【東京デート飯6選】カウンター鮨、揚げたて天ぷら、正統派中華のライブキッチン…五感で味わう臨場感を
うららかな陽気ともに、心躍るシーズンが到来。
東京のレストランシーンでも大人たちを高揚させる新店が続々オープン。新たな美食の扉を開けて、華やぐ季節をより楽しんでみては。
1.特別な日に訪れたい、贅を極めたフレンチレストランで心躍る一夜を
『La Gloire(ラ グロワ)』@赤坂

壁面に飾られているのは、森田恭通さんが独自の視点で捉え、切り取ったフランス・ヴェルサイユ宮殿のモノクロ写真の数々
フランス語で「栄光・名声」という意味の名を持つ華やかなレストラン『La Gloire』が、赤坂二丁目の交差点に程近い場所に出現した。
オフィスビルの1階に位置し外観こそ控えめだが、店内に足を踏み入れるとその印象は一変する。
国内外で話題のレストランやホテルを手掛けるインテリアデザイナー・森田恭通さんがトータルディレクションした、洗練された中にもゴージャスさが光る空間に身を置けば、否が応でも気分は高揚する。

フランスの名店『シャトー・レ・クレイエール』での修業経験も持つ鳴海さん。神楽坂『フロレゾン』のシェフ時代には、3年連続ミシュランの一ツ星をもたらした
エグゼクティブシェフを務める鳴海陽人さんは『フィリップ・ミル東京』『エメ・ヴィメール』『ピエール・ガニェール・ア・東京』などの名店で研鑽を積んだ、フレンチ一筋のベテラン。
フランス料理の真髄ともいえるクラシックなソースや技法を踏まえつつ、現代の味覚にフィットする味わいや季節感を感じるアレンジで、満足度の高いコースを構成している。
春の息吹を感じる華やかな逸品に目を奪われ、高揚する

「蕪のコンソメロワイヤル ズワイガニ キャビア」。
蕪のコンソメと卵を合わせてふんわりと蒸し、ズワイ蟹とキャビアをあしらった贅沢な一品。

コースのメインは数種類の肉料理から選べるスタイル。
写真は「フランス、ロワール鴨」(+¥2,500)。美的な付け合わせも見事。

シェフパティシエールの長屋明花さんの感性が光る「日向夏とアーモンドミルクのパルフェグラッセ」。
料理はディナーコース(¥22,000)の一例。
自家製パンも絶品!

全粒粉とライ麦粉、フランス粉をブレンドした香りの良いパン・ド・カンパーニュ(左)と、リッチな生地をクグロフ型で焼いたミルクパン(右)。
高加水率の生地はもっちり感も魅力。
◆
早くも、店名にふさわしい存在感を放つ新店から目が離せない。

2.古き良き香港で愛されたオーセンティックな広東料理を東京で
『新楽記』@四谷三丁目

四谷三丁目駅から徒歩8分ほどの閑静な住宅街に潜む店
香港を熟知した店主が繰り出す異国の香り。未知との出合いの予感に胸が高鳴る
本場である香港でも今や提供するお店が少なくなった……と言われる80〜90年代に愛された正統派の広東料理を、2025年の東京で味わえる店が今年1月、忽然と現れた。
大皿シェアで生まれるグルーヴ感によって今宵の盛り上がりは最高潮に

厨房は完全なオープンキッチン。カウンターの上に吊り下げられた焼き物越しに見える、スタッフが立ち働く様子や、調理中の音、鍋から漂う匂いなどが、臨場感をより一層引き立てる
『新楽記』を手掛けたのは、香港の食事情や飲茶文化に精通している写真家・菊地和男さん。
「明炉」と呼ばれる焼き窯で作る伝統的な肉料理「焼味(シュウメイ)」や、味わい深いスープ、新鮮な魚介や中国野菜の素材そのものを味わう料理など、食欲と好奇心とを掻き立てるメニューがそろっている。
必ず食したいのは、やはり「焼味」の盛り合わせ。皮がカリカリの豚バラ肉、しっとりとした釜焼きチャーシューなど、何が登場するかはその日のお楽しみだ。
また、この店の真髄を味わうなら、ハタなどの鮮魚をふっくらと蒸し上げ、特製のタレと香味野菜の風味で味わう「季節の蒸し魚」も外せない。

右から、アジアと西洋の野菜を専門に手掛ける千葉「テラ・マードレ」が育てる、味が濃いパクチーを使った「特製パクチーサラダ」¥2,000。素揚げした根も驚きの味わいだ。
店のスペシャリテが「釜焼き肉5種類盛り合わせ」¥4,000(2名分)。内容は日替わりで、写真は皮付き豚バラ肉、腸詰、鶏レバー、スペアリブ、そして豚の肩ロースと砂糖漬けにした豚の背脂、鶏レバーを重ねて串刺しにして焼いた「金銭鶏」のアソート。
中央の大皿にのっているのは、一尾まるごとのハタ。新鮮な魚を蒸して醤油ダレをかけ、香味野菜をのせた上から熱い油をかけて仕上げる「季節の蒸し魚」は時価(2日前までに要予約)。
「ハチノス・アヒルの舌・豆腐のルースイ煮」(¥2,300)は、複雑な香りのタレで食材を煮る伝統料理。「上湯スープの広東麺」(¥2,200)は深く澄んだ味わいに唸る。

