自民党圧勝で皇室はどうなる?実は理解者が少ない「皇室を続けること」の本質/倉山満
自民党の歴史的な大勝でその幕を閉じた衆院選2026。その結果次第で「皇位継承問題がどう動くのか」を注視していたのは憲政史研究家であり、皇室史学者の倉山満氏だ。
中道改革連合が勝利すれば野田佳彦共同代表の発言力が高まり、高市早苗首相が三分の二の多数を得れば「旧皇族の皇籍取得」のみで強行採決する可能性もあったなど実は、この衆院選は皇位継承問題にとって大きなものでもあったのだ。
◆選挙後、皇位継承問題は進むのか
総選挙である。選挙後に皇位継承問題、果たして進むのか。はたまた停滞するのか。
一つは中道改革連合が勝利。この場合、野田佳彦共同代表の発言力が高まる。手が付けられない。ただでさえ国会の全体会議は「野田さん一人を説得する会議」と言われているのに……。
もう一つは高市早苗首相が勝利。特に三分の二の多数を得ると、「旧皇族の皇籍取得」のみで強行採決する可能性もある。実際に、高市首相の支持者の中には、そのような強硬論もある。そこまでの与党勝利なら、野田代表の退陣は必至であろうから、歓迎ではあるが。
◆そもそも皇室を続けたいのか、否か
そもそも論である。皇室を続けたいのか、否か。ここで否と答えるならば、議論にならない。今の時代、表立って「天皇制打倒」など、共産党だって言わない。この点は合意できている。しかし、その次を理解していない御仁の分際で、皇室にモノ申す不届きものが多くて困る。政治家は仕方ないとしても、専門家を気取るなら、以下の知識ぐらいは持っていてほしい、基礎的な話だ。
皇室を続けるとはどういうことか。そもそも皇室とは何なのか。
我が国の皇室は、初代神武天皇以来、2686年間、一度も途切れずに続いてきた。『日本書紀』によると、神話の時代からだと約180万年続いてきたとされる。年代が特定できる史実から数えても、1400年以上。圧倒的に世界最長不倒の伝統を続けている。
◆「皇室を続ける」とは何か
続けているとは、どういうことか。神話や伝説の時代から、皇位の男系継承が続いていることである。歴代百二十六代、南北朝時代の五人の天皇を含め、全員が神武天皇の男系子孫である。よく誤解されるが、八方十代の女帝も男系子孫である(重祚と言って、二回即位した天皇がいるので、代数と人数がずれる)。百二十九人の天皇は、八人の男系女子以外は、全員が男系男子である。皇室における男系とは、父親の父親……とたどっていくと必ず天皇・皇族にいきつくことである。だから男子であれ女子であれ、皇族は必ず神武天皇の子孫である。
例外的に、結婚によって皇族になった女性は違う。皇室は一般人の女性を受け容れてきたが、一般人の男性を一人も受け容れてこなかった。なぜか。男は子供が産めないからである。これを男性差別だと言われても、そういう伝統で続けてきた。
◆正統(せいとう)と正統(しょうとう)の違い
歴代天皇には、正統(せいとう)と正統(しょうとう)がある。正統(せいとう)とは、即位した本物の天皇のこと。反対語は「偽」「異端」になる。南北朝時代は天皇が並立したが、正統(せいとう)から外された北朝の天皇は「偽」とはされず、「閏」(じゅん)とされた。
正統(しょうとう)とは、子孫が皇位を継いだ天皇・皇族のこと。たとえば、伝説の時代では、初代神武天皇から第十二代景行天皇までは父子継承。十二人全員が、正統(せいとう)で正統(しょうとう)。第十三代は景行天皇皇子の成務天皇が継いだ。しかし、子が無かった。そこで兄の日本武尊の皇子(成務から見て甥、景行から見て孫)が継いで、第十四代仲哀天皇。成務天皇は正統(せいとう)な天皇だが、正統(しょうとう)からは外れる。日本武尊は天皇になっていないから正統(せいとう)ではないが、正統(しょうとう)の皇族。今の皇族は全員が日本武尊の子孫である。
