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 築40年以上の病棟を持つ医療機関が全国に1500か所超あることが読売新聞の調べで分かった。

 法定耐用年数を超えて老朽化していても、近年は建築費の高騰により建て替えが難しく、閉院など地域医療に悪影響が出る恐れがある。専門家は「地域で必要性の高い病院を行政は重点的に支援するべきだ」と指摘する。

 各医療機関は毎年度、病棟の役割などを都道府県に報告し、厚生労働省が内容を公表する。調査では2024年度の約6900か所の公表データを活用した。鉄筋コンクリート造の病棟の法定耐用年数は39年と定められていることから、1985年以前に建てられた築40年以上の病棟を持つ医療機関を抽出し、数を計算した。

 その結果、全体の23%にあたる1568か所が該当した。都道府県別では、福島県が34%(33か所)、青森県が32%(23か所)で割合が高く、東京都は25%(142か所)、大阪府は29%(131か所)だった。築50年以上の病棟を持つ医療機関は全体の8%の547か所あった。

 東京都の吉祥寺南病院は70年に建った病棟の老朽化で、一昨年秋に診療を休止した。藤井正道元院長によると、エレベーターの故障や雨漏りが起き、当時の経営母体は建築費高騰で採算がとれないとして建て替えを断念した。藤井氏は「患者には申し訳ない」と話す。今は継承先の法人が新病棟の建設を準備している。

 外来病棟が85年に建てられた函館赤十字病院(北海道)は、患者の減少や医師不足も重なり今年度末の閉院を検討する。83年開院の船橋市立医療センター(千葉県)は改築できず、雨漏りや配管の漏水が起きる。病室が手狭で手術や検査の最新機器を置けずにいる。

 61年の国民皆保険制度の実現で医療を受けやすくなり、病院は55年から90年に倍増、この間に建った病棟の老朽化が今進む。独立行政法人福祉医療機構の調べで、病院の建築費は2024年度、1平方メートルあたり44万2000円と、その10年前の1・6倍になった。厚労省は25年度補正予算に新築や増改築の資材費の補助で462億円を計上した。

 医療機関経営に詳しい真野俊樹・中央大教授は「病院が単独で建て替えをするのは負担が大きい。救急対応をしているなどと対象を決め、行政は手厚く支援する必要がある」と語る。