アルコールはワインとビールのみ、と潔く。ワインは、かならずしも自然派にこだわらず、味と価格のバランスがよいものから生産本数の少ない希少な銘柄までラインナップ。常時10本ほど開いているのがうれしい
そして、料理の味わいをより高めてくれるワインもお忘れなく。
食と酒を愛し、和気あいあいと食卓を囲める仲間とともに訪れたい。

3.通称“ドラゴンボール巻き”で知名度抜群の江戸前鮨の雄が、銀座に挑む
『鮨 よしかわ 勝 銀座 別邸』@銀座

檜のカウンター内で、大将だけが握る。ゆったりとくつろげる大人な空間
銀座の一等地で、江戸前+αの意欲に満ちた鮨の世界に触れる
2018年に恵比寿で創業して以来、麻布十番、中目黒と破竹の勢いで店舗を展開している『鮨 よしかわ』。さらに今年1月、東京きっての“鮨の激戦区”である銀座に2軒同時にオープンという快挙を果たした。
その1軒である『鮨よしかわ 勝 銀座 別邸』は、“鮨店”然としたオーソドックスな和の意匠にとらわれず、温かみのある明るいカラーリングや華やかなモチーフを取り入れた内装が独創的だ。
メニューもまた然りで、これまでの『鮨 よしかわ』にはなかった、コースに合わせたドリンクペアリングという新たな挑戦が注目を集めている。

「炙りのどぐろの手巻き」にはムラサキウニも使われ濃厚な味わい。

「特大車海老のお刺身」はライブ感ある演出にも注目。いずれもコース¥22,000からの一例。
通称“ドラゴンボール巻き”も健在!

『鮨 よしかわ』といえば、な「トロと卵黄の太巻き」。卵黄・大トロ・バフンウニがひしめく。

ペアリングでは、鮨タネに合わせて白・赤ワイン、日本酒などを自在に組み合わせる。
“ドラゴンボール巻き”には、味わいもラベルのイメージもぴったりの「會津龍が沢」(中央)を。ペアリング付きのコースは¥30,800。
◆
カウンターに立ちすべての鮨をひとりで握る大将の斎藤勝紀さんは、鮨店や日本料理店だけではあきたらず、より多くの魚介類について深く学びたいと鮮魚店でも修業を積んだ経歴を持つ人物。
魚への造詣の深さから生まれる伝統と革新とが融合しためくるめくコースは、鮨を食べ慣れた人にも新鮮な体験となるはずだ。

4.メレンゲ状の卵白が極上の食感を生む。革新の衣をまとった新鋭あらわる
『天ぷら北川』@恵比寿

今年の1月7日にオープンしたばかり。天ぷら同様シンプルで静謐な店内。店名は奥様の好きな女優・北川景子さんの名にちなんだもの
繊細な技と火入れが生み出す唯一無二の食感と香り
王道を目指しながらも手法は革新的。恵比寿にオープンしたここ『天ぷら北川』は、そんな新感覚の天ぷら店だ。
それは静岡出身の店主、村田直彦氏のユニークな経歴によるものだろう。

ご主人の村田氏、43歳。日焼けサロンの経営などを経て天ぷらの世界に
17歳で実家の鮨店に入るも20歳で上京。他業種の仕事に10年余り携わる中、30代半ばで出合った天ぷら店の味に深く感動。
これを機に独学で天ぷらを習得し、名店『天ぷら近藤』で1年間研鑽を積んだ後、晴れて独立を果たした。

同店のスペシャリテの太刀魚の天ぷら。太刀魚は0C°で寝かしている
コースが太刀魚から始まるのも独特だが、驚くべきはその食感。揚げたてを頬ばれば、サクサクの衣に包まれた太刀魚のふわふわ感に頬が緩む。
秘訣はメレンゲ状に泡だてた卵白。水を加えて混ぜることで衣に気泡ができ、それが軽さに繋がるのだ。
しかも太刀魚は5日寝かして余分な水分を抜き、旨みを凝縮させてから用いる手間のかけよう。鯵やえぼ鯛も同様に寝かしているそうで、いずれもカリスマ鮮魚店「サスエ前田魚店」から仕入れている。

車エビの天ぷらは2番手。
170℃と通常よりやや低めの温度で静かに揚げるのが村田流。だが、油切れは良く食感は軽やか。

ふきのとうの天ぷらは旬の味。ほろ苦さが春を告げる。
締めは白エビのかき揚げ天丼

〆の天丼は出汁も美味な天茶とのいずれかを選択。写真はすべて¥18,500のコースの一例
また、肉の火入れの如く揚げては休ませを1時間ほど繰り返して揚げるじゃがいもなど、ここでしか味わえない逸品も見逃さない。

