伊勢ヶ浜親方

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【全2回(前編/後編)の前編】

 角界最大の部屋を率いる伊勢ヶ濱親方(34)が「弟子に暴力を振るった」と自ら申告し、日本相撲協会が調査に乗り出している。被害に遭った伯乃富士(22)は、春場所初日に欧勝馬(28)に敗れ、この取り組みの際のケガで、日本相撲協会に休場を届け出た。親方による暴力の背景には何があるのか……。

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 大相撲・大阪春場所(3月8日初日)の番付が発表された2月24日。本来なら大阪にいるはずの伊勢ヶ濱親方(元横綱・照ノ富士)、弟子で幕内の伯乃富士(22)と錦富士(29)の姿は東京・両国国技館にあった。

伊勢ヶ浜親方

 スポーツ紙の相撲担当記者によれば、

「その日、親方は大阪市内で開かれた熱海富士(23)=伊勢ヶ濱部屋=の新三役会見に同席する予定でしたが、日本相撲協会の事情聴取を受けるため、急きょ東京に向かいました。事前に親方本人から“弟子の伯乃富士に暴力を振るった”との申告が協会側にあり、それを受けての対応でした」

 三人で出向いたのは、伊勢ヶ濱親方が「自分も協会に話すから、二人からも話してほしい」と被害者の伯乃富士だけでなく、現場にいた錦富士にも同行を求めたためだ。

「親方は翌日から大阪での指導に戻り、部屋の力士らを前に“責任のない行動を取ってしまった”と陳謝。詳細を問うメディアの取材には“協会の処分を待っている”と答えるのみでした。コンプライアンス委員会による調査は継続中ですが、詳しいことは不明のままです」(同)

伯乃富士の顔面は腫れ上がり、目も開けられないほどに……

 一体、何があったのか。事情を知る部屋関係者が明かすには、

「伊勢ヶ濱部屋が大阪入りする直前に、後援会関係者も交えた酒席が開かれました。太いタニマチとして知られる人物も女性を伴って参加し、会は途中まで大いに盛り上がった。しかし酔った伯乃富士がその女性に絡むなど失礼な態度を取り、それを見た親方が激怒。殴打したといいます」

伊勢ヶ濱親方とツェグメド・ドルジハンド夫人

 伯乃富士の顔面は腫れ上がり、目も開けられないほどだったといい、

「もともと酒癖が悪いといわれる伯乃富士ですからね。彼にも問題はあるのでしょう。とはいえ、親方の取った行動も叱責などというレベルを完全に超えていた。連れの女性にちょっかいを出され立腹するタニマチを見て、相当慌てた様子だったそうです。よほど大事な相手だったのでしょうね」(同)

 モンゴル・ウランバートル出身の伊勢ヶ濱親方は2015年、23歳の時に大関に昇進。その2年後、兄弟子だった元横綱・日馬富士による元幕内・貴ノ岩への暴行事件が発覚し、日馬富士は責任を取って引退した。

伯乃富士

「その現場にいた一人が、伊勢ヶ濱親方でした。被害者だった貴ノ岩も翌年、付け人に暴力を振るったとして引退するなど、手を出せば取り返しのつかない結果を招くことは十分承知していたはず。だからこそ“なぜ?”との疑問が消えません」(前出の相撲記者)

建設費用20億円

 関係者から「親方としてあるまじき行為」と言われた行動の背景について、協会関係者はこう話す。

「伊勢ヶ濱部屋は墨田区にある5階建てマンションに居を構えていますが、両国に新しい部屋を造る計画が進行中です。建設費用20億円を超えるビッグプロジェクトであるにもかかわらず、当初の予定より大幅に遅れ、親方は焦りを募らせていました。そんな中、有力タニマチの離反を招きかねない軽率な振る舞いを弟子がするのを目にし、思わず自制心を失ってしまったのではないか」

 約430平方メートルある建設予定地の所有者と、昨年1月に借地契約を結んだのがB社だ。24年10月設立の同社代表を昨年11月まで務めたのは、8年前に親方と結婚したツェグメド・ドルジハンド夫人である。

「契約から1年以上もたつのに更地のままなのは、協会が計画に物言いをつけたからです。というのも、伊勢ヶ濱親方は予定地に6階程度の建物を建て、複数階にサウナや飲食店を入居させる構想を示した。しかし相撲部屋が商業施設を兼ねるなど前代未聞のことで、“部屋をビジネスに利用するとはもってのほかだ”と再考を求めたのです」(同)

 実際、B社の登記簿の目的欄には〈飲食店の経営〉や〈ショー及びイベントの企画〉などの項目が並び、部屋の運営以外にも手を広げようとしていたことは確かなようだ。

「親方の“銭ゲバ”ぶりに眉をひそめる向きも」

 とにもかくにも、伊勢ヶ濱親方はビジネスライクな人だという。

「昨年12月、伊勢ヶ濱部屋は弟子9人の改名を発表しましたが、うち8人が旧宮城野部屋から転籍した力士たちでした。改名によって〈富士〉の付く名前にさせたことで“部屋のブランド力が向上した”と評価する声がある一方、“弟子もビジネスの駒と考えている”などと陰口もたたかれました」(前出の協会関係者)

 角界最多となる力士31人、関取7人を抱える伊勢ヶ濱部屋を指して、「ドル箱」と評する声は多い。

「所属力士や関取の数が多いほど協会からの給付金や養成奨励金、後援会からの寄付金などが増えるためです。ただ力士だけでなく、部屋所属の呼び出しや行司にも個人後援会をつくらせようとするなど、親方の“銭ゲバ”ぶりに眉をひそめる向きも少なくありません」(同)

 伯乃富士も改名した一人。師匠だった元横綱・白鵬から授けられた四股名「伯桜鵬」に思い入れがあり、最後まで抵抗したといわれる。が、別の部屋関係者が言うには、

「改名以前から、宮城野部屋出身力士に対する伊勢ヶ濱親方の当たりは強かった。おまけにタニマチがひいきの関取を食事に誘おうとすると、“連れ出し代”として年間30万円を請求するなど、お金に非常にうるさかった。それら締め付けに伯乃富士らの不満が高まっていたところに“改名しろ”と言われたのです」

 後編では、伊勢ヶ濱親方への直撃の模様や、協会が処分の発表を先延ばしにする理由などについて詳しく報じる。

「週刊新潮」2026年3月12日号 掲載