圧倒的名著が大リニューアル!『新版 哲学の謎』はじめに公開

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圧倒的名著が完全リニューアル!哲学をはじめるなら、まずはこの本から。

5月19日発売の新刊『新版 哲学の謎』は、ふだんづかいの言葉を使って哲学のギモンに迫る一冊です。

刊行から30年、世代を超えて読み継がれる名著の新版となる本書より「はじめに」を公開します。

30年ぶりの名著復活

S** なに読んでるの?

N** 『哲学の謎』という本なんだけどね。

S** 面白い?

N** いや、自分の口からはちょっと。

S** なに、自分の口って。

N** なんでもない。その「はじめに」のところでこんなことが書いてある。ちょっと読み上げてみよう。

世に哲学の専門家は少なくない。しかし、根本的な問題に捕われ続けて言葉少なになるよりも、そこを手際よく擦り抜け、枝葉の剪定(せん てい)で植木の枝振りを競うという、より仕事の多いところに身を置く者もまた、少なくない。それはまた、哲学を職業として成り立たせるために無理からぬことでもある。そして数多くの論文が生産される。だが、根本的な問題であればあるほど、もとの粗野な姿のまま残されている。もし、学問や職業と無縁の素人たちが、成熟も洗練も無視して無邪気で強靭な思索をそこに投げ掛けたなら、哲学の専門家たちも立往生するしかないだろう。必要なのはただ、知的蛮勇なのだ。

私自身はもう素人ではない。蛮勇もいささか失せかけ、そろそろくたびれ始めた専門家のなりそこねというにすぎない。しかし、それでも、どうにかしてなけなしの知的闊達さを鼓舞し、哲学の謎たちに立ち向かい、右往左往している自分自身の姿を描き出してみたかった。明確な答えがあるわけではなく、それゆえうまく論文にのせることができないでいる、しかし、だからこそ大事な問題を、へぼな答えで謎としての生命力を失わせないよう、謎のまま取り出してみたかったのである。

S** このとき、著者は何歳?

N** 四十二だね。

S** 厄年じゃん(笑)。「くたびれ始める」にはまだ早い。

N** あれから三十年。いまこうして私たちはその『新版』に登場している。

S** てことはぼくたち、じーさんかい?

N** いや、読者は自分の年齢を投影してくれればそれでいいと思うよ。

S** じゃあ、中学生かもしれないってことだね。

N** 旧版のときに、中学生から手紙が来て、「私が考えていたのは哲学だったんだ」って書いてあった。

哲学的思考のドキュメント

S** あのさ、宣伝のために言うんじゃなくて、旧版でもう読んじゃってる人にもぜひ読んでほしいな。

N** ある程度旧版の姿は残っているけれど、ほぼ全面的に書き直されてるからね。

S** でも、哲学の問題たちを謎のまま取り出すという姿勢は変わらない。

N** それはそう。私たちが目指したのは、読者を哲学の問題に巻き込むこと。答えを与えるんじゃなくて。

S** どうせぼくたちに答えは与えられないから。

N** いやいや、けっしてあきらめてはいないさ。実際、私たちの対話で、もちろんゴールには至っていないけれど、少しずつでも前進していると思う。

S** そうかな。なら、いいけど。

N** 全編私たちの対話で、でも、けっして私と君とが異なる立場を代表して論戦を交わすという形にはなっていない。

S** 君は哲学のことをある程度知っていて、ときどきウィトゲンシュタインとか出てくるけど、別にぼくが君に教わるといった一方的な関係じゃない。

N** 私もしばしば君にやりこめられてるし。

S** 別にやりこめてるわけじゃないさ。でも、君も途中で考えを変えたりしてね。

N** だから、これは哲学問題に向かう私たちの共同作業なのだよ。

S** 著者はいつもこんなふうに頭の中で対話してるんだろうな。

N** つまり、これは哲学的思考のドキュメントというわけだ。

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