女優・小松菜奈の魅力全開! 『溺れるナイフ』で覗かせたタフさとパッション
なんだかヤバい青春映画が誕生した。ジョージ朝倉原作の同名コミックを映画化した『溺れるナイフ』。少女マンガが原作とはいえ、少年少女がぶつかり、血を流す、本気の熱量がハンパではない。その中で、少女期の神々しいまでの美しさをスクリーンに焼き付けているのが小松菜奈だ。ティーンモデルとして人気の絶頂に親の都合で田舎に引っ越したヒロインが、不思議なオーラをまとった少年に出会い、強烈にひかれていく様子を鮮やかに演じている。

撮影/川野結李歌 取材・文/新田理恵 制作/iD inc.



「菅田さんはコウちゃんそのもの。自然と目で追いかけていた」



――『溺れるナイフ』は、小松さん演じる夏芽と、自由で傲慢だけど誰もが一目置くオーラを放つコウ(菅田将暉)、ふたりのひかれ合う様子がとても野性的で、情熱的です。あの空気はどうやって作り上げたのでしょうか?

現場で実際に演じてみて…という感じでしたね。コウちゃんと、(コウの幼なじみで夏芽に想いを寄せる)大友は全然違うので。コウちゃんとのシーンのときは必死で追いかけました。とにかく追いかけて、追いかけて、コウちゃんが振り返ったと思ったら、またどこか行ってしまって…。とにかく「ツラい」っていう気持ちでした。



――大友を演じたのは重岡大毅さんですね。コウちゃんのシーンとは全然違う雰囲気でしたか?

大友はいつもニコニコして、いつも夏芽のことを考えていて、あったかい笑顔で包み込んでくれるような人だったので、現場でも自然と笑顔でいられました。重岡くんは大友にとても似てるんですよ。いつも笑顔で、顔を見るだけで笑えるんです(笑)。

――(笑)。

イケメンなのに、面白いなって思って。自然と笑顔になれて、人を元気づけられるというか。そういう人って、なかなかいないですから。本当に“良い人”を出して演じるのってすごく難しいと思うんですよ。重岡くんはもう、監督から「そのままで」って言われる感じだったので、その大友とコウちゃんの対比というか、“光と影”みたいな感じが、現場で夏芽との関係を作ってくれたと思います。



――そんな空気が、自然と小松さんを夏芽の気持ちに持って行ってくれたのですね。

もうホントに、菅田さんも、重岡さんも、(松永カナ役の上白石)萌音ちゃんも、役ぴったりで、マンガから出てきた「そのままじゃん」っていう感じだったので。もちろん演技もですけど、普通に私から見た菅田さんって、ホントにコウちゃんみたいな存在で、自然と目で追いかけたくなるんです。

――「コウちゃんみたい」というのは?

作品によって全然違う顔をするし、髪型も全然違う。出演するものすべて、いつも違う印象で、なんだか気になる存在というか…。冷たい視線や、「何考えてるんだろう?」みたいなところも、そのまんま現場に「コウちゃんがいる!」みたいな感じだったので、私はそれに振り回されるというか、必死で追いかけていくしかなかったんですよね。

――事前に原作や台本を読んで作っていった感じではなく、現場の雰囲気でできあがった部分が大きいんですね。

ほとんどそうです。最初は原作などを読んでいて、それにとらわれてしまった部分も若干あったりしたんですけど。台本はあるけど、現場に行くとセリフがどんどん変わっていっちゃうんですよ。

――そうなんですか!? 原作コミックがあるので、セリフがどんどん変わるというのは意外でした。

監督は、そのときの空気感でセリフを変えたりされていました。とにかく自然にというか、会話も普段話している感じを切り取っただけみたい。大友とバッティングセンターにいるシーンなんて、大友、すごい噛んでるけど…(笑)。




――ですよね(笑)。観ていて「ここ、撮影止めなかったんだ…」って思いました。

そう、そこをあえて使ってるところが、「いいな〜」って思いました。あの鈍くささというか、ちょっとどもったりとか。好きな女の子に対して、そういう反応になるのって自然じゃないですか。それを監督があえて使ったところに、「やっぱり他の人とは違う感覚なんだな」って感じましたね。

――大友の眉毛をツッコむやり取りが面白かったです。本気で、これは素なのかな? って思いました。

あれは、どっちもです(笑)。あのシーンも、すごく変更があったので…。

――そうなんですか?

