「野球は9回にドラマがある」では高校野球7回制移行を止められない!死亡者出れば夏の大会中止のリスクも
日本高野連は昨年12月に「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」による審議結果を報告した。7回制については、熱中症対策などの観点から28年度からの同制度導入を提言する踏み込んだ内容となった。検討会議が昨年1月から計10度の会議を開いて導き出した結論は「7回制採用が望まれる」だった。
一方、現場の拒否反応は根強い。日本高野連が加盟校を対象に実施したアンケートでは賛成20・8%に対し、反対70・1%だった。アマチュア野球を担当する記者も高校野球の練習グラウンドに行く度に「どうにか7回制への移行を止めることはできないのか」と反対意見を聞く。
一高校野球ファンとしては7回制移行なんて言語道断と思う。高校野球がつないできた歴史を分断する施策は許せない。ただ、私の前職は地方公務員で(行政職)、全国に地上波放送される駅伝大会を担当していたこともあり、運営側の思惑も理解できる。特に当事象は人の命に関わる問題であり、感情論よりもエビデンス(根拠・裏付け)が重要視される。
「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」においては7回制移行を是とする多くの根拠が示された。当然だ。そもそも、日本スポーツ協会の「熱中症予防5ヶ条」に則ると、夏の炎天下における野外運動自体が、熱中症リスクを上昇させる事象に当てはまってしまう。だから「検討会議」が始まった段階で7回制反対派は相当に不利な立場にあった。
医師や公的機関が示す根拠を前にすると「野球は8、9回にドラマが起きるから」などという現場からの反対意見はあまりに弱い。そもそも反対意見多数というのは既にアンケートによって数字に出ているため、これ以上感情論をぶつけても効果は期待できない。
また、暑さ対策を軸にした7回制移行の一丁目一番地は「三角形の底辺」にある。過酷なトレーニングで鍛え抜かれている「甲子園組」ではなく、地方大会1回戦で大敗するようなチームの選手にこそ熱中症による重傷者が出ないか、危惧されている。もし、夏の地方大会で1人、死亡者が出れば大会継続も危ぶまれる。世間から大バッシングされ、政治の世界からも声が飛んできそうだ。
結局、何が言いたいか――。7回制移行を阻止したければ「9回制派」は納得させるだけの意見、根拠を考える必要がある、ということだ。私も9回の高校野球が見たい。だから「ドラマがある」なんて浅い意見に終始せず打開策がないか、思考を巡らせている。もう、あまり時間はない。現場の指導者と選手たちよ、いまこそ一緒に本気で考えよう。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)
