墓石端材で一点ものの食器 愛知・岡崎、国内外で好評

全国有数の石の産地として知られる愛知県岡崎市の石材店が、墓石や石碑の端材を活用した食器やインテリアを制作している。手がけるのは「稲垣石材店」常務取締役で4代目の稲垣遼太さん(35)だ。石の色味や模様、質感を生かした商品は「一点もの」として評判で、国内外の飲食店などから注文が相次ぐ。(共同通信=中西美希)
同社の主な事業は墓石の製造販売。同市では良質な花こう岩(御影石)が採れ、古くから石工品の生産が盛んだ。ただ、地元の石材店などでつくる協議会によると、需要の減少や後継者不足、安価な海外製品に押され、最盛期に350軒ほどあった市内の石材店は90軒弱にまで減少した。
稲垣さんはこうした現状に危機感を覚え「石の価値や職人の技術を伝える場をつくりたいと考えるようになった」。墓石などを製造する過程で発生し、産業廃棄物として処分する端材の活用方法についても模索していた。
2017年に器のような品をインターネットに出品すると、神戸市のステーキレストランから石の食器を作れないか、と相談があった。石の蓄熱性を生かしたいとの要望で、機能性とデザイン性を兼ね備えた黒御影石製のステーキ皿を完成させた。
その後も飲食店から注文が寄せられ、2020年4月にブランド「INASE」を立ち上げた。商品は食器や箸置き、お香立てなどさまざま。これまでに国内外の高級レストランや国内のホテルに、食器や「寿司下駄」、花器などを納品した。
端材や各地で仕入れた石計100種類以上を取り扱う。オーダーメードが中心で、同社の職人が石を削ったり磨いたり、割り砕くなどして生み出す。端材の廃棄量は、年間平均約10トンから5トンにまで半減した。
リピーターも多いといい、稲垣さんは「商品を通じて、石の奥深い魅力を知ってほしい。職人の技術継承にもつながれば」と期待を込める。