最初は台本どおりに演じてたんですけど、硬くなってくるし、受け答えもわかってくるので、監督的につまらなかったんだと思うんですよ。たぶんキュンとしなかったんです。「じゃあ、今のは忘れて。もう1回違うのやってみよう」ってなったり、セリフも変わっていったりしました。重岡くんも、「何か面白いこと言ってみて」って急に言われてすごく焦ってたけど、なんだかそういうところで自然と笑えたり。キスするところも、「するぞ、するぞ」みたいな感じでちょっとずつ近づいてくるじゃないですか。

――あのお互いわかってる感じが面白いですよね。

そうなんですよ。台本には書いてあるけど、それを一体どうしてくるのか、ちょっと不器用さを出してくるのか、演じ方によってわからないじゃないですか。そういう部分って、やっぱり演技の面白さだと思うんです。私は、「この人、こういうとき、どうくるんだろう?」っていうのをわりと見ちゃうタイプで。「やっぱりお芝居って楽しいな」って感じる部分でもあるんです。

――和歌山でのロケで、撮影日数はわずか17日間と、大変な撮影だったと聞いています。

みんな歳が近いから、撮影を見ているのも刺激的でしたし、今までは年上の方々とお仕事することが多かったので、すごく新鮮で。大変だったけど、楽しい現場でした。





「女の子はみんな、コウちゃんを好きになると思う」



――菅田さんとは、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)での共演に続いてのお仕事でしたよね。少しリラックスして臨めたのでは?

そうですね。その作品は暴行シーンがすごく多くて、恋の欠片もなかったので…。現場でもほとんどしゃべらなかったんですよ。でも、なんだか菅田さんとは、信頼関係ができていました。

――しゃべらなかったのに?

暴行シーンは、「ビンタを当てない」っていうのが難しくて。だったらそこは遠慮せずに当ててほしかったので、そう言ったら、「もちろん当てるつもりだった」って言われて、「うわ、この人スゴいなー」って思って(笑)。とはいえ、みんな優しいから、実際は当てなかったりするんですけど、ちゃんとしっかり当ててきたので(笑)、「やられたから、私もこれぐらい返してやろう」みたいな。すごくスッキリしました。

――ガチですね。

お互い全力投球できた信頼関係もあった上で、『溺れるナイフ』があったので。菅田さんでよかったなって思いました。私が不安に思っていることとか、現場であったことを相談すると、菅田さんはちゃんと受け止めて、それにのってくれるんです。

――いい関係性ですね。

すごく安心感がありましたね。「どんなことしても、この人は大丈夫」みたいな。菅田さんも「小松だったら大丈夫だと思った」って言っていました。



――夏芽のまわりには、コウちゃん、大友、夏芽を撮りたいと東京からやって来るカメラマンの広能と、3人の男性が登場します。小松さん自身は、誰にひかれますか?

好きになるとか、魅力的だなと思うのは、もちろんコウちゃんです。「なんだろう?」って気になるところがすごくあるので。ミステリアスな人ってすごく魅力的じゃないですか。

――特に若いときって、そういう時期がありますよね。

ありますよね。年齢を重ねていくと、いろんな安定を求めると思うので、付き合ったり、結婚するとなると大友のほうがきっと幸せなんだろうな…とは思います。でも、好きな人や、心奪われる人と言うなら、完全にコウちゃんだなって。結局、女の子はみんな、コウちゃんに行くんじゃないかな(笑)。女の子によっては、私は「ただ見ていたい」とか、いろいろパターンはあると思うんですけど。



