「串カツ田中」は「ユニシア」に…慣れ親しんだ社名から続々変更「有名企業が改名」の理由と落とし穴
社名変更「3つの傾向」
「ぺんてる」が「アストラム」、「マルハニチロ」が「Umios」、「串カツ田中ホールディングス」が「ユニシアホールディングス」……。
今年に入り、社名を変更する有名企業が続出している。
大手文具メーカー「ぺんてる」の新名称「アストラム」はラテン語で「天体」の意味で、知性と感性に寄り添うステーショナリー事業にマッチするのだとか。
水産加工大手「マルハニチロ」の新社名「Umios」は「umi(海)」「one(一体)」「solutions(解決)」という3つの言葉の組み合わせだ。外食チェーン「串カツ田中」の新しい企業名「ユニシア」は、「uni(一つの)」と「sea(海)」を合わせた造語だという。
なぜ多くの企業が、慣れ親しんだ社名を変更するのだろうか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏によると「社名を変える企業には、これまで主に3つの傾向があった」という。
松崎氏が語る「3つの傾向」は以下の通りだ。
1:創業者を冠した名前から消費者に浸透したブランド名に変更。松下幸之助が始めた「松下電器産業」が「パナソニック」になったのは、その好例だろう。
2:複数の企業の統合などで長くなった社名をシンプル化。’90〜’00年代に本格化した都市銀行の合併は典型的だ。第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が再編された「みずほフィナンシャルグループ」がわかりやすい。
3:漢字の日本名を略して親しみやすさを演出。「日本電信電話」は多くの事業を集約し「NTT」になった。
企業の寿命「30年説」
松崎氏が続ける(以下、コメントは松崎氏)
「最近の社名変更には、上記の3つの特徴とは別に4つ目の理由があります。グローバル化や主要事業の変化です。例えば旧『串カツ田中』は事業の多角化を進め、イタリアンチェーンを買収。米国にも進出し、カツサンド店を展開しています。海外の消費者の耳にも馴染みやすい社名にし、串カツだけのイメージを刷新したいのでしょう。
企業名の変更は消費者に新鮮な印象を与え、『わが社は生まれ変わります』というメッセージにもなります。企業には『30年寿命説』がある。会社が成長できる期間は30年が限界、という考えです。バブルが崩壊し日本が新たなスタートを切った’90年代半ばから今年で約30年。社名変更の続出は、社会状況の変化で各企業が事業の大きな転換を求められている証左でしょう」
一方で社名変更には「落とし穴」もあるという。
「慣れ親しんだ社名を変えるのですから、リスクが伴います。新しい名前を消費者に浸透させるためには宣伝をせねばならず、莫大な費用がかかる。『ニデック』(旧『日本電産』)や『第一ライフグループ』(旧『第一生命ホールディングス』)が、新社名を何度もアナウンスするCMを頻繁に流しているのをご存知の方も多いでしょう。
また新社名が外国語になった場合、何をやりたい会社なのかを消費者が理解できないケースもあります。横浜銀行と東日本銀行の経営統合に伴い誕生した『コンコルディア・フィナンシャルグループ』は社名が浸透せず、『横浜フィナンシャルグループ』に変更になりました。改名の仕方によっては、これまで積み上げてきた社名の『親しみやすさ』を捨てるだけで、認知度が一気に下がる危険性がある」
著名企業の相次ぐ改名は、はたして吉と出るのか。結果は消費者が出す。