5.東京へ進出した岐阜の名匠が、フーディーたちの耳目を集めている
『水づき』@白金台

店は外苑西通りに面したマンションの1階に。控えめなファサードがかえって興味をそそる
恵比寿三丁目の交差点からすぐ。期待感を胸に扉を開ける楽しみ
2012年に岐阜・柳ケ瀬にオープンし、地元のみならず全国にその名を轟かせた焼き鳥店『焼鳥みずき』。
レストランガイドブックなどでも高い評価を得ていたが、店主の水木淳二さんはさらなる成長と活躍の場を求めて店を離れる決断をした。
新天地に選んだのは東京・白金。多くの焼き鳥店がひしめく人気エリアに、あえて身を投じた。

新店では、近火と遠火、2種類の焼き台を使い分けるなどこれまでにない取り組みも
気持ちも新たに『水づき』と名付けた店でも、主役の鶏肉は岐阜時代から変わらず滋賀の銘柄鶏「淡海地鶏」を扱う。
約120日と長期間飼育され、さっぱりと上品な味わいと心地よい歯ごたえが特徴の希少な地鶏だ。
それを部位ごとに美しく串打ちし紀州備長炭で端正に焼き上げる焼き鳥や、故郷から届く健やかな季節の野菜に加え“焼き鳥店”の枠にとらわれない多彩な一品料理、地元のジビエなども盛り込んだ渾身のおまかせコース1本で勝負する。

かじれば旨みがあふれる「骨付き鶏もも肉」
水木さんの眼鏡に適った「淡海地鶏」。

瑞々しく焼き上げる「新玉ねぎ」
岐阜の生産者から届く旬の野菜の串も。

出合えたら幸運!岐阜から届く「真鴨むね肉」
入荷状況次第だが、野禽の力強さを味わえる逸品が登場する日も。

葉は茹でて焼き、茎は生で。特別な「ほうれん草」
優れた栽培環境で育ったそのままの味を感じてほしいと調味料は使わず供する。
ジビエの鍋&手打ちそばも秀逸

コースの終盤には、岐阜からハンターが仕留めたジビエを使った鍋料理が登場することも。
この日は「鴨鍋」が。春はイノシシがお目見えする見込みだ。

〆には自家製の二八そばが。鍋だしをつけつゆにして食する。
いずれもコース(¥13,200)の一例。

岐阜の古材を多用した温かみのある空間。カウンターは欅
風合いのある調度品で統一された空間も美しく、格別な夜が過ごせるはずだ。

6.ワイン好きに愛されてきた間借り店が、神楽坂の地で念願の独立を果たした
『TROMBA』@神楽坂

表の通りからビルの敷地内へと進むと、店の入り口が
神楽坂の裏手に立つビルの奥に、ワインラバーが和やかに集う“止まり木”が誕生
六本木のイタリアンレストランを間借りする形で2023年11月から営業し、人気を博していた『WineBar310』が、店名を『TROMBA』と改めてついに実店舗を構えた。

「お客様全員の顔が見えるように」と、カウウンターは弧を描く
店主の佐藤将貴さんが新たな地として選んだのは神楽坂。この街のイタリアンやフレンチレストランに勤めていた時期があり、なじみのあるエリアだったことも決め手になったそう。
ワインバーを名乗ってはいるが、常時20種類近いアラカルトメニューがあり、とにかく料理が充実。

「前菜ほどほどの盛り合わせ」¥1,700〜。茨城育ちの銘柄豚「三右衛門」を使ったシャルキュトリ、根セロリのレムラードなどが所狭しと並ぶ。軽めの盛り合わせ(¥1,100)もあり
キレのいい脂の味わいに惚れ込んだという茨城の銘柄豚を使ったパテやハム、粗挽きにした国産牛100%のボロネーゼを使うパスタなど、空腹を満たしワインの名パートナーになる心憎い品々がそろっている。

「ラムとチーズのハンバーグ トリュフソース」¥3,600。
仔羊のパティにはパルミジャーノチーズを練り込み、ソースにはグラナパダーノチーズを。仕上げにトリュフを削れば、香りが立ち上る。
チーズケーキも人気!

「パルミジャーノチーズのチーズケーキ」(¥800)は、クリームチーズとパルミジャーノを使ったケーキに、さらにチーズと黒胡椒をたっぷりとあしらう
故に、チーズケーキについても「お酒が進むるように、チーズと黒こしょうをたっぷり使っています」。

セラーには出番を待つワインが約400本。ボトルは¥5,000〜
ゲストと会話できるようカウンターの店にした、という佐藤さん。温かみある空間とホスピタリティの高さがうれしい。
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