「プリン体が多い飲み物」はアルコール以外で何がある?尿酸値との関係も管理栄養士が解説

プリン体が多い飲み物とは?メディカルドック監修管理栄養士が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
堀越 千聡(管理栄養士)

病院で委託栄養士として調理業務を担当。その後管理栄養士の資格を取得後身体障害者支援施設で、多職種と連携しながら食事介助やミールラウンドを通じて、利用者の食事状況を観察し、直接的にフィードバッグを得ることで、利用者一人ひとりに合わせた食事を提供し、より適切な栄養管理を行っています。

「プリン体」とは?

プリン体とは、細胞の核に含まれる核酸(DNAやRNA)の構成成分の一つです。私たちの体内では、細胞の新陳代謝の過程で常にプリン体が産生されており、食事からも摂取されています。体内のプリン体は主に体内で合成されるとされており、食事由来のプリン体も尿酸値に影響を与える要因の一つです。そのため、食事制限のみで尿酸値を大きく変動させることには限界がありますが、高プリン体食品の過剰摂取を避けることは、尿酸値の管理において重要です。プリン体は体内で分解され、最終的に尿酸へと変換されます。尿酸は通常、腎臓でろ過されて尿として排泄されますが、産生量が排泄量を上回る場合や排泄機能が低下した場合には、血中の尿酸濃度が高くなることがあります。

プリン体の一日の摂取量

日本痛風・尿酸核酸学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」では、プリン体の1日あたりの摂取量は400㎎以下を目安とすることが推奨されています。これは特に高尿酸血症や痛風の予防・管理を目的とした指標であり、プリン体の過剰摂取を避けるための目安とされています。一方で、通常の食生活においては、極端にプリン体を制限する必要はなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を心がけることで、自然と適切な摂取量に近づくとされています。ただし、レバーや魚の干物などの高プリン体食品を頻繁に摂取する場合や、特定の食品に偏った食生活では、摂取量が増加しやすいため注意が必要です。

プリン体の効果

核酸の構成成分(細胞の維持・再生)

プリン体は、遺伝情報を司るDNAやRNA(核酸)の主成分です。私たちの体では日々、古い細胞が新しい細胞へと入れ替わる「新陳代謝」が行われていますが、プリン体はこの細胞の増殖や再生を支える基礎的な材料として機能しています。

エネルギー代謝のサポート

プリン体は、生命活動のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分でもあります。筋肉を動かしたり、神経を伝達したり、呼吸をしたりといった、人間が生きていくためのあらゆるエネルギー消費にプリン体が関わっています。

代謝産物(尿酸)による生理作用

プリン体が分解されてできる最終産物の「尿酸」には、体内の活性酸素にアプローチする抗酸化特性を持つことが知られています。これは、適切にコントロールされた範囲内での生理的な働きです。しかし、尿酸値が高い状態が続くと痛風や腎障害のリスクとなるため、抗酸化作用を期待してプリン体を過剰に摂取することは推奨されません。

プリン体の多い飲み物ランキング【アルコール】

アルコール飲料のプリン体含有量は種類によって差があり、特にビールや一部の醸造酒では無視できない量が含まれています。一方で蒸留酒は比較的少ない傾向にあります。ただし、アルコールはそれ自体が肝臓での尿酸産生を促進し、腎臓からの尿酸排泄を抑制する作用があるため、プリン体含有量の多少にかかわらず過剰摂取には注意が必要です。

醸造酒

醸造酒は発酵の過程でプリン体が生じるため、アルコール飲料の中では含有量が高くなる傾向があります。最も多いのは地ビールで100mlあたり4.6~16.7㎎、次いで紹興酒が7.7~11.6㎎、一般的なビールが3.3~8.4㎎です。日本酒は1.2~1.5㎎、ワインは0.4~1.6mgと比較的少ない値を示します。

蒸留酒

蒸留の過程でプリン体がほぼ除去されるため、含有量は非常に少なくなります。ウイスキーは100mlあたり0.1㎎、ブランデーは0.4㎎、焼酎(25度)や泡盛はほぼ0㎎です。ただし、プリン体が少ないからといって飲みすぎてよいわけではなく、アルコール自体が尿酸値を上昇させる点に注意が必要です。

混成酒

梅酒は100mlあたり0.2mgと蒸留酒と同程度に少ない値ですが、果糖を多く含む点に注意が必要です。果糖はプリン体の代謝を促進して尿酸値を上昇させる可能性があるため、甘いお酒も飲みすぎには気をつけましょう。

