国士舘高で着任7年目を迎えた本田総監督。写真:松尾祐希

写真拡大

 負けず嫌い。その想いが今も自身を突き動かす原動力なのだろう。御年79歳を迎えた本田裕一郎監督が久しぶりに全国舞台に帰ってくる。

 6月13日に行なわれたインターハイ東京都予選の準決勝。2校が出場できるレギュレーションのなかで、国士舘高は駒澤大高に2−0で勝利。17大会ぶりとなる夏の全国大会出場を決めた。

 一夜明け、東京都予選の決勝が開催され、国士舘高は成立学園と対戦。惜しくも0−2で敗れ、本田総監督が率いる国士舘高は東京第2代表としてインターハイが行なわれるJヴィレッジに乗り込む。

 決勝の試合前。本田総監督はこんな言葉を残している。こちらが「試合が終わったらたくさん話を聞かせてくださいね!」と伝えると、「試合に勝ったらだよ」と笑顔を見せてベンチに戻っていった。その負けず嫌いな性格は2000年から19年まで率いていた流経大柏の時と変わらない。今も昔も勝負師の顔は同じだった。

 流経大柏の頃は負けた後に行方をくらまし、話を聞けないこともよくあったが、今回の決勝後は悔しそうな表情を浮かべながら想いを口にしてくれた。ただ、そこでも開口一番に言ったのは、負けたくないということだった。

「2番じゃねぇ。あんまり行きたくないよね」

 誤解を恐れずに言うと、それほどまでに悔しかったのだ。もちろん、チームを預かるからには負けたくないという想いがある。さらに東京都のレギュレーションとして、真の東京王者を決める大会はインターハイ予選しかないことも本田総監督の悔しさを倍増させた。同じく2枠ある選手権はA代表とB代表でトーナメントが分かれており、関東大会もプリンスリーグ勢が出場していないからだ。
 
「今回は勝たせてあげたかったよ」

 では、古参の将はなぜこれほどまでに悔しさを露わにしたのか。それは選手に成功体験を与えたいという想いがあったからだ。

「やっぱり、1番になった経験があるのと、ないのでは全然違うんだよ。その後の人生でサッカーを続けていなかったとしても、別の世界で生きた時に意味があるからね」

 そうした選手を思う気持ちも、昔と変わらない。国士舘高にやってきて7年目。時間はかかったが、ようやく全国舞台に挑める。尚志の仲村浩二監督や昌平の藤島崇之チームダイレクターなど、習志野時代の教え子たちと戦うことに以前から意欲を燃やしており、モチベーションが高まるのも無理はないだろう。インターハイの話になると、今日の敗戦を胸にしまい、再び負けず嫌いな表情が顔をのぞかせた。

「インターハイは選手を勝たせてあげたい。みんなが集まればいいなとは思うけど(負けたくないから)」

 本田総監督にとって実に17年以来のインターハイ出場となる。久しぶりに戻ってくる名伯楽は「1回戦、2回戦、3回戦まではいけたらね」と控え目なコメントを残したが、心の中では虎視眈々と頂点を狙っているはず。テクニカルエリアで今もなお指示を飛ばすほど、燃えたぎる情熱を持つ本田総監督が夏の全国舞台でどんな闘いを見せるのか楽しみだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

【記事】「別格だった」アイスランド代表の主将が脱帽した森保ジャパン戦士は? 久保でも中村でもなく…日本代表の印象は「明らかに技術が高い」