“韋駄天”釜元豪さん 米&野菜づくり…田んぼや畑を今は駆け回ってます 長崎県「K.G FARM」代表
【あの人に逢鷹(あいたか) ホークス戦士のその後】
ソフトバンク、楽天でシュアな打撃と、50メートル6秒0の俊足を武器に通算145試合に出場した釜元豪さん(32)は、生まれ故郷の長崎県諫早市で「K.G FARM」の代表を務める。相場に左右されない米づくりと、野菜づくりに慣れ親しんだ野球を重ねながら魅力を発信している。
周囲には田畑が広がり、小鳥のさえずりがきれいに響き渡る。釜元さんは「天気が良ければ雲仙普賢岳も一望できます。この辺りは景色が最高なんですよ」と誇る抜群の環境で、米と野菜づくりに励んでいる。
釜元家は祖父の代から農家だったことで子供の頃から米づくりを身近に感じていた。小学生の頃は田植えの季節になると、手伝うのが当たり前だった。「米の色が変わっていくのが好き」と笑みを浮かべる。
楽天で現役引退した22年オフにセカンドキャリアを考えた時、当時の米の相場が30キロで5000円から6000円の安価だったことに衝撃を受けた。「憤りというか。米づくりの苦労も知っているし、納得がいかなくて…。“農業はもうからない”というのを、何とかしたい」と決意。自身の頭文字を取った「K.G FARM」を設立した。
米づくりは今年で4回目。25年までソフトバンク4軍でコーチを務めたが、今年から再び農業に集中している。野菜はゴーヤー、トマト、パプリカ、トウガラシ、ソラマメ、スイートコーンなど、ビニールハウスや露地栽培を駆使。天気や温度など気象条件は毎日違う。その様子に慣れ親しんだ野球を重ね「同じコンディションはない。試合で同じボールは来ない。状況に応じて最適と思うことをやる」とモットーを語る。育てた野菜は諫早、大村、長崎市内の直売所で販売している。
もうすぐ田植えの季節だ。米の相場は30キロで約1万5000円台に回復しているが、安心はできないという。新たに米の保管庫を増設するなど、相場に左右されない環境づくりに励んでいる。生産者となった今、食べるという要素は絶対に必要なことと、再認識している。「最終的に頼られるのは僕らの仕事だと思う」と誇りを胸に闘っている。
黄金色に染まった稲穂と、野菜の収穫、そして手に取ったお客さんの満足そうな笑顔を見るために釜元さんは、毎日、“田んぼ”という名の新たなフィールドで汗を流している。 (杉浦 友樹)
◇釜元 豪(かまもと・ごう)1993年(平5)9月3日生まれ、長崎県出身の32歳。長崎西陵では甲子園出場なし。11年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。15年7月に支配下登録される。16年9月14日の楽天戦で1軍デビュー。21年オフに戦力外通告を受けて楽天に移籍し、22年限りで現役引退。24、25年はソフトバンク4軍外野守備走塁コーチ。現在は週1で野球振興部アカデミーコーチを務める。
