甘い同棲のはずが…新居に「母親用の布団」を買ってきた彼氏。抗議したら“ありえない返答”に絶望しかない
今回は、そう信じて一歩踏み出した女性のエピソードをご紹介しましょう。
◆「結婚につながれば」期待から始まった同棲生活
松田美奈代さん(仮名・28歳)は、付き合って3ヶ月になる勇人さん(仮名・26歳)と同棲を始めることになりました。
「私の部屋が狭いのと、勇人は実家住まいで一人暮らしの経験がないというので、『じゃあ私と、ちょっと広めの部屋を借りて一緒に住もうよ』とお願いし、半ば強引に『うん』と言わせたんですよ」
「お互いの両親に挨拶にも行き、結婚への足場固めが順調に進んでいるなという手ごたえを感じていましたね」
◆想像していたのとは違った同棲生活
こうして新居へ引っ越し、2人は恋人同士の甘い同棲生活をスタートさせました。しかし、その幸せは長くは続かず、違和感は引っ越しからわずか1週間ほどで姿を現したのです。
「ある日、勇人がいきなり布団を1セット買って帰ってきたんです。なにごとかと聞いたら、『お母さんが僕が出て行ってから寂しくて眠れないって言うんだ。だから、布団買っておくからいつでも泊まりにきていいよって答えたの』って、ニコニコしながら言われてしまって……」
勇人さんは微笑ましい親孝行のエピソードのような口ぶりでしたが、その内容は美奈代さんにとって到底受け入れられるものではありませんでした。2DKの部屋は、恋人2人で暮らすには十分な広さです。しかし、そこに「母親がいつでも泊まりに来る」という前提は全く想定していなかったそう。
「え、お母さんが泊まりに来る? しかもいつでもいいって、そんなこと私に相談もなしに決めないでよ! 100歩譲ってお母さんにはリビングに寝てもらうとして、そこを通らないとトイレに行けないし、そんな窮屈な思いしたくない」
至極まっとうな訴えだと美奈代さんは思いました。しかし勇人さんはまるで問題点が理解できていない様子で、こう返してきたといいます。
◆まさかの返答に愕然とした
「そんなお母さんに気を遣わなくても大丈夫だよ! 横を通ったくらいじゃ起きないから」
その言葉に、美奈代さんは愕然としました。これは「気を遣う、遣わない」の話ではないし、恋人同士の生活空間に、母親が無断で、しかも恒常的に入り込もうとしていること自体が問題なのだと。
「思わず感情が爆発してしまい『勇人も勇人だよ! そんな時は「ここは美奈代と僕の部屋だから、たまに僕がそっちに帰るし、いい加減子離れしなよ」ぐらい言いなさいよ!』って怒鳴ったら、喧嘩になってしまって」
◆最後まで噛み合うことのない話し合い
2人にとって、これが初めての大きな衝突でした。しかし話し合いは、最後まで平行線のままだったそう。
「『お母さんを泊まらせないって約束して! この布団も返品して!』って叫ぶ私に、『それはできない。ここは僕の部屋でもあるんだから』って、すごく冷静に返されて……」
その温度差に心が折れ、美奈代さんは衝動的に部屋を飛び出しました。その夜は友人の家に泊まり、勇人さんからは何度も着信があったそう。
「一晩寂しい思いをしたから、私のありがたみを感じてその存在の大きさに気づいてくれたらいいなって、正直思っていました」
◆「結婚したさに焦るとろくなことがない」
しかし、翌日自宅に戻った美奈代さんを待っていたのは、想像をはるかに超える光景でした。
すでに先客がいたのです。勇人さんの母親が泊まりに来ており、キッチンには大量の作り置きのおかず。まるで息子の新居に当然のように入り込み生活を始めているかのようで……。
「それを見て、ああ、もう無理だなと。これは私と勇人の同棲じゃなくて、勇人とお母さんの生活に私が入り込んだだけなんだって思って、ブチ切れてしまいました」
こうして、美奈代さんの結婚を見据えた同棲生活は、あまりにもあっけない形で終わりを迎えたそう。
「とても気まずい空気の中でまた引っ越して、貯金もかなり減ってしまい、散々でした。付き合って3ヶ月で、相手のことを深く理解できていなかったのかもしれません。結婚したさに焦ると、ろくなことがないんだなと身をもって知りましたね」とため息をつく美奈代さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

