政府税制調査会の中里実会長(左)と岸田文雄首相(写真・時事通信)

 自動車の走行距離に応じて課税する「走行距離課税」に注目が集まっている。

 10月26日、政府の税制調査会は、自動車税制の見直しに着手。そのなかで浮上したのが「走行距離課税」だ。

 ハイブリッド車の普及などで、ガソリン税・軽油引取税などの燃料課税は減収が続いている。2022年度は3.2兆円で、2007年度から約1兆円も減る見込みだ。ガソリン税・軽油引取税は「道路特定財源」として、道路の維持や整備に使われており、その代替となる財源を確保する狙いがある。

 多くの人が影響を受けるだけに、Twitterでは「走行距離課税」がトレンドの上位にあがっている。なかでも多いのは、地方に暮らす人の怒りの声だ。

《公共交通機関は減る一方で何するにも車が必要で、車がなければ何の娯楽にも買い物さえもままならない地方民からこれ以上搾り取って何が楽しいの》

《地方民にとっての車はまさに生命線なのよ…。2年に1度の車検を受け、大切に乗っても13年経ったら重量税を課税され、その上、走行距離課税までされるのは…賃金格差がある中、懸命に生きてる地方民の気持ちを考えて欲しい》

《地方民をなめんな》

 自動車の走行距離が地域によって大きく異なるのは、言うまでもない。ある調査によれば、自家用車の世帯当たり平均年間走行距離は、東京都は2000km未満、大阪府でも約3000km。それに対し、ほとんどの道府県では6000kmを超え、茨城県、福井県、佐賀県などでは1万km近くになっている。

 また、「走行距離課税」により、物流への心配をする声も多数ある。

《物流業からがっぽり取る計画か、只でさえ燃料高騰や仕事減で経営厳しい所にこれは…補助金は遅いが増税はクッソ早いからなぁ…この国。国民一揆が起こらないのが不思議》

《走行距離課税が採用されたら日本の物流コストはかなり上乗せになる。日本経済全体にトドメ刺したいって理解でいいのかな?》

 自動車にかかる税金は「自動車税」「自動車重量税」「環境性能割」「消費税」と二重、三重にもなっており、負担が大きすぎるとの批判も多い。

 ガソリン価格は、円安の影響もあり高騰。2002年はリッター105円(レギュラー)だったが、2012年は146円に。2022年10月時点では、170円近くにまで上昇している。しかも、ガソリン価格の約半分は税金なのだ。

《この上まだ取るのか 見直しするなら追加じゃなくて削減すべきなのに 増税の決断だけは早いからなぁ》

と、岸田首相に対する不信感も大きい。ここは「聞く力」に期待したいものだが――。