冷たいもの、とりすぎてない?

写真拡大

 暑い日が続くこの夏。ついつい、アイスや冷たい飲み物、ビールなどで体を冷やしてしまう人も多いだろう。ただ、冷たいものをとりすぎると、体内温度が下がりすぎて、美容や健康に悪影響を及ぼすことも。今回は、冷たいものを食べすぎて体を冷やしてしまうと起こる問題と対処法について、医療法人社団正恵会ディオクリニック・藤井崇博氏監修のもと紹介する。

【衝撃写真】これが「奇跡の70代」、美と健康へたゆまぬ努力…驚きの美魔女ぶり

■免疫力低下から肥満、肌荒れ…、冷たいものとりすぎがもたらす問題

 冷たい食べ物、飲み物には熱くなった体を冷やしてくれる効果があり、暑いときにとることで心身共にリフレッシュできるだろう。藤井氏も「夏の時期や運動中であれば水分補給、体温調節をすることで熱中症対策になります。また少し古い論文ですが、暑い中での運動前および運動中に冷たい飲み物を摂取すると、運動中の生理的な負担が軽減され(熱の蓄積が軽減され)持久力が向上するという報告もされています」と語る。

※Jason K W Lee et al.Cold drink ingestion improves exercise endurance capacity in the heat.Med Sci Sports Exerc. 2008 Sep;40(9):1637-44.

 一方で、あまりに冷たい食べ物、飲み物をとりすぎることは、健康面、美容面でもおすすめできない。

「胃腸の働きが低下して食欲が低下したり、胃もたれ、下痢、便秘といった消化器の症状を起こし、いわゆる夏バテを引き起こす可能性があります。また、冷たい甘い飲み物、清涼飲料水、アイスクリームなどは砂糖が多く含まれ、摂取するカロリーが高くなるため体型維持の観点からも注意が必要です」(藤井氏)

 以下、とくに注意したい問題点を挙げる。

●胃腸の働きが低下

胃腸は消化吸収や代謝に重要な役割を果たしているが、冷たいもので刺激されると血管が収縮し、血流が悪くなる。すると、胃液や消化酵素の分泌が減り、消化不良や胃痛、下痢などの症状が出やすくなる。また、胃腸の働きが悪くなると、栄養素の吸収も悪くなり、肌荒れや貧血などの原因にも。

●免疫力が低下

免疫力は体を守る防御システムだが、体温が下がるとその機能が低下。すると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、アレルギーや自己免疫疾患などの免疫異常を引き起こしたりする可能性も。特に夏は汗をかくことで水分やミネラルが失われるので、免疫力を高めるためにも水分補給は欠かせない。

●肥満になりやすい

冷たいものを摂ると体温が下がるが、それを補うために体はエネルギーを消費する。しかし、そのエネルギーは主に糖質から作られるので、余った糖質は脂肪として蓄積される。また、冷え性になると基礎代謝も低下し、カロリーの消費も減少。さらに、冷え性によって食欲が増すことも。

●肌荒れやニキビが増える

肌は体温調節や水分保持などの役割を果たしているが、冷え性になると血行が悪くなり、肌細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなる。すると、肌のバリア機能が低下し、乾燥や敏感化、老化などのトラブルが起こりやすくなる。また、皮脂分泌量も増えて毛穴詰まりやニキビの原因になる。

●頭痛やめまいに悩む

冷たいもので口腔や咽頭の温度が急激に下がると、血管が収縮して血流が悪くなり、脳に十分な酸素や栄養が届かなくなる。これが原因で、頭痛やめまい、集中力の低下などの症状が出ることも。特に、脳血管が弱い人や高血圧の人は注意が必要だ。

【体を温める性質の食材】

ショウガ、ネギ、胡椒、カボチャ、レンコン、カリフラワー、にんじん、ごぼう、かぶ、やまいも、鮭、カツオ、サバ、ラム肉、牛肉、味噌、黒砂糖など

「体を温める食材の代表格はショウガですが、ほかにも土の中で育つ根菜類や、イモ類にも身体を温める効果があります。そのまま食べるよりスープや煮込み料理など加熱することで、より内臓を温められ、胃腸の冷えが改善し夏バテ解消に効果が期待できます。また、温かい料理や飲み物にとろみをつけるのも、胃腸を温めるのには有効な調理法です」(藤井氏)

【体を冷やす食べ物】

トマト、きゅうり、なす、ゴーヤ、レタス、トマト、バナナ、パイナップル、マンゴー、オレンジなど

「胃腸の動きが衰え、食欲の低下など夏バテを起こすので多く摂取することは控えたほうがいいですが、摂取する場合は過剰になりすぎないように注意し、温める性質の食材や薬味、スパイスなどと組み合わせのが良いかと思います」(藤井氏)

【暑いときには熱いものを食べるのがいい? 注意点も】

「熱い飲食物は発汗を促し、体温を下げる効果がある(気化熱による冷却効果)ということから、そのように言われています。ただ、これには環境の条件(湿度が低い、風通しが良い、衣服は薄着)があり、このような環境下では汗が熱を放散させるので、身体の温度を下げることができます。また、温かい食事、飲み物は内臓を温め、汗の蒸発をより増やしてくれます。ただ、体温の冷却効果は汗が完全に蒸発しないと効果が出ないので、そもそも脱水状態であったり、高温多湿の環境では発汗がしにくいため、温かい飲み物でかいた汗による水分の損失を補うことができません。また、風通しの悪い状態では、汗をかく方が蒸発する速度を上回ってしまい、逆効果となることもあるので注意が必要です」(藤井氏)

■体を冷やしてしまったときの対処法は?

 冷たいもののとりすぎで体調を崩してしまったときには、上記のような体を温めるものをとるほか、マッサージや運動により血行を良くすること、常温の水かぬるま湯で水分補給することが望ましい。もし、それでも体調が改善しない場合はどうすべきだろうか。

「基本的には安静、様子観察で改善することがほとんどかと思いますが、嘔気、胃部不快感、下痢などの消化器症状が持続する場合や、発熱、その他症状が新たに出現する場合は、医療機関を早めに受診して医師の診察を受けることをおすすめします」(藤井氏)

 夏は暑さで体力が消耗しやすい季節だが、冷たいものをとりすぎると逆効果。適度に温かいものも取り入れて、体内温度を保つことが大切だ。また、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動などで体調管理に気を付けよう。

■監修者プロフィール

藤井崇博(ふじい・たかひろ)/医学博士、循環器内科専門医。2021年までの約10年間大学病院、関連病院で臨床、研究、教育に従事。最近では臨床のほか、SNSやWeb記事などでの情報の発信にも注力している。