「巨人首位」でも打撃奮起は必須だ…台頭「浦田」と二軍再調整「吉川」の違いとは 何度でも言いたい「丸は3番固定」【柴田勲のコラム】
もっと点を取ってやらなきゃ
巨人が首位に立っている。交流戦を10勝6敗2分で乗り切り、セ・リーグでは唯一の貯金を作った。
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交流戦前は首位・阪神に4.5ゲーム差の3位だったが、現在は2位の阪神に0.5ゲーム差をつけた。これも阪神とヤクルトが交流戦で負け越したためで、今後は巨人を含めた三つ巴の戦いになりそうだ。
交流戦の好成績は投手陣の頑張りによるところが大だ。チーム防御率2.99は12球団3位、失点も3位だ。でもねえ、打線が奮起してもっと点を取ってやらなきゃと思うね。12〜14日の三連戦、確かに西武の投手陣は良かったが得点は0・2・0だった。チーム打率2割2分8厘は12球団で下から数えて2番目だ。

打線でいま最も充実しているのは浦田俊輔だ。シーズン通して打率は2割1、2分くらいだろうと見ていたけど、現在2割6分3厘だ。立派なものだ。
一度記したが、浦田は打ち方がいい。ヘッドが立っている。これだと打球を左方向へライナーで運べるし、低めの球も中堅から右翼方向に打ち返すことができる。
盗塁数も17(交流戦では15日時点で12球団トップの8盗塁)、14日は痛い牽制死を食らったが、1人頑張っていると言ってもいい。
川上哲治氏が使った戦法も有効か
吉川尚輝が二軍で再調整となった。コンディション不良からと見られている。正しくは打撃不良だろう。浦田と違ってヘッドが下がっている。速球にはついていけない、遅い球をこねる、泳いでしまう。
吉川を二軍に落としたのも浦田が活躍しているからだろう。吉川は足と守備は一流品だ。1日も早く打撃不良から抜け出してほしい。
V9時代の川上(哲治)さんは打線が振るわない、王(貞治)さん、長嶋(茂雄)さんが不振の時はよくヒットエンドランをかけた。特に打者が四球で出塁するとよく使った。四球は儲けものだ。
指揮官がサインを出すのは勇気が必要だし、リスクを背負う。でも成功すれば、一、三塁とチャンスは広がる。
一塁走者の足は関係ない。打順も関係ない。もちろん、空振りや飛球を上げるのはダメだ。転がせばいい。トスバッティングをするときのように楽に構える。どんな球にも対応できる。
見逃しが多い。振る勇気がない。力んでボール球を振る。こんな傾向に陥っている打者には有効だと思う。得点への突破口を開く。多用してもいいのではないか。
砂川リチャードはゾーンを絞れ
トレイ・キャベッジは迫力があるのだが、相変わらず甘い球を見逃してはボール球を振っていた。それでもボビー・ダルベックと2人(12本と11本)で23本塁打だ。よしとしなければいけないだろう。
もっともキャベッジだけではない。西武3連戦で巨人の打者たちは、西武の投手たちのボール球を振って彼らを助けていた。
砂川リチャードが昇格即、本塁打で応えた。阿部慎之助前監督は昨季、本塁打か三振かという魅力もあって起用した。
だが凡打の内容が悪すぎる。もっとゾーンを絞る必要がある。一発があるから投手たちはまともに攻めてこない。ベルト周辺の球に狙いをつけて振っていく。必ず来る。逃さないことだ。
フリアン・ティマもいい素材の持ち主だと思う。しかし、前さばきができていない。二軍の投手の球には対応できても、一軍の投手の速い球にはお手上げだ。
丸は一番信頼できる打者
打撃陣に関してあれこれ記してきたが、最も強調したいのが丸佳浩の3番固定だ。ずっと言い続けてきた。
丸は現在の巨人の中で一番信頼できる打者だ。打った、打たないじゃない。使い続けてこその打者だ。自軍だけのことを考えるのではなく、相手にとってイヤな打者はだれなのかを考える必要がある。代打ではそうそう結果を出せない。4打席立ってこその丸だ。
戸郷翔征が10日の楽天戦で2年ぶりとなる完封勝利を挙げた。
完全復活かとなるとそうは思えない。制球力がまだまだだ。楽天の打者たちは甘い球をことごとくファウルしていた。外角低めでストライクを取れる球があればより理想に近くなる。
それでも戸郷が勝てるようになったことは大きいし、いまの巨人投手陣は層が厚くなってきた。
今年の交流戦も17日の阪神対楽天戦で終わり、19日からはリーグ戦再開だ。巨人は東京ドームに中日を迎えての3連戦だ。三つ巴を制する戦いを期待している。
(記録などは15日現在)
柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。
デイリー新潮編集部
