【楽しめるグランドツアラー】BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペに試乗 最新G22型
184psと30.4kg-mの4気筒ガソリンターボtext:Simon Davis(サイモン・デイビス)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
新しいBMW 4シリーズ・クーペのエントリーグレードとなるのが、420i。日本でも同様だ。デザイナーの仕事には、いろいろな意見をお持ちかとは思うけれど。
英国AUTOCARのコメント欄に目を通すと、スタイリングを気にしていない人も少なくない。ものの感じ方は、人それぞれ。BMWのデザイナー、ドマゴイ・デュケックはプレデターの夢を見ながら寝ぼけまなこでグリルを描いた、ということはないはず。
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)英国での4シリーズ・クーペの価格は、420i Mスポーツの3万9870ポンド(538万円)からスタートする。英国では一番売れる、4シリーズ・クーペになるだろう。
エンジンはB48型と呼ばれる2.0L 4気筒ガソリンターボで、184psと30.4kg-mを発揮する。420dと異なり、ISGによるマイルド・ハイブリッドは付かない。トランスミッションは8速ATのみ。伝統のフロントエンジン、リアドライブだ。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。通常のダンパーに、18インチ・アルミホイールが標準となる。
今回の試乗車には、英国で展開されるMスポーツ・プロ・パッケージが付いていた。価格は2500ポンド(34万円)で、アダプティブダンパーにMスポーツ・ブレーキ、19インチのアルミホイール、ランフラットタイヤが組み合わされる。
ルーフが低く、ドアは長くて重いから、乗り降りは少ししにくい。幅の狭い駐車場に停めたときは、注意が必要だろう。
自然な運転姿勢に機敏で爽快なハンドリング
運転席に座わるとレイアウトは自然で、すぐに馴染める。見た目も素材感も、雰囲気が良い。電動シートの着座位置は充分に低く、太ももも腰回りもしっかりサポートしてくれる。
ステアリングホイールは、Mスポーツ流の肉厚なもの。その先にモニター式のデジタルメーターが配される。グラフィックは少々賑やかで、アナログメーターの方が可読性は高かったと思う。見た目は悪くない。
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)リアシートは2名分が用意されているが、平均的な身重の大人なら狭く感じるだろう。包まれ感は強く、小柄な人なら長時間でも過ごせる。プライバシーも守られそうだ。
走りは、BMWのクーペらしく素晴らしい。アダプティブダンパーを最もソフトな設定にすれば、3シリーズの通常のサスペンションより当たりが柔らかくなる。流れの速いバイパスや高速道路では、快適でありながら、しっかりボディを支えてくれる。
扁平率が低いランフラット・タイヤということもあり、低速域では落ち着きは良くなく、ロードノイズは大きめ。それでも、日常的な移動でも長距離旅行でも、躊躇せずに乗れると思う。
ステアリングのレシオは、早すぎず遅すぎず。適度に重み付けされた操舵感は、機敏で爽快なハンドリングを叶えている。確かな身のこなしは気持ちを熱くしてくれるし、特別感も高い。
運転を楽しめる快適なグランドツアラー
フロントタイヤのグリップ状態が、ステアリングホイールを握る手のひらへ鮮明に伝わってくる。横方向の姿勢制御にも優れ、スピーディでフラットにコーナーを抜けていく。たとえ濡れた路面でも、フロントのグリップが不足することはなさそうだ。
トラクション・コントロールの効きを抑え、タイトコーナーの中程でアクセルを踏み込めば、漸進的な挙動でリアタイヤを外に流すことができる。コントロールもしやすい。
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)高めの速度域でのドライビング体験は、非常に爽快。しかし、常にその必要がないことも、クルマがそっと伝えてくれる。その理由は、エンジンの性格。
ハーフスロットル時のターボラグは最小限で、レスポンスに優れ、必要なときに充分なパンチ力を与えてくれる。中回転域のトルクも太く、安楽に求めるスピードを引き出せる。
一方で、エンジンやエグゾーストのサウンドはややザラついた印象で、高回転域では少し息苦しそうにも聞こえてしまう。高回転域まで回したいとも、超高速域で疾走したいとも、強くは感じさせない。
少しリラックスして、4シリーズ・クーペの俊敏性と応答性を味わう走り方の方が気持ちイイ。動的性能に余裕を残した範囲で。
滑らかで一体感のあるドライビング・マナーは、420iを検討する上でのストリングポイントになる。チャレンジングな道での楽しさも兼ね備えた、快適なグランドツアラー的な性格が、筆者はとても好きだ。
燃費を考えればディーゼルも悪くない
運転姿勢やインテリアデザイン、人間工学的な要素が正しく理解されている点も評価したい。一方でこれらは、3シリーズも実現している要素。4ドアサルーンだけでなく、ステーションワゴンなら高い実用性も手に入る。
BMW 4シリーズ・クーペのようなクルマの場合、購入動機の大きな要素となるのは、スタイリングの美しさにあると思う。現時点でG22型の容姿が、どの程度多くの人の心を掴めるのかはわからない。時間が過ぎれば、印象は変化するかもしれない。
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)筆者の場合、420iのエンジンを選択したいとは、強くは感じなかった。もし燃費効率を狙いたいのなら、英国なら4気筒ディーゼルという選択が悪くないだろう。
今回、様々な条件で長距離を試乗した420i Mスポーツ・クーペの平均燃費は、13.5km/Lだった。悪い数字ではないが、420dなら簡単に超えられる。また英国では、430dやM440dといった6気筒ディーゼルも来年に控えている。
BMW 4シリーズ 420i Mスポーツ・クーペ(英国仕様)のスペック
価格:3万9870ポンド(538万円)
全長:4768mm
全幅:1852mm
全高:1383mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:14.9-15.6km/L
CO2排出量:146-153g/km
乾燥重量:1525kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:184ps/5000-6500rpm
最大トルク:30.4kg-m/1350-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
