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政府は「就職氷河期世代」向けに、2028年度までの3年間計画として新たな支援プログラムを取りまとめた。

就職氷河期世代とは、1993年~2005年頃(1970年~84年生まれ)に新卒で就職活動を行い、バブル崩壊後の厳しい雇用環境に直面した世代だ。現在40代半ば~50代半ばで、約1700万人いるとされる。

この世代は非正規雇用が多く、将来受け取る年金が少なくなる可能性が高い。そのため、このまま安定した職業に就くことができないと「生活保護受給者」が急増するおそれがある。そうすると国の財政を圧迫することになるので、今の段階から正規雇用を増やす支援を行っていくというわけだ。

また、この世代は第二次ベビーブームの「団塊ジュニア世代」と重なり、人口ボリュームが大きい。人手不足の今、支援することで労働力として確保すれば、結果的に社会全体の経済活性化にもつながるだろう。

支援プログラム、就労の改善など3本柱

新たに策定された支援プログラム「3本の柱」は、(1)就労・処遇改善(2)社会参加に向けた段階的支援(3)高齢期を見据えた支援――となっている。

(1)は「ハローワークの専門窓口で一貫した伴走支援」「リ・スキリングの支援」「公務員としての採用」。(2)は「ひきこもり支援を行う自治体への支援」「柔軟な就労機会の確保」などだ。

(3)は今回新しく出てきた支援の形だ。氷河期世代からも数年後には高齢期を迎える人たちが出てくるためである。

具体的には、①65歳を超えても働く機会の確保……従業員が70歳まで働けるよう取り組んでいる企業への助成金を拡充。②65歳を超えたときの所得を補償…短時間労働者の保険適用拡大で年金増。③老後の生活設計のための住宅確保の支援…年齢を理由に入居を拒まれない「セーフティネット住宅」の供給、公営住宅の年齢要件撤廃、都市再生機構(UR)住宅の家賃減額などが支援として挙げられている。

就職氷河期世代に関しては、間近に迫った問題でもあり、こうした政府のプログラムで対応せざるを得ないのは理解できる。しかし、将来的には労働市場の抜本的な改善が必要だ。

こうしたテーマで必ず問題になるのは「正規(正社員)」と「非正規(アルバイトなど)」の収入格差。正規・非正規の賃金格差は欧米にもあるものの、正社員と非正規の間に「賃金2.5倍」もの深刻な格差が固定化しているのは日本だけである。とくに欧州では「同一労働同一賃金」が基本なので、日本のように雇用形態が賃金に及ぼす影響は大きくない。

日本では、2020年4月から(中小企業は2021年4月から)同一労働同一賃金の制度が施行された。制度には直接的な罰則は設けられていないが、労働者から待遇差に関する説明を求められた場合、企業にはその内容を説明する義務がある。同一労働同一賃金が徹底されなければ、個々人の事情に合わせた多様な働き方などの実現はかなり難しい。

文/横山渉 内外タイムス