9月初旬の夜8時過ぎ、かつては花街として栄え、今は高級料亭が軒を連ねる一角に、1人の男性の姿があった。ブルーのシャツに白いチノパン。頭にはストローハットを小粋にかぶった“イケオジ”だ。入り組んだ街路を迷うことなく歩いていく。男性が向かったのは、明かりのともった2階建ての一軒家。この家にはメガネを掛けた女性が住んでおり、彼の帰宅を心待ちにしていた。ありふれた夫婦の日常といった様子だが、この家の玄関ドアの