今季エールディビジ得点王の日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)が28日の練習後、報道陣の取材に応じ、「結果的に得点王にもなれた。チームは2位だったので正直優勝したかったし、自分自身も調子を落とした時期もあったので満足いくシーズンだったとは言えないけど、充実した1年間だった」と控えめに喜びを語った。

 上田は今季、2年目を迎えたエールディビジで25得点を記録。得点ランキング2位だったFWミカ・ゴドツ(アヤックス)の17点に大差をつけ、日本人史上2人目となる欧州主要リーグ得点王の座に輝いた。開幕15試合で18得点という固め取りを経て、一時は負傷の影響で公式戦11試合連続無得点のスランプもあったが、最後の8試合でも合計7得点。ストライカーとしての評価を大きく高める1年となった。

 上田によると、自身の今季ベストゴールは昨年9月28日に行われた第7節フローニンゲン戦の得点だ。左からのクロスに対し、ニアサイドにポジションを寄せながらダイビングヘッドで叩き込む形だったが、狙いを持ってアプローチしていた課題において光明が見える得点でもあったようだ。

「僕の主観だけど、ゴールを取る選手本人の感覚として、自分が持っているものを本能的に、試合の中で反射的に出してゴールを決めるというシーンがほとんどですけど、中には自分が新しいことに取り組んだり、意識的にアクションを起こしてゴールにつながるというパターンも少ないけどある。そういうゴールは自分にとって新しいプレーの幅を与えてくれたりとか、その成功体験によって次のゴールだったり、その後の感覚的なゴールにつながることがあると僕は思っている。今季ヘディングでのゴールが多かったのもそのゴールがきっかけになったと僕はわりと思っていて、そういう点でベストゴールなのかなと思います」

 今季の上田はフローニンゲン戦以降、7得点をヘディングで記録。昨年10月の日本対ブラジル戦でもヘディングから複数の決定機を作り出し、試合を決める決勝点も奪っていたが、フローニンゲン戦でのゴールがのちの飛躍につながるイメージづくりに寄与していたという。

「(フローニンゲン戦の)あのゴール自体は自分がマッチアップしている選手の逆を突いて、その駆け引きの中から相手の前に入ってヘディングで決めたゴールだった。クロスが少ないという自分たちのチームの課題もあったけど、その数少ないクロスをどういうふうに自分が触ってゴールに繋げるか、チャンスをどう増やしていくかを考えている時期でもあったので、仮に自分に上がってくるクロスが、自分が欲しいと思っている場所に来なかったとしても1本は1本なので、自分が触れるようにしないといけない。相手との駆け引きもそうだし、自分の予測もそう。それを意識していた中でイメージ通りにゴールにつながったのかなと思います」

 詳細な課題認識と、ピッチ上での試行錯誤と、それを具現化する身体操作が見事に噛み合った“ベストゴール”。上田はその感覚を「自分の中でイメージしていたものが再現できたので、それが成功体験になって、一つその感覚がつかめればだいたい意識せずとも感覚でできるようになる」と表現しつつ、「選手としての幅が広がっていると思う」と手応えを口にした。

 こうした日常での細かくも大きな積み重ねが、2度目のW杯への大きな財産となっている。奇しくもW杯グループリーグ初戦の相手は上田が現在プレーしているオランダの代表。とはいえ、27日に発表されたオランダ代表メンバーのうちエールディビジでプレーしている選手は1人しかいないこともあり、上田は一歩引いた目線も交えつつ意気込みを語った。

「オランダ代表についてはよく聞かれるけど、前回大会のドイツのブンデスでプレーしている選手たちほど、オランダにエールディビジの選手が多いわけではないので、これと言って特別な思い入れがあるわけではない。どちらかというとプレミアやブンデスでやっている選手が多いので。でも初戦という意味では個人的にもチームとしてもすごく重要な試合になるのは間違いない。そういった点ではすごくモチベーションが高い」

 ゴールへの向き合い方も、対戦相手への向き合い方、大事な試合への向き合い方もいたって冷静。45分間の出場に終わった前回カタール大会から3年半、着実にステップアップを続けてきた日本のエースはより大きくなった等身大の姿で大国に挑む。



(取材・文 竹内達也)