「ロボット伴侶」登場、イケメンor美女を選べて予約数3800台―中国メディア
ロボットの開発と製造を手掛ける優必選(UBTECH、UBテック)がこのほど購入予約の受付を始めた感情寄り添い型人型ロボットのU1には、10日間で3800台以上の予約が集まった。UBテックが獲得した手付金は1000万元(約2億3000万円)を突破したことになる。複数の中国メディアが伝えた。
U1は家庭向けロボットだが、掃除や料理をさせるための「道具」ではない。主たる機能は「おしゃべりに付き合い、孤独を解消し、温かく寄り添う」ことだ。販売ターゲットは35歳から50歳までの独居者やキャラクターなどのファン、乙女ゲームと呼ばれる女性向けの恋愛シミュレーションゲームの愛好者などだ。いずれも中産階級以上を念頭においており、一言で表現すれば「物質には不自由していないが、寄り添いを欠いている人々」だ。あるオタクゲーマー(単にゲームが好きなだけでなく、キャラクターや世界観を深く愛している人)は、「もし価格が10万元(約230万円)前後に抑えられ、乙女ゲームなどのキャラクターと連動できれば、絶対に『爆売れ』する」と述べた。
この判断は根拠のないものではない。世界における感情寄り添い型ロボット業界は2025年に爆発的な成長を経験し、市場規模は前年比62.3%増の(約1兆4000億円)に達した。25年の世界における感情寄り添い型ロボットの貿易額は56億3000万ドル(約9000億円)で、中国からの純輸出が68.2%を占めた。12カ国ではこの種のロボットが医療保険のテストケースに組み込まれており、26年のB2Bでの販売量は33%成長に達すると予想されている。「孤独の解消手段」は極めて効率のよい商材だ。U1の3800台の販売は氷山の一角にすぎない。
U1のハードウェア関連の数値には目を見張るものがある。男性モデルは身長183センチで体重は42キロ、女性モデルでは168センチ、35.2キロだ。関節の自由度は88で、テスラのオプティマスの約40、宇樹科技のユニツリーH1のわずか19をはるかに上回る。うち顔面には20以上の自由度があり、1分あたり15−20回のまばたきや口角を8ミリ上げるなどの表情の微妙な変化も実現した。また、感情を育成させる人工知能(AI)の大規模モデルを搭載し、マルチモーダル感情認識やネットワーク切断時でも使用可能なローカル暗号化メモリーを利用できる。ユーザーは外観について注文でき、既存のキャラクターの取り入れも可能だ。そして購入は成人に限定されている。
ハード面での問題点としては、フル充電してもバッテリー駆動時間がわずか2−4時間であり、アプリ追加といった二次開発をサポートしておらず、歩行や握るなどの運動能力がないことだ。
U1の88の自由度はカタログ上では人々を感嘆させるが、業界内の観察者は、その実際の機能について「置かれた位置にいるだけの電子からくり人形」に似たレベルに依然としてとどまっている可能性があると疑問を呈した。さらに大きな問題は、現在のところ主流であるVLA(視覚−言語−動作)大規模モデルは、その出発点が人型ロボットのために専門に開発されたものではなく、高度な空間認識と精密な動作のフィードバックを処理する際には、往々にして能力が不足することだ。
また、U1では発注者が外観を細かく指定することができるが、注文によっては肖像権についての法律上のグレーゾーンの問題を引き起こす可能性がある。さらに、特定の有名人などを念頭に外観を注文した場合には、「本物に似ているがどこか違う」という状況が、使用する側に違和感、嫌悪感、さらには恐怖をもたらす可能性もある。
さらに懸念されるのは倫理的な側面だ。ロボットを感情の伴侶として用いれば、使用者に不健康な感情的依存を生じさせ、現実の人との交流をさらに弱める可能性がある。中国科学院自動化研究所の趙暁光研究員は、AI搭載のロボットはセンサーを通じて環境データを収集し続けるためにプライバシーを侵害する可能性があり、同時に、ロボットの自主的な意思決定が人身への被害をもたらした際、責任の主体がまだ明確ではないと指摘した。欧州ではすでに、厳格な立法を通じて最低限の安全性を確保する強力な規制が導入されている。一方で、現在の中国は、技術発展の推進を主要な方向としている。
U1の初回の引き渡しは9月15日までに完了する予定だが、業界内では生産能力の立ち上げ、不良品率の制御、および引き渡しの一貫性に対しての疑問が出ている。ある業界関係者は、「現在の世界におけるAI搭載型ロボットの主たる問題は、ある技術指標が遅れていることではなく、『確定的な生産能力』と『確率的な能力』の構造的なズレだ」と認めた。顧客が求めているのは安定して信頼できるロボットだが、業界が提供できるのは依然として、「実験的な性質の驚き」だ。
U1の3800台の予約という成績は十分に驚異的だが、これは物語の最初の1ページにすぎない。U1は人型ロボットが技術的なデモンストレーションから消費財へと飛躍したことを示しているが、今後はサプライチェーンの管理、感情アルゴリズムの自然さ、倫理面での論争という三重の試練を乗り越える必要がある。このような状況は、商品の大量普及よりも、ハイエンドの感情消費財としてより適している。その商品が「家庭における暖かい伴侶」になるのか、それとも高価な「電子からくり人形」になるのか――。その答えは、最初のユーザーが商品を受け取った後になって初めて明らかになる。(翻訳・編集/如月隼人)