「常に全力投球! とにかくやってみよう精神で臨むだけ」



――映画を拝見して、お互い本気でぶつかってるのが伝わってきました。コウの夏芽に対する扱いって、結構雑じゃないですか(笑)。

めちゃくちゃ雑です(笑)。

――小川にひきずり込まれたりとか…。

あのシーンも台本になかったんですよ。監督に「川で撮影する」って言われて、びっくりして。私は今回、結構水につかることが多くて…。

――ずぶ濡れ、ドロドロのシーンが多かったですね。

そうなんです。何があるかわからない現場だったので、その都度対応しようという感じでした。「とにかくやってみよう精神」というか。できないことって、そんなにないじゃないですか。「あ、これ危なかったんだな」「これ、こうしてみよう」っていうのは、やってみて学ぶことだから、私は言われたらとにかくやってみることが大事だなって思っているんです。

――キモが据わっていますよね。

作品に対しては、しばられることなく、いつもとにかく全力でやっています。だからお芝居って楽しいなって思いますし、これからもどんどんやっていきたいです。




――夏芽は、東京で人気ティーンモデルとして活躍していたのに、閉鎖的な田舎に引っ越してフラストレーションがたまっている女の子でした。職業としては小松さん自身とかぶる部分もあります。「もっと遠くに行ける」という夏芽の自意識の強さを感じるセリフがありますが、小松さんも共感できるところはありますか?

なくはないと思いますね。私は目の前のことを1つ1つクリアしていきたいタイプなので、「遠くに行ける」「上がる」みたいな気持ちはないんですけど…。でも、目標をもつことはすごく大事だなと思っています。

――実行していますか?

何かにつながったり、誰かに会えたり、話が伝わったりするのは本当にあることなので、それを信じて、私は「何かをしたい」とか「誰かに会いたい」っていう願望は、いつも口に出しているんです。叶わなくても言うのはタダだし、無駄じゃないから。それってすごく大事なことだし、頑張る原動力にもなると思います。

――今、口に出して言っている叶えたい夢や目標はありますか?

昨年、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙―サイレンス―』の撮影に参加させていただいたんですけど、これはホントに、私にいろんな原動力を与えてくれた作品で。ただ、共通語が英語。私は英語がしゃべれないので、監督と直接コミュニケーションをとれなかったことがすごく残念。もっと英語がしゃべれたら世界が広がるし、監督とももっと深い話ができたんだろうなぁ…っていう悔しさもあるので、これからも機会があれば、海外の作品には関わっていきたいなと思います。

――まさに「もっと遠くへ行ける」ですね。最後に、幸せを感じることを教えてください。

今、食べログを見ることにハマってるんです。

――どんなお店をチェックするんですか?

カジュアルビストロですね。フレンチです。楽しいし、おいしいし、大好きです!



【プロフィール】
小松菜奈(こまつ・なな)/1996年2月16日生まれ。東京都出身。O型。2008年からモデルとして活躍。2014年、中島哲也監督に見出されて『渇き。』で映画デビュー。日本アカデミー賞新人俳優賞ほか、数多くの賞を受賞する。その他出演作は、『近キョリ恋愛』、『バクマン。』、『黒崎くんの言いなりになんてならない』、『ディストラクション・ベイビーズ』など。12月に『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、2017年には『沈黙―サイレンス―』、『ジョジョの奇妙な冒険』の公開が控える。


■映画『溺れるナイフ』
11月5日(土)全国ロードショー!
http://gaga.ne.jp/oboreruknife/

(C)ジョージ朝倉/講談社
(C)2016「溺れるナイフ」製作委員会

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今回インタビューさせていただいた、小松菜奈さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2016年11月4日(金)12:00〜11月10日(木)12:00

■当選者確定フロー
・当選者発表日/11月11日(金)
・当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し)のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
・当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから11月11日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。11月14日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。

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