グループリーグ初戦のオランダ戦(△2-2)で勝ち点1奪取に貢献した日本代表DF谷口彰悟(シントトロイデン)が、充実感とともに次戦への警戒心を強めている。オフを挟んでチュニジア戦に向けて再始動したこの日、ベテランDFは他の選手がすべて通ったあと、最後にミックスゾーンにやってきて報道陣に対応した。

「第1戦は緊張感もあったし、疲労もだいぶ感じたので、一日休みをもらってリフレッシュできました」とさわやかに語った。

 カタールW杯を経験し、今大会ではチーム最年長クラスとして守備陣を支える34歳は、オランダ戦でも落ち着いた判断力と的確な配球で存在感を発揮した。大会公式データではパス成功率100%を記録したが、本人は「そんなに際どいパスは出していないからだと思います」と笑う。

 それでも、数字には谷口らしい哲学が表れている。「つなげるところはつなぐ。簡単に捨てボールにしない。そのあたりは今までもやってきたし、ワールドカップだからそれでいいというところには逃げたくない」。大舞台だからこそ慌てず、普段通りの判断を貫く。長年日本代表で培ってきたスタイルを崩さないことが、自身の役割だと考えている。

 第2戦の相手であるチュニジアは初戦でスウェーデンに1-5と大敗したことを受け、前任のサブリ・ラムシ前監督からエルベ・ルナール新監督へと指揮官が交代。大会中に監督が替わるという異例の状況にあり、戦い方が読みづらい。

「難しいゲームになることは間違いない。どう出てくるか分からないし、監督が替わってプラスのエネルギーを持ってくると思っている」。さらに日本にとって、第2戦は特別な意味を持つ。カタールW杯ではドイツ戦勝利の勢いに乗れず、コスタリカ戦で苦杯をなめた記憶がある。それだけではない。06年ドイツW杯以降、W杯のグループリーグ第2戦では一度も勝利がない。

「日本が第2戦であまり良い結果を出せていないことは選手も理解している。だからこそ、オランダ戦で取った勝ち点1を生かさないといけない。チュニジア戦は勝たないといけないという気持ちです」。ただ、その思いが焦りにつながってはいけないとも強調する。「勝ち急いだり、焦れたりすることなく、ちゃんと相手を見ながら丁寧に戦う。そこは相手がどこであろうと変えてはいけない」。経験豊富なベテランらしい言葉だった。

「年齢的にもポジション的にも、自分がドシッとしていないとチームが不安定になる。やるべきことを頭の中で整理して、言い聞かせながらやっている」勝利への強い思いと冷静な判断力。その両方を兼ね備えた谷口は、再び最終ラインから日本を支える覚悟だ。

(取材・文 矢内由美子)