上田(左)の2ゴールなどで、日本がチュニジアを下した。(C)Getty Images

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 日本時間6月21日に行なわれた北中米ワールドカップ第2戦のチュニジア戦は、4分に決めた鎌田大地の先制点を皮切りに、31分に上田綺世、69分に伊東純也が追加点を挙げ、とどめは再び上田がゴール。日本は4−0で快勝し、勝点を4に伸ばした。

 エルベ・ルナール監督が突如率いることになったチュニジアはやはり序盤、ハイプレスを仕掛けてきた。チーム本来の特性もそうだが、この野心的な指揮官ならば、相手に一泡吹かせようとハイプレスを企むことは、容易に想像できた。

 プレスの型も少し変化している。初戦でスウェーデンと戦ったチュニジアは、5−3−2の守備型でカウンターを狙ったが、3バックでビルドアップしてくるスウェーデンに対し、2対3でプレス連動がはまらず、ボール奪取に苦労していた。この日本戦ではシステムを5−2−3に変更し、冨安健洋、板倉滉、伊藤洋輝の3バックに同数でプレスがかみ合うよう、ルナール監督は調整した。

 ただし、これは日本側が想定済みだったのか、あるいはこの程度は積み上げた引き出しのひとつを開けるだけで済む、基礎対応に過ぎなかったのか。日本は田中碧や佐野海舟が板倉の両脇に下り、3→4のビルドアップ変形によってチュニジアのプレスをけん制。ボールを安定保持していく。

 さらに自陣深い位置では、田中や佐野ではなく鈴木彩艶が板倉の横に立ち、同様に1枚を加えてハイプレスをけん制した。そして鈴木は4分、ロングキックのフェイクから相手FWの出足を鈍らせ、右サイドの冨安へ短く展開。前方にパスコースが空くと、冨安は素早くクサビを入れた。
 
 これを受けたのが、”左シャドー”の鎌田だ。持ち場の左サイドから越境し、レーンまたぎによって右サイドのクサビに顔を出した。そして、上田をマークしていた3番DFタルビが自らへ突っ込んで来たのを見て、ワンタッチでフリック。フリーで受けた上田が右サイドから運び、中央へ折り返した。

 ここへ走り込んでいたのが、このチュニジア戦で先発に指名された田中だった。鎌田のポストワークに合わせ、抜群の動き出しで追い越すと、CBを引っ張り出されて混乱中のゴール正面へ。田中が上田のパスを受け、逆サイドから走り込む中村敬斗へ展開すると、最後は中村のクロスを鎌田が流し込んだ。

 3←→4の可変ビルドアップと、レーンまたぎ。マンツーマンの意識が強い守備に対しては、ポジションの越境が何より効果的だ。ポジションを動かせば、相手はどこまで付いていくべきか、必ず難しい判断を迫られる。付いて行けば持ち場のスペースを空けてしまい、行かなければ、フリーで持たれてしまう。日本の4得点はチュニジアに問題を突きつける連系が効いていた。

 これらは別に、対チュニジアの秘策というわけではない。日本代表が3年半にわたる活動の中で積み上げた戦術の一部であり、我々にとっては見慣れたものだ。その引き出しを的確な状況で開けた。それだけのことだ。3年半をかけたチームと、1週間のチームには、やはり歴然の差があった。それに尽きる。
 また、怪我人が相次ぐなかで、森保一監督の起用も見事だった。起点作りに長けた鎌田が左シャドー、裏抜けに長けた伊東が右シャドー、そしてラインブレークして鎌田を追い越す動きに長けた田中がボランチ。31分に上田がミドルシュートを決めた場面も、伊東や田中の走りが上田にスペースとシュートコースを与えていたが、初戦とは異なる組み合わせで、見事な機能性を見せた。

 崖っぷちに立たされていたチュニジアは、元より出来ることが多いわけではない。激しい守備で試合をかっさらおうと試み、カードをもらうことも、PKを与えることも最悪、覚悟していたのだろう。セットプレーはまるで相撲のようだった。