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パワーバルジを持つFRPボンネットで差別化

MGB GTのV8エンジン化で、一躍注目を集めたケン・コステロ氏。仕上がりは素晴らしく、発表すると注文が殺到。ブリティッシュ・レイランド社を率いたドナルド・ストークス氏も試乗し、似た仕様のMGBがない理由を、自社の技術者へ問いただしたという。

【画像】新車時以上の好印象 MGB GT V8 量産版とコステロ仕様 レストモッド版にMGAも 全127枚

1973年に量産版のMGB GT V8が発売され、ローバーからエンジンの入手が難しくなると、ベルギーで余っていたビュイック・ユニットを輸入。パワーバルジを持つFRP製ボンネットで差別化され、一部の仕様では、格子状のグリルも装備された。


MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

コステロ仕様のGT V8は、最高出力152ps。AUTOCARでは1972年に試乗し、正規仕様のGT V8より約40kg軽く、206km/hに達したことが紹介されている。

息子と一緒にレストアする目的で入手

今回ご登場願ったレッドのMGBも、クライヴ・マーチャント氏が所有するコステロ仕様。「息子のオリバーが12歳の頃、一緒にレストアする目的で入手しました」。と振り返る。21年も前の話だ。

「2008年のイベント、第1回コステロ・ギャザリングでは、コステロさんにお会いしました。当時は完成前でしたが、オリジナル状態のこれを見て、とても喜んでいらっしゃいましたね。V8エンジンの番号は、彼が適当に付けたものらしいです」


MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

リアでは、「Vエイト・コステロ」のエンブレムが誇らしく輝く。ホイールは、MGB GT V8の純正を履く。「1980年代初頭、前オーナーがレース目的で改造しています。スポイラーにオーバーフェンダー、ホーリー・キャブレターが装備されていたんですよ」

リアアクスル付近を覗き込むと、パナールロッドとテレスコピック・ダンパーが見える。これで、操縦性が高められている。

娘にも4気筒エンジンのMGBを買う予定

購入時点で、完全にバラバラだったというコステロ仕様のMGBだが、ボディはリース・ブラザーズ・レストレーションズ社へ再生が依頼された。それ以外は親子で仕上げたと、息子のオリバー・マーチャント氏が説明する。

「完成に12年を要しましたが、運転を楽しんでいます。驚くほどコンパクトで、路上では思い通り。軽くチューニングしてあって、リアタイヤで計測した馬力は268psです。カムシャフトを変えてあること以外、詳しくはわからないんですが」。と笑う。


MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

他方、ブルー・グリーンのMGB GT V8は、コステロ仕様を受けて量産された、正規仕様。オーナーのエド・タルボ氏は、約1年前に購入したそうだ。

「V8エンジンのクルマを探していたんです。ツーリングラリーに挑戦したいと考えて。昨年の夏から秋にかけての運転は、素晴らしいものでした。控えめな見た目ですが、実環境での走りは素晴らしい。娘にも、4気筒のMGBを買おうと思っています」

タービンのような唸りを放つV8エンジン

運転席へ座ると、ウインドウが直ぐ側にあり、ボディの小ささを実感。シボ加工されたダッシュボードが、ビンテージ感を強める。ヒーター系のスイッチも、時代を感じさせる。正規仕様のスピードとタコメーターは、通常のMGBよりひと回り小さい。

コステロ仕様には、補機メーターが追加されている。ロールバーとプッシュボタン式のスタータースイッチは、前オーナーが後付けしたもの。V8エンジンは、より滑らかに回り、サウンドは豪快。量産版のGT V8が鈍い訳ではないが。


ブルー・グリーンの量産版MGB GT V8と、レッドのMGB GT V8 コステロ    マックス・エドレストン(Max Edleston)

タービンのような唸りを放つV8エンジンは、中域トルクが太い。クラッチペダルは、2台とも重めながら繋やすい。アクセルペダルの反応も滑らかだ。車重は1.1tを切り、オーバードライブに入れたまま、60km/hからグングン加速していく。

手を伸ばせば、自然な位置にシフトノブ。軽い引っかかりはあるものの、小気味よく変速でき、パワートレインの洗練度を強調する。

乗り心地の違いが生む操縦性の印象

低域での乗り心地は、コステロ仕様なら、印象的にしなやか。一方、量産版は明確に硬い。思わずアスファルトのツギハギを避け、凹凸へ身構えてしまう。

その結果、操縦性も異なる。正規のGT V8も充分速いものの、重めのバネ下重量と相まって、全体的な流暢さでコステロ仕様に届かない。速度域が上昇すれば改善するが、路面の影響は受けがちで、逞しいエンジンの能力を引き出しにくい。


MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディロールは小さく、安定性に優れ、ステアリングも正確。速めのペースで巡る乗り方が向いている。対して、コステロ仕様は車高が僅かに低く、パワーで勝り、遥かに機敏。ステアリングはより軽く、積極的にカーブへ飛び込める。

発売から53年が過ぎ、量産版のGT V8は、新車時以上の好印象を与える。当時の英国人が、強い関心を示さなかったことが不思議なほど。とはいえ、コステロ仕様の方が更に優れていたことは、否定できない事実だろう。

協力:MGカークラブV8レジスター

正規仕様とコステロ仕様 MGB GT V8のスペック

MGB GT V8(1973〜1976年/英国仕様)

英国価格:2309ポンド(新車時)/3万ポンド(約620万円)以下(現在)
生産数:2591台
全長:3886mm
全幅:1524mm
全高:1245mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:8.6秒
燃費:7.1-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1083kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:138ps/5000rpm
最大トルク:26.6kg-m/2900rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ/後輪駆動

MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)

英国価格:2392ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約735万円)以下(現在)
生産数:220台(ロードスター30台を含む)
全長:3886mm
全幅:1524mm
全高:1245mm
最高速度:206km/h
0-97km/h加速:7.8秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1040kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:152ps/5000rpm
最大トルク:27.7kg-m/2750rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ/後輪駆動


MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)