非核化「誰とも議論しない」 金与正氏、習近平訪朝の直前にけん制発言
また「国家憲法に固着された核保有国地位」「絶対不退の限界線」といった表現が繰り返された点も注目される。北朝鮮は2023年に憲法を改正し、自らを核保有国と位置付ける路線を明文化している。談話は、核放棄や核軍縮を前提としたいかなる交渉にも応じないという従来の立場を改めて確認したものといえる。
明日からの習氏の訪朝は2019年以来約7年ぶりで、中朝関係の緊密さを内外に示す象徴的な外交イベントとなる見通しだ。しかしその一方で、中国は公式には朝鮮半島非核化の立場を維持している。ホワイトハウスが米中首脳会談後に「非核化という共通目標」を発表した際も、中国側は明確な否定を行わなかった。
そのため今回の金与正氏の談話は、米国への反発であると同時に、「核問題を持ち込むな」という平壌から北京へのメッセージなのかもしれない。
金与正氏の発言自体にも重みがある。北朝鮮では外交・安全保障に関する重要な対外メッセージがしばしば同氏名義で発表される。対米・対韓政策に関する最も重要な声明の多くが同氏を通じて発信されてきた経緯があり、金正恩総書記の意向を代弁する事実上の最高位スポークスマンと言える。
(参考記事:「妹じゃなきゃ処刑だ」金正恩と与正の微妙な権力均衡と"後継者ジュエ"登場の衝撃)
中朝首脳会談では経済協力や地域情勢が主要議題になるとみられるが、少なくとも平壌側は「非核化」を交渉対象とみなしていないことを、訪朝直前に改めて世界へ示した格好だ。会談後に発表されるであろう共同声明がどのような内容になるにせよ、北朝鮮の核問題の今後を考える上で非常に重要なものになりそうだ。
