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次の時代へ 布陣が見えてきた

2030年に販売の全量をBEV化することを目標とするマセラティ。

【画像】どれが好き? グレカーレ「GT」「モデナ」「トロフェオ」【デザイン/内装を見る】 全117枚

新たなロードマップの皮切りであり旗印として登場したスーパースポーツのMC20は、プレチャンバーを採用した独創的な自社製V6ユニット「ネットゥーノ」を積む一方で、将来的にはBEVをラインナップすることも明言されている。


グレカーレ・トロフェオ(ビアンコ・アストロ)    宮澤佳久

マセラティのBEV化の先陣を切るのは、先にフルモデルチェンジしたラグジュアリークーペのグラントゥーリズモだ。

件のネットゥーノに加えて、フロアトンネルのスペースも用いながらバッテリーをT字にレイアウトしたBEVグレードの「フォルゴーレ」を既に発表している。

日本の導入は来年以降ということになりそうだが、聴かせてナンボとも思われていたマセラティのブランドイメージは、フォルゴーレの登場で異なる一面を示すことになるだろう。ちなみにフォルゴーレはイタリア語で“稲妻”の意味だ。

そんなマセラティの中で最もオールマイティな存在として、或いはブランドエントリーの役割として、新たに登場したのが「グレカーレ」ということになる。

彼らとしては、もう幾年か後にフルモデルチェンジを迎えるだろうレヴァンテとグレカーレでSUVの2台体制を築き、MC20とグラントゥーリズモで2ドアクーペの2台体制を、そしてクアトロポルテとギブリを統合するかたちで4ドアサルーンを新たに設定し、5モデルの布陣で2030年に向かっていこうという目論見だ。

3つのグレカーレ その違いは?

グレカーレの日本デリバリーが始まったのは今年に入ってからのこと。

当初はベースグレードに相当するGTが展開されていたが、遅れてその上位グレードたる「モデナ」と「トロフェオ」のデリバリーが始まり、一応のラインナップ完成となった。


グレカーレ・モデナ(内装色:ネロ/グリジオ)    宮澤佳久

ちなみに4月の上海モーターショーでは105kWhのバッテリーを搭載するBEVグレード、フォルゴーレがワールドプレミアとなったが、日本導入は来年以降が見込まれるという。

新たに導入された2つのグレードのうち、「モデナ」はGTに対して装備とパフォーマンスの両面を充実させたグレードと考えればいいだろう。

搭載するパワートレインは2L 4気筒直噴ターボに48Vのベルト駆動スタータージェネレーター=BSGを組み合わせたマイルドハイブリッドと同じだが、エンジン側のパワーを30ps高めて330psとしている。

最高速は240km/hと変わらないが、0-100km/h加速は5.3秒と、GTに対して0.3秒速い。

この駆動力強化にあわせて、タイヤはGTの標準より1インチ大きい20インチが標準、電子制御可変ダンパーも備わるほか、後軸側にはLSDを組み込んでいる。他の機能装備面ではADASのフルスペック化が大きな差となるだろうか。

最上位は530psのネットゥーノ

そしてマセラティのトップパフォーマンスグレードに度々用いられてきた名前が「トロフェオ」。

その冠をいただくグレカーレのボンネットに収まるのは、MC20のために開発され、グラントゥーリズモにも搭載される3L 直噴V6ツインターボのネットゥーノだ。


グレカーレ・トロフェオ(内装色:ネロ/ロッソ)    宮澤佳久

扱いやすさも気配られてパワーはデチューンされるものの、530psのアウトプットはポルシェ・マカンターボやBMW X4 Mをも上回るなどライバルをものともしない。

0-100km/h加速は3.8秒、最高速は285km/hというから、その動力性能はスーパースポーツの域だ。

「モデナ」に見たマセラティらしさ

試乗した「モデナ」はオプションの21インチタイヤを装着、結果的にトロフェオと同寸のマッシブな足元となっていたが、それでも驚かされたのは路面アタリの穏やかさだ。

小さなギャップや舗装の荒れなどはもちろんだが、こちらが身構えるような大きめの凹凸でも、入力の角をくるっと丸めて乗員に不快な突き上げなどを伝えない。


グレカーレ・モデナ(ブルー・インテンソ)    宮澤佳久

最初はオプションのエアサスがついているのかと勘違いしたほどだったが、後に乗ったエアサス標準装備のトロフェオより、結局のところコイルのモデナの方が乗り心地的には整っていた。

実は昨年、上陸間もないGTに乗った時は乗り心地の硬さが気になっていたが、電子制御ダンパーの採用に加えて年次的に生産がこなれてきたことなども要因として考えられるだろうか。いずれにせよ、スポーツ系SUVとして、これなら平時でも抜群に快適だと太鼓判を捺せる。

モデナのコーナリングは軽快な回頭性や旋回姿勢の饒舌さが印象的だ。

直4マイルドハイブリッドのパワーはGTと大差があるわけではないが充分以上という感じで、低回転域では48Vモーターのアシストが予想以上に活発に働いていることも伝わってくる。

シャシーはロールやピッチをきっちり抑え込むようなセットアップではなく、どちらかといえば入力に対するフィードバックを姿勢でリアルに伝えながらドライバーに運転実感を伝えるタイプだ。これは先代グラントゥーリズモやレヴァンテといったマセラティのモデルに相通じるキャラクターだと思う。

「トロフェオ」 四駆の躾に注目

このシャシーの印象はエアサスの「トロフェオ」でも相通じるところ……だが、こちらはパワーが段違いの530psだ。

全開加速はさすがに強烈で、個性的な中高音を響かせつつ、爆発的な蹴り出しをみせる。


グレカーレ・トロフェオ(ビアンコ・アストロ)    宮澤佳久

が、前後駆動状況を示すインジケーターをみてみると、最大50%は配分されるという前輪側への変動量や時間は思いのほか少ない。

モデナで気持ちよくコーナーを回るくらいの運転では微動だにせず、トロフェオのパワーを路面にグイグイ押し込むつもりでアクセルを操作して、ようやく前輪側にトルクが配分されるような印象だ。

四駆ながらも基本はあくまでFRにあって、設定したドライブモードや路面状況、旋回負荷などに応じて最小限の駆動変化を加える、言い換えれば努めてFR的な挙動ゆえドライバーと車両との意思疎通がナチュラルに交わされると。

初めて乗った時から“車体が小さく感じられる”、グレカーレの肌馴染みの良さはこういったところに秘密があるのではないだろうか。

スペック グレカーレ・トロフェオ

価格:1520万円
全長:4860mm
全幅:1980mm
全高:1660mm
最高速度:285km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:-
CO2排出量:-
車両重量:2030kg
エンジン形式:2992ccV6ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/6500rpm
最大トルク:63.2kg-m/2750rpm
ギアボックス:8速AT
駆動方式:四輪駆動
乗車定員:5名


グレカーレ・トロフェオのネットゥーノ・エンジン    宮澤佳久

スペック グレカーレ・モデナ

価格:1114万円
全長:4845mm
全幅:1980mm
全高:1670mm
最高速度:240km/h
0-100km/h加速:5.3秒
燃費:-
CO2排出量:-
車両重量:1920kg(サンルーフ車1950kg)
パワートレイン:1995cc直4ターボ+マイルドHV
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):330ps/5750rpm
最大トルク(エンジン):45.9kg-m/2250rpm
最高出力(モーター):-
最大トルク(モーター):-
ギアボックス:8速AT
駆動方式:四輪駆動
乗車定員:5名


グレカーレ・モデナ(ブルー・インテンソ)    宮澤佳久