日本代表はオランダを分断できるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 孫子曰く「利に合わばすなわち動き、利に合わざればすなわち止む」という教えがある。

 戦闘に長けた者は、敵の先陣と後衛が接続しないように、または敵部隊同士が援護し合わないようにする。敵部隊が分散するように、戦列が整わないように。そして敵の態勢と比べて有利だったら戦闘を仕掛け、不利だったら戦いを止めるべき、という意味である。

 北中米ワールドカップ、グループステージ初戦で当たるオランダ戦、日本はその教えを守らないと痛い目を見ることになるだろう。斬新さはない相手だが、手堅く戦える。戦術的にも整然とし、やるべきことをやれるチームだろう。ピッチに立ったとき、分厚さを感じさせるはずだ。

 もっとも、森保ジャパンは戦いを止めるわけにはいかない。分断し、散開させ、混乱させる。それが戦いの眼目になるだろう。

 オランダのバックラインはフィルジル・ファン・ダイク(リバプール)が統率するが、彼以外もトップレベルの選手たちである。ユリエン・ティンベル(アーセナル)、デンゼル・ドゥムフリース(インテル・ミラノ)、ミッキー・ファン・デ・フェン(トッテナム)など、所属クラブからして強力な面子である。

 中盤も、フレンキー・デヨング(FCバルセロナ)、ティジャニ・ラインデルス(マンチェスター・シティ)、ライアン・フラーフェンベルク(リバプール)とワールドクラス。前線はメンフィス・デバイ(コリンチャンス)、コディ・ガクポ(リバプール)、ドニエル・マレン(アストン・ビラ)を擁する。

 3つのラインが結合したら、打ち負かすのは骨が折れる。
 
 日本は最初15分で仕掛け、各ラインを分断し、勝機を見つけるべきだろう。プレスの強度を上げ、GKまでふたをして、前線からの守備を攻撃につなげられるか。それを遂行できる機動力を持った選手がいるのは間違いないし、機先を制するべきだ。

 それで簡単にゴールを陥れられるわけではない。しかし、出鼻を挫くようにペースをつかんで、敵の頭を抑えるように脅威を与えないと、どうしようもなく押し込まれる。もちろん、押し込まれるのを前提に人海戦術で守りを固め、カウンターを狙うのも選択肢の一つだろうが、腰が引けてしまっては意味がないだろう。

 定石としては、最初の15分間で相手を分断し、戦いを有利に持ち込みたいところだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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