子どもの命を守る「チャイルドシート」助手席に設置したら交通違反? → 適正に使用しない場合、事故死亡率に約4.7倍の差も【警察に確認してみると】
チャイルドシート “正しく”使用しないと危険…
「休日は車で行楽地へドライブ」という方もいるかと思います。
【画像をみる】助手席は交通違反になるの? → チャイルドシートの正しい設置・装着方法をイラストで解説
ファミリーで出かける際に、子どもが「助手席に座りたい」と言ったり、親が「子どもが運転中にぐずったら困るので助手席に座らせたい」というシーンがあるかもしれません。
そんな時に、チャイルドシートって“助手席”に取り付けてもいいものなのか?という疑問が…
まず、前提として道路交通法では病気一部の理由を除き「運転手がチャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児をのせて運転してはならない」ことが定められています。(道路交通法第71条の3第3項・第14条第3項)
チャイルドシートは幼児を交通事故から守るために絶対に必要なものです。違反した場合、座席ベルト着用義務違反と同様に行政処分の基礎点数が1点付加されます。
JAF・日本自動車連盟と警察庁が昨年(2024年)行った「チャイルドシート」に関する調査では、6歳未満の子ども全体の使用率は78.2%で、これまでの調査では過去最高を記録した一方で、約5分の1が依然としてチャイルドシートを使用していないという実態が分かりました【画像①】。
チャイルドシートを「正しく設置」している場合と、「不着用」の場合とでは、事故での死亡率に約4.7倍もの差があるといったデータも【画像②】。
幼児2人をもつ筆者もチャイルドシートを利用していて、説明書に記載されていた通りに「後部座席」に取り付けています。
ただ、後部座席にあると子どもの様子を確認できない(乳幼児だとチャイルドシートが後ろ向き)状況があったため、助手席ならば子供がぐずった時に様子を確認できるのではと感じています。
しかし、道路交通法ではチャイルドシートを取り付ける位置までは明確に規定されていません。
助手席に取り付けは交通違反?警察に確認
チャイルドシートを助手席に取り付けたら交通違反になるのか?警察に問い合わせてみました。
(岡山県警察本部 交通企画課)
「助手席への設置を禁止する法律はありません。
ただし、メーカーがチャイルドシート使用上の安全性などから、後部席への設置を
推奨している場合もあると思います。」
だとすると「助手席でもいいのか!」という訳ではありません。
警察庁と国土交通省は『できるだけ後部座席に乗せる』ことを推奨しています。
助手席に設置すると、エアバッグが適切に機能しない…
警察庁と国交省はチャイルドシートを設置する際の注意事項を上げています。安全を守る装置「エアバッグ」が子どもにとっては危険を及ぼす可能性があると言うのです。
・子どもの体格にあったチャイルドシートを
シートベルトは成人用に作られているため、子どもが装着した場合、衝突時に体を適切に守ることができず、首などに重大な傷害が発生するおそれがあり、「抱っこ」も衝突時に子どもの体重を支えることができず大事につながる危険性があるとされています。
・できるだけ「後部座席」に乗せる
助手席に設置した場合、衝突した際に作動するエアバッグが子どもに危害を与えてしまう恐れがあるということです。衝突時に被害を軽減する安全装置のエアバッグですが、成人の体型を前提に設計されているため、体が小さい子どもには適切に機能しない恐れがあるということです。
・国の安全基準への適合が確認されたチャイルドシートを
国の基準に不適合のチャイルドシートでは衝突時に子どもを守ることができないということです。購入時には適合基準を満たした該当品かどうかを確認することが重要です。基準を満たしたチャイルドシートには、以下のいずれかの表示がされているということです。【画像③】
助手席に設置すると「子どもに危険」がおよぶリスクが…
JAFもチャイルドシート・ジュニアシートを後部座席に設置するよう呼び掛けています。
