芳根京子&渡辺翔太、人見知り同士が初共演 早くもウェンディ&ピーターパンのように息ぴったり
◆演出家とのハードなワークショップから刺激
世界的名作『ピーターパン』に新たな登場人物を加え、ウェンディの視点から大胆に翻案した本作。2021年の日本初演に続きジョナサン・マンビィが演出を務め、ウェンディ役の芳根、ピーターパン役の渡辺のほか、鳥越裕貴、松岡広大、富山えり子、天野はな、玉置孝匡、池谷のぶえ、石丸幹二ら実力派キャストと共に観客を新たなネバーランドの物語へと誘う。
――『ピーターパン』のファンタジックな世界観から現代社会に通じるテーマを鮮やかに浮かび上がらせる本作。台本を読まれての感想はいかがでしたか?
芳根:この作品に挑戦するにあたり、アニメの『ピーターパン』を観返したのですが、「そうか、こういうお話だったのか」と幼い頃の記憶から忘れていたことがいっぱいあるな、と思いました。
台本を読むと、アニメとはまた一味違った、ちょっと大人な『ピーターパン』という印象で。生きることの尊さだったり、信じる力を描く、すごくパワーのある脚本だと感じました。ウェンディというとおしとやかなイメージが強かったのですが、この舞台ではすごく勇ましい女性なんです。いろいろな方に楽しんでもらえる『ウェンディ&ピーターパン』になるのではないかなと思います。
渡辺:こんな分厚い台本は見たことがなかったので眩暈がしました(笑)。ちょっと逃げる言い方みたいに聞こえてしまうかもしれませんが、僕の中ではお芝居をメインにされている方々の中にお邪魔しているという感覚があって。この作品に臨むにあたってチャレンジ精神のほうが強くあるかもしれません。
――稽古に入られる前にマンビィさんとのワークショップもあったとか。
芳根:1日6時間のワークショップを2日間みっちりやったのですが、すごく楽しくて! 難しいこともいっぱいありましたが、自分の固まっていた脳みそをほぐしてもらった感覚があって。普段落ちている脳みその電源を入れてもらった感じといいますか、新しい回路を開いてもらった感じが楽しかったです。
でも2人とも熱が出そうでしたよね?(笑)
渡辺:僕は本当に具合が悪くなりました(笑)。普段使わないような頭を使ったので、少し長めに休憩をくださいと。畑が違うというのもあって刺激がかなりあったのかもしれません。
芳根:マンビィさんって言ったことをなんでも褒めてくださったり肯定してくださったりするんですけど、渡辺さんが「ちょっと突拍子のないことを言います」と言い出したことが本当に突拍子がなくて(笑)。書かれている情報が何もない台本を渡されて、想像力を膨らませて演じるという課題だったので、間違いではなくすべてが正解なんですけど、「それは違うかも」とクスッと笑うマンビィさんといううれしい一面が見られたのが印象的でした。
渡辺:それも含めてワークショップということでいいですかね?(笑)
◆ウェンディ視点の新しい物語を全身で体感してもらいたい
――『ピーターパン』という世界的に有名な作品に臨まれるにあたり、観客の皆さんにはどう楽しんでもらいたいですか?
芳根:本当にたくさんの人が知っている物語ですが、今回の作品はまた新たな物語というか、ウェンディ視点の物語、ウェンディの夢のお話なんです。ウェンディが冒険に出かけているネバーランドを体験型のように一緒に楽しんでもらって、全身で素晴らしい時間を過ごしていただけたらいいなと考えています。
渡辺:この作品が決まった時に、ディズニーへ行きました。ピーターパンのアトラクションに乗って世界観を思い出したりしていたんですけど、今回の作品はディズニーのピーターパンからはかけ離れたものにしたいとマンビィさんがおっしゃっていました。お客様はたぶんピーターパンのパブリックイメージのまま劇場に来られると思うので、観終わった時にそことの乖離が生じているほど、満足度が高くなるのかなと想像しています。ウェンディ視点の、明るいだけじゃなく意外と奥深い、儚くて切ないネバーランドの側面をどれだけ伝えられるのかというのがポイントかなと思っています。
芳根:反対の感情が共存しているという話がワークショップでもあったんですけど、楽しい時に楽しければ楽しいほど、すごく悲しかったりするという真逆な感情が常にワンセットになっていて、それをみんな持っている。人間に単純な感情ってないじゃないですか。すごく人間味に溢れるキャラクターや物語だという印象があります。
渡辺:……これ、僕が言ったことにしてください(笑)。
芳根:(笑)。
◆芳根京子、ストレッチ中の“Snow Man”渡辺翔太に驚き
――今回初共演となるお二人ですが、お互いどんな印象をお持ちでしたか?
