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就職エージェントによる「就活終われハラスメント」いわゆる「オワハラ」について、大学が注意喚起を行っています。

「オワハラ」とは、内閣府によると「企業等から、他の企業等への就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為」とされています。

これまでは、内定を出した企業の行為が問題となるケースが多かったのですが、近年は就活エージェントによるオワハラにまつわる相談があるといいます。

たとえば、中央大学は、複数の学生から、一部の就職エージェントによる悪質なオワハラの報告があったとして、「皆さんの将来を拘束するような不当な圧力に屈する必要はありません」と注意喚起を行っています。

就活エージェントからのオワハラを受けた学生は、どう対処すればよいのでしょうか。解説します。

●内定辞退は学生の自由

前提として、採用の「内定」とは、法的には「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれるものです。

簡単にいえば、内定も「労働契約」ですが、入社日を開始時期として、一定の場合に企業側が解約できる権利を残したままの契約が成立していると考えられています。

労働契約である以上、学生の側にも解約(辞退)の自由があります。民法627条1項は、期間の定めのない雇用契約の場合、解約の申し入れから2週間を経過することで終了すると定めています。実務上は企業が即時終了に応じることが多いでしょう。

「内定を受けたら他社は辞退しなければならない」と求める法的根拠はありません。そもそもエージェントは、内定の中身である労働契約の当事者ではなく、辞退について口を出せる立場にありません。

●内定辞退への違約金を請求したり、他社の辞退を強要することは違法になりうる

エージェントの行為の内容によっては法律違反になることがあります。

たとえば、「内定辞退なら採用活動にかかった費用を請求する」という金銭要求について。

職業安定法32条の3第2項は、有料の職業紹介事業者が求職者(=学生)から手数料を徴収することを禁じています。こうした要求は、この禁止規定に反する疑いがあります。

なお、求職者から手数料を取る行為は、6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(職業安定法65条2号)。

このような要求は、仮にエージェントとの契約に費用請求の条項があったとしても、基本的に支払う義務はないと考えられます。

また、「この場で他社に辞退の電話をかけて」という強要が行われているという話もあります。

職業安定法63条1号は、「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」による職業紹介を禁じています。違反した場合、1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金が科される可能性があります。

「内定を取り消すぞ」と告げたうえで目の前で電話をかけさせる行為は、この規定に違反する余地があります。単なるマナー違反などでは済まず、刑事罰の対象になりうることに注意が必要です。

●まずは「即答しない」こと

こうした場面では、まず「即答しない」ことが大切です。

いったんその場を離れたうえで、大学のキャリアセンターなどに相談するとよいでしょう。 また、都道府県の労働局や厚生労働省の総合労働相談コーナーでもオワハラに関する相談を受け付けています。

●証拠を残すべき

このような圧迫を受けた場合、できるだけ証拠となるものを残しましょう。メールなどでやり取りが残っていればベストですが、個人の就活日記のようなものでも、日時や客観的内容を時系列順に正確に記載していくことで証拠に出来る場合もあります。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士