「お〜いお茶」が自販機で売れない?伊藤園が直面する「1本200円の限界」「緑茶市場の高止まり」「茶葉高騰」の3重苦
「お〜いお茶 PURE」は累計販売本数が5000万本を突破しています。
通常、メーカーが新商品を販売する際、導入リベートを採用します。導入リベートとは、新商品をできるだけ世間に広めるため、リベート率を高めに設定するのが一般的。つまり、メーカーは薄利になることを織り込んだうえで、新商品の販路拡大やシェア獲得を優先するのです。
伊藤園の売上高に対する広告宣伝費の比率は2%ほどであり、2019年4月期も今期もほとんど変わりありません。リベートが利益を圧迫する要因の一つになっている可能性が大にあります。
原料と資材が高騰していることも収益性の低下に拍車をかけています。原料茶葉で緑茶飲料用として使われる秋冬番茶は、鹿児島市場で最大で前年の6倍という高値をつけました。背景には世界的な抹茶ブームがあります。
伊藤園は2026年4月期上期において、売上増による営業利益押し上げ効果が11億円働きました。一方、原料・資材等の高騰によって42億円も押し下げられているのです。
コスト高の影響を値上げで相殺できていないことを示しています。
茶葉の価格高騰が、緑茶需要によって引き起こされているのであれば、伊藤園には追い風。価格を上げても購入へと繋がるからです。しかし、海外での抹茶ブームとなると話は別。その需要に対応する術は少なく、茶葉高騰の影響ばかりが収益悪化の要因になります。
伊藤園は海外展開を急いでいます。「お〜いお茶 LEMON GREEN」は日米での同時発売でした。北米事業は2026年4月期上期が2割もの増収であり、勢いがあります。ただし、上半期で2600億円を超える売上に対して、300億円ほどと規模が大きくありません。
日本の緑茶市場が高止まりした中、いかに海外事業を伸ばすかが今後のカギとなるでしょう。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