プリン体の多い飲み物【アルコール以外】

プリン体が多い飲み物はアルコール飲料だけではありません。健康を意識して飲んでいる飲み物の中にも、尿酸値に影響するものがあります。

野菜ジュース

市販の野菜ジュースには果糖ぶどう糖液糖や砂糖が添加されているものがあります。果糖は体内でATPを急速に消費する代謝経路を活性化し、プリン体産生を増やすことで尿酸値を上昇させる可能性があります。野菜ジュースを選ぶ際は「食塩無添加」「野菜100%」「砂糖不使用」の表示を確認することが勧められます。

トマトジュースとスープ

トマトジュースも野菜ジュースと同様に砂糖や果糖ぶどう糖液糖が添加されていないものを選ぶことをお勧めします。また日常的によく使う調味料の中では、だしの素や中華だし・鶏ガラはプリン体含有量が非常に高い食品として知られています。プリン体は水溶性のため、濃いだしを使ったスープを大量に飲み干すと予想以上のプリン体を摂取することになります。汁を残すなどの工夫を意識してみましょう。

プリン体が多いだけでは尿酸値は大きく上がらない?

「プリン体が多い=尿酸値が上がる悪い物」という単純な構造ではありません。プリン体はDNAやATPの構成成分として体内で欠かせない役割を担っており、必ずしも悪い物質ではありません。同じプリン体量でも動物性食品由来は植物性食品由来と比べて尿酸値を上昇させやすいとされており、プリン体の「量」だけでなく「由来」も重要です。
また、アルコールはプリン体含有量とは関係なく、それ自体が尿酸値を上昇させます。体内での尿酸産生を増やし排泄を妨げるという二重の作用があるため、プリン体含有量が少ない蒸留酒や「プリン体ゼロ」のビールでも飲みすぎれば尿酸値に影響する可能性があります。アルコールはプリン体の量に関係なく注意が必要な飲み物です。

プリン体が不足すると現れる症状

プリン体は体内で合成される物質であり、通常の食生活において不足が問題となることはほとんどありません。そのため、特定の欠乏症が生じることは基本的にないと考えられています。むしろ、プリン体は過剰摂取による影響(高尿酸血症や痛風など)に注意が必要な成分であり、不足よりも過剰に気をつけることが重要です。ただし、体内のプリン体代謝の結果である「尿酸値」が極端に低い状態(低尿酸血症:2.0㎎/dl以下)では、以下のようなリスクが知られています。

運動後急性腎障害のリスク

腎性低尿酸血症など、体内の尿酸値が極端に低い方は、激しい運動をした後に激しい背中の痛みや吐き気を伴う「運動後急性腎障害」を起こしやすいことがガイドラインでも指摘されています。これは食事不足というより体質的な要因が大きいものですが、尿酸値が低すぎることのリスクのひとつです。

尿路結石のリスク

尿酸値が低すぎる場合、尿中に排泄される尿酸の量が過剰になっているケースがあり、それが原因で尿路結石(尿酸結石)を形成しやすくなることがあります。「尿酸値が低いから安心」とは限らない側面です。

抗酸化作用の低下

プリン体の代謝産物である尿酸には、血管内の活性酸素を除去する「抗酸化作用」があります。尿酸値が低すぎる状態は、この天然のバリア機能が低下している可能性を示唆しており、血管の健康維持という観点から研究が行われています。

プリン体を過剰摂取すると現れる症状

痛風発作(急性関節炎)

血中の尿酸値が高い状態が続くと、結晶化した尿酸塩が関節に沈着し、急性関節炎を引き起こします。足の親指の付け根に起こりやすく、突然の激しい痛みと腫れ・発赤・熱感を伴います。「風が当たるだけでも痛い」といわれるほどの激痛が特徴で、発作は数日で自然に治まることが多いですが、高尿酸血症が続く限り繰り返す可能性があります。

尿路結石

尿中の尿酸濃度が高まると尿酸が結晶化し、腎臓や尿管・膀胱などに結石が形成されることがあります。結石が尿管を塞ぐと背中から脇腹にかけての激しい痛みや血尿を伴うことがあります。

腎機能障害(痛風腎)

尿酸結晶が腎臓に沈着すると炎症を引き起こし、腎臓の働きが低下することがあります。この状態は「痛風腎」と呼ばれ、近年の研究では高尿酸血症そのものが慢性腎臓病(CKD)の発症や進行に関係していることも示唆されています。

