砂漠のド真ん中に1週間だけの街を作り上げる「バーニングマン」は終了後に数週間かけてゴミ掃除をしている

by BURNING MAN JOURNAL
アメリカ・ネバダ州の砂漠で毎年開催される「バーニングマン」は、何もない平原に街を作り上げて数万人が共同生活し、わずか1週間には街を丸ごと撤去するという巨大イベントです。このバーニングマン終了後に、砂漠を汚すことなく徹底的なゴミ清掃を行う様子についてデータの視覚化を重視したニュースレターのNot-Shipが解説しています。
https://www.not-ship.com/burning-man-moop/
Leaving No Trace: MOOP Map 2025, BLM Inspection & Solving Our Lag Bolt Problem | Burning Man Journal
https://journal.burningman.org/2026/03/black-rock-city/leaving-no-trace/moop-map-2025/
バーニングマンは毎年8月の最終月曜日から9月の第1月曜日にアメリカ・ネバダ州のブラックロック砂漠で開催されるイベントで、期間中は数万人が集まって巨大なアート作品やキャンプ、道路、発電設備などを備えた一時都市「ブラックロックシティ」が建設されます。電気や上下水道、ガスなどの生活基盤は整備されておらず、携帯電話なども基本的にサービス提供範囲外となるため、他者と出会いコミュニティを形成して助け合いながら生活することや、自由なアート表現などを目的としたイベントです。
バーニングマンがどのような場所で行われるのか、以下の記事を見るとよく分かります。
砂漠のド真ん中に直径2.4kmの架空都市を造りだす「バーニングマン」への道はこんな感じ - GIGAZINE

バーニングマンは砂漠にわずか1週間で街を作って撤去する規模感が衝撃的なイベントですが、街が撤去された後も、約150人の参加者は砂漠に残って清掃作業を続けます。バーニングマンの「10か条の根本理念(10 Principles)」には「跡は何も残さない(Leaving No Trace)」というものがあり、参加者は自分たちが持ち込んだものを全て持ち帰る必要があるほか、少しでもゴミが残らないように徹底した清掃作業が行われます。
イベント終了後には、運営チーム「Playa Restoration Team(PRT)」の約150人が腕の幅ほどの間隔を空けて横一列に並び、約15.4平方kmに及ぶ広大な会場を、数週間かけて歩きながら清掃します。本来そこに存在しないゴミは「MOOP(Matter Out Of Place)」と呼ばれ、ペットボトルや紙くず、木片、金属片、タバコの吸い殻、羽根、ラメ、髪の毛などが含まれます。

以下は、2025年のバーニングマンにおける「MOOPマップ」です。五角形のブラックロックシティ跡地で発見されたゴミについて、中程度のゴミを黄色、問題あるゴミを赤色でマッピングしています。

砂漠に残された人工物を徹底的に除去することで、土地管理局(BLM)による厳格な事後検査に合格した場合にのみ、毎年のイベント開催が許可されます。
以下は、PRTが発見した年間平均ゴミ量を示したグラフ。ほとんどの年でBLMの基準をクリアしていますが、2023年には120か所の検査のうち11か所で基準値を超え、近年では最も基準違反に近い状況となったそうです。

また以下は、発見されたMOOPの種類を記録したグラフ。最も多いMOOPはテントやアート、その他のインフラなどを地面に固定するための大型ボルトで、砂煙の下に埋もれやすいため残ることが多くなっているとのこと。次点でプラスチック類、ダンボールなどが多く見つかっています。

2022年頃に増加したボルトは一時的な増加傾向に過ぎないと考えられていたものの、そこから3年連続でMOOPランキング1位だったことで、バーニングマンの情報を発信するBURNING MAN JOURNALでも参加者に警告が示されています。記録によると一部の参加者ではなく多くのキャンプで少しずつ置き忘れられていると考えられており、2025年には合計2304個ものボルトが残されていたとのこと。バーニングマンの運営はボルトの管理と回収に関する優れた手法を募集しています。

バーニングマンの環境修復マネージャーとしてゴミ処理プロセスを担当しているドミニク・ティニオ氏は「MOOPマップは、土地利用における責任の共有に関するものです。BLMの基準を遵守するのに役立つだけでなく、参加者、キャンプ、アートプロジェクトが自分たちの活動が環境に与える影響を理解するのに役立ちます。2006年以降、ブラックロックシティの規模、複雑さ、人口が劇的に増加する一方で、参加者コミュニティはMOOPマップを通じて『Leave No Trace』の実践を着実に改善しています」と語っています。以下はブラックロックシティの人口1万人あたりのMOOP量を示したグラフで、2010年にピークを迎えた後、大きく改善しています。

ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、実際に運営チームに参加して清掃をした人のコメントなどが集まっています。あるユーザーによると、あらゆるものを記録・撮影し、BLMが行っているのと全く同じテストを何百回も実施し、進捗状況を確認するそうです。清掃作業は日陰もない砂漠を掃除棒とバケツだけを手にして途方もない距離を歩く大変なものですが、「バーニングマンの未来がかかっている、不可能とも思える課題に私たちが立ち向かい、決して諦めないという決意を貫く一員になれるというのは、この上なく素晴らしい気分です」と述べています。また別のユーザーは、2025年のバーニングマンでは5晩連続で雨が降り、強風が吹き荒れた日もありキャンプ施設に甚大な被害をもたらしたと話しています。雨の後はゴミが泥に埋もれてしまうため、掘り起こしたりふるいにかけたりしてゴミを見つけ出すそうです。
