大和田伸也78歳「可愛い子が次々に現れて、集めたぬいぐるみは約200体。外出先で一緒に写真を撮りSNSにアップする<ぬい活>に、家族の反応は…」
お気に入りのぬいぐるみと外出したり、一緒に写真を撮ったりして楽しむ「ぬい活」がブームです。そんななか、大和田伸也さんがぬい活の様子をSNSで発信し、大きな話題を集めています。「家族であり、相棒でもある」というぬいぐるみと過ごす魅力とは?(構成:上田恵子 撮影:洞澤佐智子)
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<前編よりつづく>
フワフワな触り心地で優しい気持ちに
先ほど「集めたぬいぐるみは約200体」と言いましたが、フィギュアも100体ほどあります。最近、それらを置く専用の部屋がいっぱいになってしまい、寝室の片側の壁一面を棚にして、そこにも飾るようになりました。
水族館など、行った先々でしか買えない子をお迎えしてしまうので、増えることはあっても減ることはないでしょう(笑)。可愛い子が次々に僕の前に現れて、抗えないんですよ。
家族の反応ですか? 妻(女優の五大路子さん)は何も言いませんが、子どもたちはぬい活に大賛成です。最近は自撮りだけでは追いつかなくなっているので、息子にも撮影を手伝ってもらっています。
僕は今でこそSNSに楽しく写真や動画を投稿していますが、ぬい活を始めた当初は一人でひっそりと楽しんでいました。自撮りに慣れておらず、写真も下手でしたからね。それでも公開しようと思ったのは、ぬい活の魅力を多くの人に知ってほしかったから。
ぬいぐるみと一緒に写真を撮っていると、気持ちがものすごく穏やかになるんです。そして子ども時代に戻ったような懐かしさやワクワク感も覚え、その気持ちを誰かと共有したくなる。ぬいぐるみって、手触りがフワフワしていて優しいでしょう。触っていると、気持ちまで優しくなりませんか?

自宅には、集めたぬいぐるみやグッズがところ狭しと並ぶ(写真提供:大和田さん)
僕らの仕事は、撮影の合間に長い待ち時間が発生することがあります。以前はイライラしてしまうこともあったのですが、ぬいぐるみと一緒だと「仕方ないね。のんびり待っていようね〜」と、ゆったり構えていられる。その穏やかな気持ちは、不思議と周りにも伝播するんです。
僕は長年、時代劇『水戸黄門』の格さん役で「え〜い、静まれ、静まれ!」と悪人を成敗していたこともあり、世間からは「怖い」「話しかけにくい」というイメージを持たれていたようです。
でも、ぬいぐるみと一緒にいる僕からは、そういう怖いオーラは出ていないのでしょうね。「僕もポケモンが好きです」とか、「今日はどの子を連れてきたんですか」と、街で話しかけられる機会が格段に増えました。
僕はゲームに興じる様子をユーチューブで配信しており、そこでは「しんちゃん」と名乗っているのですが、最近は小さなお子さんから「あっ、しんちゃんだ!」と声をかけられることもしばしばです。(笑)
ぬいぐるみは人の心を和らげるだけでなく、会話のきっかけにもなる。ぬい活は、単なる趣味とは少し違う――大人も子どもも、性別も国籍も関係なく、人と人を繋いでくれるかけがえのないものなんです。
ささやかでいいから夢を持ち続けたい
僕のSNSには、いろいろなコメントが届きます。なかには、「自分もぬいぐるみが好きなおじさんです。大和田さんを見て勇気が出ました」という方や、「入院中ですが、枕元にぬいぐるみを置いていると笑顔になれます」という方も。
その方は、看護師さんたちがぬいぐるみと一緒に写真を撮りたがるそうで、それがまた誇らしくて元気が湧くのだとか。そんなコメントを読むたびに、ぬい活をしていてよかったなあと思います。
人は年齢を重ねると、何かやりたいことがあっても「もういい年だから」と諦めがちでしょう。僕も以前はぬい活に対してそう思うことがありましたが、今は同志がたくさんいるとわかり、自由にのびのびと楽しめるようになりました。いまや、生活の一部です。
少し勇気を出せば、新たな扉が開くこともある。心を動かすものとの出合いに、年齢や性別は関係ありません。それが若者に人気のゲームであれ、何であれ。みなさんも興味を引くものと出合ったら、一歩踏み出してみることをおすすめします。

飲食店でのぬい活は欠かせない。ぬいぐるみとかき氷を囲んで(写真提供:大和田さん)
10月31日からスタートしたテレビアニメ『ポケットモンスター』の「ライジングアゲイン」編では、声優としてブルーベリー学園のシアノ校長を演じる機会にも恵まれました。大好きな作品に参加できるということで、喜びもひとしおです。
僕は昔から、色紙にサインするときに「夢と情熱」という言葉を添えています。夢を持ち、叶えるために情熱を傾け、一生懸命努力する。それこそが人生の幸せなのだという思いを込めた言葉ですが、年齢を重ねるほど夢の大切さに気づかされます。
夢があると人生にハリが出て、生きることが楽しくなるんですよね。ささやかなものでもいいので、夢だけは常に持ち続けたいと思っています。
僕自身の大きな夢としては、死ぬまでに映画をもう1本作りたい。過去にも一度作ったことがあるので、お金も時間も膨大にかかることはわかっています。それでも、いつか叶えられたら最高です。
小さな夢としては、引き続き相棒たちと一緒にあちこちに出かけたい。そのためには健康でいないといけませんから、週に1回、自宅近くのプールで泳ぎ、リフレッシュすることを心がけています。
ぬい活は僕にとっての癒やしであり、明日への活力。これからも自分らしく楽しみながら、充実した毎日を送っていきたいです。
