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進むクルマの電動化

このご時世、クルマ選びをするうえで気になるのが電動化ではないだろうか。

【画像】走りのPHEV【注目の新型アウトランダーPHEV 新旧モデル比較】 全188枚

とくに最近は、メーカー別、またモデル別でさまざまな種類があるので、例えば何十年に渡る自動車遍歴をお持ちの人でも、けっこう迷ってしまうのではないだろうか。


トヨタ・プリウス    トヨタ

そもそも、クルマの電動化とは何か?

普段の生活を振り返ってみれば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、スマホ、パソコン、ドライヤーなど、毎日にように手に触れている生活必需品の多くが、電気で動く電動機器だ。

電源としては、家庭用コンセントからの有線、または交換可能な乾電池や組み込み式の電池などが使われている。

一方で、クルマに目を向けてみると、今でもほとんどのクルマはガソリンスタンドで、ガソリン、またはディーゼル燃料(経由)を補充するスタイルを取っている。

そうした液体燃料をエンジン(内燃機関)で燃やすことでクルマの駆動力を得ている。 

つまり、多くのクルマは、エアコンやカーナビなど電気製品を搭載していても、クルマ本来の目的である動くことについては電動機器ではないのだ。

当たり前のように普段接しているクルマだが、生活全体の中では「ちょっと違う存在」だといえる。

だったら……。

EVよりも身近なハイブリッド

クルマも冷蔵庫やスマホのように、電動機器になれば良いのでは、と思うのは当然のことだろう。

それが、電気自動車(EV)だ。


トヨタ・プリウス(初代)

実は、今(2021年)から100年以上前の1900年代前半には、ガソリン車とEVが並存していた時期がある。アメリカのニューヨークではEVタクシーが普通に走っていたのだ。

なぜ並存していたかといえば、ガソリン車の製造や維持のコストは、EVと大きな差がなかったからだ。

それが、ガソリンエンジンの研究開発が進み、ガソリンの品質も上がり、ガソリン車の大量生産と大量消費が始まる一方で、EVは電池やモーター、そしていまでいう制御システムの進化がガソリン車に比べると圧倒的に遅かった。

その後、70年代のオイルショックや世界的な排ガス規制強化で、EVに注目が集まる時期もあったが、それでも技術革新が起こらず、1997年の初代プリウス誕生となる。

ハイブリッド車とは、2つの動力源を組み合わせる仕組みを指す。クルマでは、エンジンとモーターの2つというのが基本となる。

研究開発レベルでは、ハイブリッド車は世界各地に存在したが、大量生産製品となったのはプリウスが世界で初めてだ。

ところが、プリウスは2代目が登場するあたりまで、世界の自動車産業をリードしてきたドイツやアメリカからは……。

本格的な多様化は2010年代から

「プリウスはしょせん、キワモノだ」。

そんな表現を、90年代から2000年代前半あたりまで、筆者は欧米自動車メーカー関係者の多くから聞いてきた。


日産リーフ

ところが、2000年代中盤あたりから世の中の風向きが変わる。

米西海岸で有名俳優やプロスポーツ選手などによる「一人ひとりが環境意識をしっかり持つことは大事」というライフスタイルが世界に向けて紹介されるようになった。

これと並行するように、スマホの普及が広まり、また単なる排ガス規制ではなく地球規模での環境対応がグローバルで社会問題化していく。

こうした社会変化によって、自動車メーカーやベンチャー企業などが、クルマの電動化に本気で取り組むようになり、それぞれが持つ開発技術や知見、そして国や地域の環境政策との兼ね合いなどを踏まえて、さまざまな電動車が並存する時代を迎えた。

それでも、大手メーカーはEVに対して、電池/制御システムのコストの高さ、航続距離の短さ、インフラ整備の不足という、いわゆるEV三重苦を理由に、思い切ったEVシフトを敷かず、結果的にテスラがEV独り勝ちを許すことになる。

大手自動車メーカーとしては、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そしてFCV(燃料電池車)という電動化の階段を慎重に登るという姿勢を崩さなかった。

電動化時代へ 増える電動車

そうした中、トヨタを筆頭とするハイブリッド車先行企業の特許によって、ハイブリッド車が多様化することが難しいという背景もあった。

一方で、ハイブリッド車よりも「EV寄り」という立ち位置で、外部からの充電や外部への給電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)として、プリウスPHV以外には、三菱アウトランダーPHEVが市場をリード。この度、9年ぶりにフルモデルチェンジとなった。


三菱アウトランダーPHEV    花村英典

メルセデス・ベンツやBMWも2010年代にPHEVモデルを拡充してきたが、ここに来て欧州委員会が政策としてEVシフトを強く打ち出したことで、状況が変化していた。

このほか、BMW i3レンジエクステンダーや、マツダが2022年に発売するロータリーエンジンを発電機として使うMX-30 EVのレンジエクステンダーなど、電池量多めで内燃機関を併用する電動車もある。

一方で、日本を中心にグローバルで注目が集まってきたのが、日産eパワーのような、外部充電/給電機能なしで、搭載バッテリー量が少なくエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッド車だ。

ダイハツも新ロッキーでシリーズハイブリッドを導入する。

世の中を俯瞰すれば、2020年代〜2030年代は本格的なEVシフトに向けた転換期だといえるだろう。

そうした中、さまざまな電動車が並存する時期が当分続きそうだ。