蔡英文総統(右)

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(台北 25日 中央社)情報機関、国家安全局の職員が蔡英文総統の外遊を利用して免税のたばこの密輸を図った問題にからみ、同様の不正が蔡氏の総統就任以前から行われていたとの見方が強まっている。蔡総統は25日、この事件について「長年にわたり積み重ねられた陋習(ろうしゅう)の現れ」だとし、「耐え難い、受け入れられないこと」だと述べた。台北市内で報道陣に語った。蔡総統がこの事件に対して表立って発言するのは初めて。

国家安全局の職員は蔡総統のカリブ海歴訪に乗じ、総統が搭乗するチャーター機を運航するチャイナエアライン(中華航空)から免税のたばこを大量に購入。商品は桃園国際空港(桃園市)内にある同社子会社の倉庫に保管され、22日に帰国した蔡総統を乗せた車両の列に続いてたばこを載せた車がVIP用通路から空港を出ようとしたところ、税関と法務部調査局によって摘発された。

総統やその同行者などに対して税関検査を免除する優遇措置を利用した不正がかつてから行われていた疑いが浮上したことから、交通部は同航空に対し、過去に総統外遊のために運航したチャーター便で販売した免税たばこに関する資料の提出を要求。同航空は25日午後に記者会見を開き、同航空のデータベースにある2014年以降の販売数を公表すると同時に、同事件で社会の混乱を招いたとして謝世謙董事長(会長)が謝罪した。

同航空が公表した資料によると、今回の総統チャーター便ではたばこ計1万9カートンを販売。そのうち9274カートンが予約購入、735カートンが機内で購入された。2014年1月以降の総統チャーター便でのたばこ販売数は、国民党・馬英九政権下の2014年1月から16年3月までの4度の運航で計8706カートン、16年5月の民進党・蔡政権発足後から今年3月の前回外遊までの5度の運航で計1万6406カートンとなっている。

たばこ密輸に関して国民党の呉敦義主席(党首)は23日、こんなにみっともない状況は過去数十年で起こったことはないと発言していた。

(韓テイテイ、葉素萍、汪淑芬、呉欣紜、余祥、趙麗妍/編集:名切千絵)