単なる「ぜい肉」です。
そこで、英語が口からスッと出てくるようにするために、知識を「増やす」のではなく、むしろ「減らす」。もっと言えば、本当に必要なものだけに「絞る」。
これが、僕の提唱する「一択」英会話です。そして「一択」英会話は、以下の2つの原則で構成されています。
■日本語を「簡単な日本語」に言い換える
外国人にWhat is your boss like?(あなたの上司はどんな感じの人?)と聞かれたとします。
「彼女は勤勉な人です」と言いたいけど、そもそも「勤勉なんて英単語知らないぞ!」という人が多いと思います。あるいはTOEIC(L&R)で高得点の人なら頭の中ではこうなることがあるでしょう。「えっと、“勤勉”って……diligent? いや、industrious? どっちだっけ……?」
そもそも単語を知らないときも、適切な表現を瞬時に選べないときも、どっちのパターンでも英会話をちょっと「苦手」だと感じると思います。
実は、英語の「知識」に頼ろうとするとこうなるんです。
僕なら、こう考えます。「勤勉な人」をもし、小学生に説明するとしたら?「彼女は“仕事を頑張ってる”よ」。だったら英語は、こうなります。
She works hard.
これで十分にイイタイコトは伝わります。
そう、英語力じゃなくて「日本語の言い換え」がカギなんです。
■相手がノンネイティブでも通じる言い方
多くの日本人が、「日本語→英語」の変換に苦しんでいます。でもその前に大事なのは、「日本語→簡単な日本語」の変換なんです。
僕はこの考え方を、「日日(にちにち)翻訳の原則」と呼んでいます。
このプロセスを踏むだけで、英語がスッと出てくるようになります。
え? 余計なプロセスが入るほうが反応が遅くなりそうだ? いえいえ、「あの単語なんだったっけ?」と思い出そうとするよりもはるかに速いですよ。急がば回れ、なんです。
それに、相手がアメリカ人やイギリス人のようなネイティブであればいいですが、もしノンネイティブ(日本の場合には地理的にアジア〈中国、韓国、ベトナムなど〉人と英語で話す機会が多いと思います)だったら、相手がdiligentやindustriousを知らないことだって十分にありえます!
だとしたら、それをどっちみち言い換えないといけないですよね。

■中学レベルの単語でほとんど表現できる
「日日翻訳」のコツの1つは、動詞(動き)を使って表現できないかを考える、ということです。
「勤勉」という単語を動詞(動き)で表現すると、「頑張って仕事をしている」と言い換えることができるわけです。
具体例をもう1つ見ておきましょう。例えば「高校時代(に)」と言いたいときは? それを動詞的に表現すると、イイタイコトは「高校にいたとき」ということですよね。であれば、
When I was in high school, 〜
になります。
このように、英語にしづらい日本語も、得意の日本語でまず先に簡単な日本語に変換(翻訳)すれば、中学生〜高校1年生までに習った単語でほとんどのことが話せるんです。
■「複数の選択肢から選ぶ」過程を省く
ついに降り立った、憧れの観光地。都市を象徴するモニュメントの前で思い出の一枚を残したい。えーっと、「写真を撮ってくれませんか?」ってなんて言うんだっけ……?
この「〜してもらえますか?」という日本語に対応する英語表現には、たくさんのバリエーション、言い換え表現があります。
・Could you〜? ・Would you〜 ? etc.
昔の僕は、「写真撮ってもらいたいときって……Can you? Will you? Could you? あれ? どれがいいんだっけ?」となっていました。
でも、今の僕はスッと言葉が出てきます。なぜなら、「〜してもらえますか?」が言いたいときは、Would you? の「一択」に決めているから。つまり、
Would you take a photo of us?
です。Would youは、カジュアルすぎず(Will youやCan youはややくだけた印象)、フォーマルすぎず(Could youは丁寧すぎる印象)、どんな場面でも使える「ニュートラル」な表現。いわば、万能な「一択」です。
このように「イイタイコト(日本語=和文)」が1つなら、英会話の場面ではそれに対応する英語も1つ(一択)に決めてしまいましょう。
僕はこの方法を「一和一英(いちわいちえい)の原則」と呼んでいます。
これにより、他の言い換え表現などはすべてイラナイものに。たくさん覚えたバリエーションや言い換え表現のうち、使いづらい知識(=ぜい肉)をそぎ落とすという「割り切り」をしたらとーってもラクになります!

■言葉が瞬発的に出てくる会話術
ここまでの「日日翻訳」「一和一英」の2つの原則をまとめて適用してみると、こうなります。
事例は、相手の話した内容が聞き取れず、聞き返したいとき。一般の英会話本には多数の表現が出てきます。例えば、
Could you say that again?
I’m sorry, I didn’t catch you.
これらは厳密かつ正確に言えば、それぞれ上から、
「もう一度言っていただけませんか?」
「すみません。聞き取れませんでした」
ですよね。
ここで「日日翻訳の原則」を使いましょう。どれをとっても結局のところイイタイコトは「なんて言いましたか?」です。
そのうえで、この「なんて言いましたか?」に対応する英語表現は、まんじろうは、「一和一英の原則」により、Sorry?の「一択」に決めています。
これで、すぐに言葉が出てきて、会話がスムースに進んでいくのです。
■「脳のダイエット」で英会話上手になる
一般的には、どうしても頭に思い浮かんだ「日本語」をすぐにそのまま「英語」にしようとしがちです。
そこをぐっとこらえて、まずは「頭に浮かんだ日本語」を「簡単な日本語にする」というワンクッションを入れることが重要です。この「日日翻訳」に必要なのは英語力じゃなくて日本語力なので、日本人なら誰でも実践できるはず。
ここまででも、英語を話す難易度(ハードル)は大幅に下がっています。

そのうえで、様々な「言い換え表現」を全部捨て去ることで複数の「選択肢」から「選ぶ」という迷いをなくす。これが「一和一英の原則」で、英語を話す難易度が拍車をかけて下がります。
「この(簡単な)日本語にはこの英語」とあらかじめ決めておくことで、口からスムースに英語表現が出てくるのです。
この「日日翻訳の原則」×「一和一英の原則」の組み合わせによって、英会話には必要のない知識をグッと削減することができます。
「一択」英会話とは、いわば“脳のダイエット”。究極にまで英語を話すハードルを下がり、英語がどんどん口から出てくるようになるのです。
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まんじろう某大学大学院教授(医学博士)、全国通訳案内士
英検(実用英語技能検定)1級。日本生まれ、日本育ちの“純ジャパニーズ”で、帰国子女でもなく留学経験もなく、英語はすべて独学で身につけた。TOEIC900点を超えても英会話が思うように上達しなかった自身の経験から、日本人の英会話学習者が抱える最大の課題は、むしろ「言い換え(バリエーション)の知識の多さがもたらす選択の迷い」にあると考えるに至る。そこで、日本語で言いたいことを1つの英語表現に固定し、迷いなく話すための「一択・会話テンプレ」方式を開発。このアプローチを、日本人の日本人による日本人のための英語=“Janglish”と名付け、「日本人全員が楽しく英語を話せる世界」を目指して情報発信を続けている。現在は大学院で教鞭を執る傍ら、主にSNSやnoteを通じて英語に苦手意識を持つ人々に向けた啓発活動を行っている。趣味は映画鑑賞。
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(某大学大学院教授(医学博士)、全国通訳案内士 まんじろう)
