仕事の早い人と遅い人は何が違うのか。経営アドバイザーの萩原雅裕さんは「共通点は『仕事の構造』を押さえていることだ。仕事の構造を押さえているから、良いたたき台を早く作れる。良いたたき台を早く作れるから、良いフィードバックをもらえて、どんどん仕事を進めることができる」という――。

※本稿は、萩原雅裕『たたき台の教科書』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/HAKINMHAN
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/HAKINMHAN

■「仕事の早さ」と「作業の速さ」は全く違う

若いときのことです。やる気に満ち溢れた私は、仕事を振られるや、どうすればいいのか「調べたり」「考えたり」していました。情報は得られるし、いくつかのアイデアは出てくるものの、「こうすればいいんだ!」という答えは見つかりません。

30分ほど経った頃でしょうか、サポート役の先輩がやってきました。

「ちょっと考えてみたんだけど、こんな感じで進めればいいんじゃないかな?」

と手書きのメモを見せられたのです。

『え? もう?』

手書きのメモとはいえ、ほぼ完成イメージができあがっていました。私はまだ考え始めたばかりだというのに。本来は自分がやるべきことを先輩に任せてしまった形になり、申し訳なさを感じました。と同時に、悔しいという気持ちも湧き出ていました。あまりにも悔しかった私は「もうちょっと考えさせてくださいよー。そうしたら、私もこういうの作れたのに」と冗談めかして返したものの、内心では強くショックを受けていました。

『なんで、こんなに早くできるんだ?』

強がったところで、自分は全然ダメだな……。

先輩と私の違いが「作業の速さ」ではないことは明らかでした。オフィスソフトを使いこなして資料を作るだけなら、私も負けなかったと思います。

仕事の早さとは、作業の速さではありません。最新のITツールやAIを使いこなせるかどうかでもありません。

世界トップレベルの会社にいると、とんでもなく仕事ができる人が周りにいるものです。幸運なことに、私はこれまでそういう人たちの仕事ぶりを間近で観察することができました。また、仕事の進め方やコツを聞いたりしながら、私は、自分の仕事の進め方についても試行錯誤してきました。

■仕事のデキる人の「決定的な違い」

そうして、長年の観察と試行錯誤の末に、たどり着いた結論が、仕事ができる人は「仕事の構造」を押さえているということでした。

仕事の構造を押さえているから、良いたたき台を早く作れる。

良いたたき台を早く作れるから、良いフィードバックをもらえて、どんどん仕事を進めることができる。

振り返ってみれば、あのとき先輩が作っていたのは、まぎれもなく「良いたたき台」でした。

決してむずかしい話ではありません。

仕事の構造は、方程式のようなものです。

一度覚えてしまえば、いつでも応用できるようになります。

「とりあえず考えてみて」と言われても、よくわからないので、結局すぐに手が止まってしまう。

よく聞く話です。

これは、具体的に何をすればいいかが明確になっていないからです。

仕事ができる人のもう1つの特徴、それは「具体的に何をすればいいか」がわかっていることです。そんなの当たり前じゃないか、と思うかもしれませんが、若いときの私が30分経っても何も作れなかったのは、何をすればいいのか具体的にわかっていなかったからです。

■「コンサル流」を学んでもうまくいかないワケ

書店には、コンサル流の分析手法やロジカルシンキングを解説した書籍がたくさん並んでいます。読者の皆さんもきっと一度は読んだり学んだりしたことがあるでしょう。それらはもちろん大事なのですが、それだけでは良いたたき台を作れるようにはなりません。

写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

実際、コンサルティングの仕事でお客様をご支援していると、そういった内容を「どこで」使えばいいかを誤解している方が多いことに気づきます。逆に「知っていても使うべきところで使えない」こともあります。また、「すぐ行動する」「走りながら考える」といった手法を重視する方もいますが、それでもやっぱりうまくいきません。

なぜなら、仕事を進めるとはどういうことなのか、がわからなければ、せっかく学んだ知識や技術をうまく使えないからです。

■いきなり完成版を目指してはいけない

「金づちを持つとすべてが釘に見える」という表現があります。便利な道具を手にすると、あたかもそれが万能のように勘違いしてしまい、いつでもどこでも、必要でないところでも使いたくなってしまう、という意味です。仕事を進めるためには、実は分析だけでは不十分なのですが、手法を知ると、分析さえすれば仕事が進むかのように錯覚してしまいます。

萩原雅裕『たたき台の教科書』(東洋経済新報社)

結局、自分が何をしたらいいのかが不明確なままでは、うまく進められません。何をしたらいいかを明確にする前に行動しようとしたところで動けませんし、「すぐ行動しよう」と思って動いたところですぐに止まることになってしまいます。

仕事を進めるためには「何を」考えればいいのか。そして仕事を進めるためには、具体的に「何を」したらいいのか。

ポイントは、仕事の構造を押さえた上で、やるべきこと(タスク)をアクション動詞で明確にしていくことです。そして、いきなり完成版を目指すのではなく、たたき台を作って、フィードバックをもらうことです。

仕事の構造に沿って、やるべきことをアクション動詞で明確にする

良いたたき台をすばやく作る

良いフィードバックが得られる

たたき台のバージョン2を作る

こうすれば、仕事がどんどん進むようになります。

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萩原 雅裕(はぎわら・まさひろ)
経営アドバイザー、Prodotto代表
1974年群馬県生まれ。慶應義塾大学卒業。米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(MBA)修了。NTTデータ、ベイン・アンド・カンパニー、日本マイクロソフトを経て、LINE WORKS(旧ワークスモバイル)の立ち上げに参画。2021年にProdottoを設立し、現在はベンチャー・中小企業の事業成長支援に携わる。著書に『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』(ダイヤモンド社)、『たたき台の教科書』(東洋経済新報社)がある。
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(経営アドバイザー、Prodotto代表 萩原 雅裕)