ドーナツ状のくぼみはコンクリートの坂道にある

 路面に丸いドーナツ状の輪っかが付いていることがある。よく見る風景だけにあまり不思議に思わなかったりもするが、一部の路面にしかないことから、なにか存在する理由がありそうだ。

 まず、輪っかが付いているのは急な坂道で、路面がコンクリートの場合が多い。舗装専門会社の技術者によると、坂道をアスファルトで舗装するのはとても大変だという。傾斜で舗装の厚みを均一にしつつ、重機で固めていくのが難しいのだ。

 ちなみにツインリンクもてぎにはナスカー用のオーバルコースがあり、バンクが急なコーナー部分を舗装するのにかなり苦労したというが、これも同じ理由だ。また、それゆえに震災後、復旧できずにそのままになってしまっている(予算の問題もあるだろうが)。

 コンクリートであれば、路面を作るのはそれほど難しくなく、左官のように路面に均一に盛って機械で固めたら、さらにカバーをかけて吸水をしつつ、空気を抜いて強度を増すという工法が採られる。固まる前に、金属の輪っかを並べて型押しをして作るのが、よく見かけるドーナツ状のくぼみだ。

滑り止めの役割を担っている!

 これを付ける理由は、コンクリートは水の浸透性がよくないからで、滑り止めの役割を担っている。輪っか以外にもスジが入れられていたりするが、同様の目的だ。

 じつはコンクリートはアスファルトよりも強度が高く、耐久性もある。本来は平らな道路にも使われてもいいのだが、コストが高いなどで採用が進まないようだ。ただ、東京と山梨を結ぶ、甲州街道(国道20号)の八王子市内はコンクリートを採用していて、50年間も大規模補修をしていない。また名古屋市は全国でも珍しく、コンクリート路面の採用に積極的だ。

 コストが高くても、高耐久であれば元はすぐに取れるだろうし、表面温度も低くなって、ヒートアイランド現象の抑制にもつながるなど、メリットは多い。しかし硬さゆえに工事で掘り起こしにくかったり、固まるのに時間がかかるなどの問題もあり、結局は敬遠されるようだ。