私は昨年に続き、アンダー&オーバーステアを担当した。アンダーステアが発生する原因=スピード、ステアリングの切りすぎ(過大)を滑りやすい円版の上(すなわち低速)で自らが操作して状態を作り出し、修正する術までを体験する。オーバーステアも体験は同様だ。

まずはみんなで同乗して私がデモを行い、続けて一人ずつトライをするのだが、はじめから「待ってました!」とばかりに前のめりな車好きな女性もいれば、「怖い、怖い」と腰が引けてビクビクしながらスタートする方もいて、反応は人それぞれ。怖いのも当然だ、経験したことがないことをするのだから。しかしほとんどの方は「面白くなってきました〜」とだんだん積極性が増していく。しかも参加者は車酔いに配慮し、同乗せずにご自分の順番になったらドライバー交代をすればよいというのに、皆、乗りっぱなし。ちゃっかり他人の成功/失敗体験からも学ぼうとする姿にこちらも熱が入るというもの。果たして車内はいつも賑やかだった。

「女性だけのプログラムなので、安心して参加できました」という複数の感想を楽しそうに話してくれた様子から、きっと他のプログラムの車内も賑やかで和やかだったことが想像できる。

私が30年近くインストラクターをしている(アウディでは15年くらい、アウディ以外のメーカーや施設、企業などでも行っている)理由は、車の性能や技術が進化しているのにそれを使うドライバーの理解があまり進んでいないと感じるから、というのもひとつの理由なのだ。安全な場所で、ときには様々な(なかには限界性能を超えた)体験をすることで「車ってすごい!」とか「頼もしい!」とか「楽しい!」と気づく、またはリマインドする機会になることを願ってずっと続けている。

そんな私から見て、アウディ・ドライビング・エクスペリエンスはアウディというブランドらしいホスピタリティを用意しながら実にフレンドリーでアットホーム。インストラクターといっても参加者が行う様々な体験をより体験しやすくなるように、各インストラクターの技術と知識と経験をもって”サポートする”、という意識でインストラクションをしている点が素晴らしいと思う。”先生”な感じではないのだ。

アウディのドライビングイベントはアウディオーナーを中心とする”売った後”もオーナーを大切にするプログラムも少なくない。一方でアウディオーナー、アウディ以外のユーザーも参加できるイベントも少なくない。それから同伴者も多くいらっしゃる傾向があり、今回はそんな同伴者向けのプログラムもメインプログラムの裏で進行していた。同伴者にずっと見られているより、むしろ他のプログラムを楽しんでいてもらう方が、参加する方も気楽というものだ。

過去に参加経験のあるお母さんやお父さんが娘を参加させるケースはめずらしくない。昨年はこのイベントを知った息子さんがお母さんへのプレゼントとして参加申し込みをされた方がいた。パートナーを伴っていらした方のなかには「帰りは助手席で帰りま〜す」というチャッカリさんもいた。

「国際女性デーらしい一日を過ごしたくて参加しました」と話してくれたTTオーナーさんは最近、サーキット走行もするほどドライビングにハマっているそう。様々なきっかけで参加される女性たちすべての方にとって、有意義な一日になったことを心から願うばかりだ。

文:飯田裕子 写真:アウディ ジャパン
Words: Yuko Iida Photography: Audi Japan