日ハム、加工技術で次世代食品を開発 大豆で牛肉再現、培養肉も研究

日本ハムが、植物由来の「代替タンパク質」の開発に力を入れている。人口増加や気候変動で将来の食料不足が懸念されているためだ。肉や乳製品の事業で培った加工技術を活用し、大豆をベースにした新素材で牛肉の味や食感を再現。動物の細胞から作る培養肉の研究も進め、次世代食品による安定供給を目指す。
東京都渋谷区の高級四川料理店で2月、大豆ベースの新素材「FiTeiN(ファイテイン)」を使った料理が期間限定メニューとして並んだ。チャーハンやマーボー豆腐など8品目で、価格は2千〜4千円台だ。井上和豊料理長は「くせがない味で、加工がしやすい。新しい食材として可能性を感じる」と説明した。注文数は多くなかったものの、客からは「ベジタリアンや食材に制限がある人への選択肢として有用だ」との意見が寄せられたという。
新素材はタンパク質と食物繊維を多く含み、牛肉の持つ繊維のほぐれ感もあるという。原材料の選定や、加熱や成形といった機械の運転条件について試行錯誤して商品化にたどり着いた。日本ハムの大石泰之執行役員は、消費者の健康志向を踏まえ「肉と異なる新しい価値を提案していきたい」と強調し、外食や小売業での拡大に意欲を示した。
食料不足問題を巡っては、2050年に動物性タンパク質が約6千万トン不足するとの試算がある。日本ハムは豚の細胞をタンクで培養する培養肉の研究にも取り組んでいる。
培養肉は消費者庁が安全性を確保するためのガイドラインを議論している段階で食用にはできないが、食料不足を和らげる有効な手段とみられている。大石氏は、今後の商品化に向けて「(他社に開発で)負けないよう頑張りたい」と意気込んだ。
調査会社の富士経済によると、2024年の代替タンパク質食品の国内市場規模は、アーモンドミルクなどが人気で1239億円に上った。2030年には2割増の1473億円に拡大すると見込む。目時尚美エキスパートは、市場の拡大には「消費者が興味を持ち、小売店に並ぶ環境が整う必要がある」とも指摘した。