(秋田博志さん JAF岡山支部)
「私も後ろの席で泣かれたりぐずられると気になります。ただ、助手席で声がかけられる、お世話ができる状態というのも、わき見に繋がったりお世話ができるばかりにお子様に気がとられるといった危険性もはらんでいます」
「JAFとしても、助手席への設置は避けていただきたいです。特に、チャイルドシートを後ろ向きで使用した場合、エアバッグが子どもを押しつぶしてしまうことが考えられ、非常に危険です。前向きの場合も、座席の位置によっては作動したエアバッグが子どもに当たってしまうことが考えられます」
助手席に設置すると思わぬ危険も
「助手席に子どもが座るとシフトレバーを操作してしまうことも考えられます。助手席にはチャイルドロック【画像④】が無いことが多いので、走行中に誤ってドアを開けてしまう可能性もあります」
年齢ではなく「身長」で判断を
(秋田博志さん JAF岡山支部)
「JAFでは6歳以上でも身長150cmに達するまではジュニアシートの利用を推奨しています」
6歳以上であっても子どもの体格によってはクルマのシートベルトが十分な効果を発揮できない場合もあるということです。その際、JAFではジュニアシート(背もたれ付きタイプまたは、ブースタータイプ)の活用を推奨しています。
体格の目安は身長150cm未満としていて、ポイントは「シートベルトが首や腹部にかからない」ことだということです。
「チャイルドシート」で守れる命
ー改めて「チャイルドシート」の着用の重要性について教えてください
(岡山県警察本部 交通企画課)
「過去10年間に岡山県内で発生した人身交通事故の調査結果から、チャイルドシートを使用していた場合と、使用していなかった場合では、使用していなかった場合の方が重傷率が約2.8倍高いことが分かっています。」
「チャイルドシートは、シートベルトと同様に、万一交通事故に遭った場合でも、衝突時に体を適切に保護して被害を軽減するためのもの(運転操作を妨げることの防止にも繋がる)ですが、適切に設置されていない場合や正しい姿勢で座らせていなかった場合には、交通事故の際にチャイルドシートがシートベルトから分離したり、幼児がチャイルドシートから飛び出してしまうなど、チャイルドシートの効果が得られませんので、幼児の体型に合ったチャイルドシートを選定の上、取扱説明書等に従った正しい取り付け(設置)を行ってください。平素から、『子どもを守るチャイルドシート』の正しい使用をお願いします。」
子どもの命を守るために
子どもの安全を守るためのチャイルドシートです。一部の自治体や交通安全協会ではチャイルドシートの貸し出しも行われています。子どもの命を守るためにも必ず「正しく」設置し、安全運転を心がけましょう。
都道府県別 チャイルドシートの使用状況 皆さんの地元は?
警察庁とJAFが行った「チャイルドシート使用状況全国調査」では都道府県別で使用状況の調査結果を公表しています。
〇北海道・東北
北海道68.4%・青森77.5%、岩手82.8%、宮城88.5%、福島89.1%、秋田71.6%、山形89.2%
〇関東・甲信越
新潟82.0%、長野86.4%、茨城65.2%、栃木76.7%、群馬71.5%、埼玉83.8%、千葉85.4%、東京68.3%、神奈川87.5%、山梨78.1%、
〇東海・北陸
富山89.5%、石川62.5%、福井67.6%、岐阜90.6%、静岡81.5%、愛知91.7%、三重73.1%
〇近畿
滋賀66.2%、京都67.0%、大阪66.6%、兵庫73.0%、奈良79.4%、和歌山76.2%
〇中国・四国
鳥取79.7%、島根89.2%、岡山86.5%、広島86.4%、山口85.6%、徳島78.3%、香川86.0%、愛媛81.1%、高知81.0%
〇九州・沖縄
福岡86.6%、佐賀69.6%、長崎87.1%、熊本70.0%、大分74.1%、宮崎63.4%、鹿児島64.5%、沖縄54.0%
*各都道府県ごとに年齢層別対象数などが異なっているため比較対象にはなりません