プリン体を過剰摂取した時の対処法

プリン体を過剰に摂取してしまった場合でも、日常生活の中で対処できることがあります。ただし、すでに尿酸値が高い状態や痛風の症状がある場合は、医療機関への受診が優先されます。

水分をこまめに補給する

尿酸は尿として排泄されるため、水分を十分に摂ることで尿量が増え、尿酸の排泄をサポートし、健やかなサイクルを保つのに役立ちます。飲水量は1日の尿量を2,000mL以上に保つことを目標にします。水や麦茶を中心に補給し、果糖を含む清涼飲料水やスポーツドリンクは避けましょう。なお心臓や腎臓に疾患がある場合は、医師の指示に従って水分量を調整してください。

食事内容を見直す

プリン体の摂取量は1日400mgを目安に抑えることが基本です。レバーや魚の干物などの高プリン体食品は、摂取頻度と量に配慮しましょう。プリン体は水溶性のため、肉や魚は茹でる・煮るといった調理法を取り入れることで煮汁に溶け出し、摂取量を抑える工夫が可能です。ただし、煮汁やスープを飲み干すとその分も摂取することになるため注意が必要です。一方、乳製品・卵・豆腐・野菜・海藻・きのこ類はプリン体が比較的少なく、栄養バランスを整えるうえで積極的に取り入れたい食品です。また、野菜や海藻、きのこ類などを含むバランスのよい食事は、結果として尿をややアルカリ性に傾け、尿酸が排泄されやすい環境づくりに寄与するとされていますが、食品そのものの酸性・アルカリ性が体内の状態に直接反映されるわけではない点には留意が必要です。

適度な有酸素運動を行う

有酸素運動は肥満対策に役立ち、尿酸値を適正に保つ一助となります。歩行・ジョギング・サイクリングなど脈が少し速くなる程度の運動を、1回10分以上・1日合計30~60分程度行うことが推奨されています。一方で短時間の激しい無酸素運動はエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が大量に消費・分解され、その過程でプリン体が生じて尿酸産生が増加するため、尿酸値を一時的に上昇させる可能性があります。そのため運動の強度には注意が必要です。運動時は発汗による脱水を防ぐため、水分補給を忘れずに行いましょう。なお、尿酸値がすでに高い場合や痛風の既往がある場合は、運動の内容について医師に相談の上で行うことが勧められます。

「プリン体の多い飲み物」についてよくある質問

ここまでプリン体について紹介しました。ここでは「プリン体の多い飲み物」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

アルコール以外でプリン体が多い飲み物はありますか?

堀越 千聡(管理栄養士)

アルコール以外ではプリン体が特に多い飲み物はほとんどありませんが、果糖を含む甘味飲料や一部の健康飲料には注意が必要です。
アルコール以外の飲み物では、プリン体含有量が特に多いものはほとんどありません。ただし、清涼飲料水や果汁100%ジュース、コーラ、エナジードリンクなどに含まれる果糖(フルクトース)は、体内で尿酸の産生を促進することが知られており、プリン体そのものではなくても尿酸値を上昇させる可能性があります。そのため、尿酸値が気になる場合は、甘味飲料の過剰摂取に注意が必要です。また、ごく一部ではありますが、ビール酵母やクロレラ、スピルリナなどを原料とした健康飲料には、原料由来のプリン体が比較的多く含まれている場合があります。これらを健康維持の目的で継続的に摂取している場合には、摂取量に配慮することが重要です。

編集部まとめ

プリン体は、核酸やエネルギー源(ATP)の構成成分として生命維持に不可欠な物質です。一方で、過剰になると体内で尿酸が増加し、高尿酸血症や痛風、尿路結石、腎障害などのリスクを高める可能性があります。そのため、プリン体の摂取量は1日400㎎を目安とし、高プリン体食品や果糖を含む飲料の過剰摂取を控えることが重要です。あわせて、十分な水分補給や、乳製品・野菜・海藻類などを取り入れたバランスの良い食事、さらに適度な有酸素運動を継続することで、尿酸値の適正な管理につながります。

「プリン体」と関連する病気

「プリン体」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

代謝・内分泌系の病気

高尿酸血症

痛風(痛風発作)

腎・泌尿器系の病気

尿路結石

痛風腎(腎障害)

慢性腎臓病(CKD)

「プリン体」と関連する症状

「プリン体」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

関節の激痛

足の親指の付け根の腫れ

背中や脇腹の痛み

血尿

耳介のしこり(痛風結節)

参考文献

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 - Mindsガイドラインライブラリ

プリン体|e-ヘルスネット|厚生労働省