芳根:1度ドラマで少しご一緒したことがあったのですが、その時はお互い人見知りということもあり多分お話も全くしていなくて、お芝居以外で目があったかな?ぐらいでした。
その後、バラエティー番組でご一緒した時にはもう本作が決まっていたので「よろしくお願いします」とご挨拶したんですけど、バラエティーの現場だったのでまた違った印象で、ご一緒できることが心強いなと感じました。
渡辺:こうやって話していても分かるように、本当に太陽みたいな方なので。いろいろと引っ張ってもらっているんですけど、僕まだ読み切れてないというか。明るいし、ハキハキしているし、いつもニコニコしているじゃないですか。だからこそ、なんかありそうだな、家に帰ったらどうなんだろう?と解析できていない部分がまだいっぱいあります。
人見知りだということはお互いの共通認識なんですけど、芳根さんは“頑張る人見知り”なのかなと思います。静寂や気まずいのが嫌で頑張ってしゃべって明るくしてくれている。その明るさに本当に助かっていますね。ただ、まだちょっと肩の力を入れさせてしまっているのかなと思うので、稽古を通してカンパニー一同仲良くなって、気張らずにできるようになれたらいいなって思います。
――渡辺さんは“頑張らない人見知り”なんですか?
渡辺:頑張ってくれている人がいると乗っかればいいかなと(笑)。今回も甘えられるところは甘えて、引っ張れるところは引っ張って、持ちつ持たれつできればなと思います。
――劇中のピーターパンとウェンディの関係に似ているかもしれないですね。
渡辺:もう役作りができているのかもしれないです(笑)。
――フライングもこの作品の見どころになります。トライアルをされてみていいかがでしたか?
渡辺:キャーキャーうるさかった〜(笑)。高所恐怖症なんですよね?
芳根:こういう時は、先に話すんですね(笑)。フライングがあるので必要な筋肉を鍛えたいとトレーナーさんにご相談したんですけど、「たぶんもう筋肉じゃなくてメンタルの問題だと思う」と言われました。
渡辺:でも、上に上がっていくときのリアクションがピュアで、ウェンディを演じるにはそのままでいいんじゃない?と思うほど、キュートでした。
――渡辺さんはもう余裕な感じでしたか?
渡辺:まぁまぁ、そのへんはね(ドヤ顔)。
芳根:衣装は身に着けていなかったんですけど、もうすでにピーターパンでした。富山(えり子)さんと「足の角度がピーターパンだね!」と言い合うほど、すごかったです。
渡辺:飛ぶと足が勝手にシュッとなって。刷り込まれているんですよね。
芳根:でも、ワークショップでちょっと体を動かすことがあったんですけど、ストレッチをしている段階で一番苦しい顔をしていて! 「あれ? Snow Manさんだよね…?」ってなりました(笑)。
渡辺:普段の当たり前が当たり前じゃないっていうことに気づいたっていうか。柔軟とかあまりやらないんですよ、僕ら。それぞれが軽く自由にいい感じに体を動かしてライブに臨む。だから柔軟だけでも、汗びしゃびしゃになるんですよね。今回環境の違いに戸惑っている部分があります。土台からちゃんと丁寧にやるということの大事さも学びました。
◆2人の夢のような至福の時間は『名探偵コナン』&『炊飯器』
――今回ウェンディの夢の物語だというお話がありましたが、お二人がこれをしている時は夢の時間だなと思うのはどんな時でしょうか。
芳根:昨日はお稽古が思ってたよりも早めに終わったのですが、渡辺さんがソワソワしていて。「どうしたんですか?」って聞いたら、「僕、今日『名探偵コナン』観に行かないといけないんです!」と。“観に行かないといけない”ということはお仕事なのかな?と思ったら「プライベートです!」って(笑)。
渡辺:楽しかったですよ。コナンを観ながら、映画館のフードコートみたいなところで、たくさん食べ物を買って。しかも全部大きいやつ。夢のような時間でした。
芳根:ピーターパンそのままじゃないですか(笑)。
私は念願の酵素玄米を炊く炊飯器が昨日届いたんです。お米を洗う時間から幸せでした。炊き上がりを食べても美味しかったですし、今朝もおにぎりにして食べたのですが美味しくて! これから毎日楽しみです。
渡辺:現場で炊いてくださいよ。
芳根:渡辺さんは人が握ったおにぎりを食べられなさそうなので、炊飯器ごと持ってきます!
渡辺:よく分かったね(笑)。
――もう一つ、ウェンディやピーターパンの冒険に絡めて、あれは冒険だったなと感じる思い出を教えてください。
渡辺:この作品に挑戦するということが僕の中ではかなり冒険ですね。舞台やお芝居よりも、歌って踊ってバラエティーに出てというお仕事が多いので、生の舞台をやるという刺激はかなり冒険だし、本番期間毎日緊張すると思うんですけど、そういう緊張はあった方がいい刺激だと思うので、僕にとって『ウェンディ&ピーターパン』はかなりの冒険になると思います。
芳根:これからチャレンジしたい冒険でもいいですか? 一人旅をしてみたいです。ホテルに泊まるのがあまり得意じゃなくて、日帰り旅行ばかりしているんですけど、来年30歳になりますし、まずは国内からトライしてみたいと思います。
(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)
Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.16『ウェンディ&ピーターパン』は、東京・THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)にて6月12日〜7月5日、大阪・フェニーチェ堺 大ホールにて7月13日〜20日上演。
