「はい、アイスペースはこの間、不時着しましたが、頑張っています。日本橋に管制室がありますし、あとJAXAさんの1兆円基金の部署もわれわれのオフィスの中にあります。これから集積をして実行していこうと」と植田氏も語る。


 日本再生につなぐ半導体コミュニティづくり

 さらにもう1つ、産業コミュニティとして注力しているのが、半導体領域だ。半導体は、日本再生へ向けて、そのカギを握る重要な産業領域である。 「半導体はかつて(1980年代)、日本が世界を席巻していたわけですが、今はいろいろな変遷の中で、日本の地位は低下してしまった。

 しかし、IT(情報技術)、IoT(モノのインターネット)が言われて、今やAI(人工知能)の時代になって、いよいよ半導体というものが産業の米以上の意味を持ち始めてきました。そこで、当社も半導体を中心とした日本の産業の高まりをお手伝いしようということです」

 同社は、半導体の産業コミュニティとして、一般社団法人『RISE―A』を設立(2025年10月)。理事長には、名古屋大学教授を務め、2014年に青色LED開発でノーベル賞を受賞した天野浩氏(1960年生まれ)が就任した。

 「はい、天野先生に理事長になっていただきました。先生も非常にご理解されているのは、開発で大事なのは、つくる側とユーザーの連携だということ。つくる側とユーザー側の声というのはかなり分断していて、このつなぎが実は取れていないということです。

 これは非常に致命的な欠陥をもたらしている所があり、コミュニティをつくることによって、一体化していく必要があるという趣旨に非常に賛同していただきました。それでいよいよ活動を開始するという段階に来ました」

 かつて、半導体王国とされた日本がなぜ、半導体製造で衰退してしまったのか、〝反省と総括〟をしながら、日本の強みと課題とは何かの模索も続く。


 東北大学とも連携し、熊本でのTSMC事業にも参画

 今は、まさに時代の一大転換期。インターネット時代の黎明は1995年とされる。それから30年が経ち、生成AIが登場。人間の頭脳を上回るようになるシンギュラリティ(Singularity、技術的特異点)という言葉も飛び交う。

 そうした状況を、日本という国、日本の経済人はどう生き抜くかという命題。

 三井不動産が産業デベロッパーとして、3つの産業コミュニティをつくることになったきっかけは何だったのか? 「3つの産業コミュニティづくりにしても、その根底にあるのは、メイク・ジャパン・グレート・アゲイン(日本を再び強くする)というような思いです。

 1人当たりGDPで38位に落ちた日本をもう一度復活させようと。チャンスがまだ日本には残っているはずだということです。デフレの時代に、それまでの『垂直統合』の産業モデルが否定されて浮足立つ場面もありましたが、もう一度取り戻してやろうと。そういう時機に来ているのだと思います」(インタビュー欄参照)。

 半導体開発の拠点として活動してきた東北大学(冨永悌二総長)との連携も進む。

 また、熊本で進むTSMCを中核とした半導体の製造拠点づくり。同社もそうしたつながりがあって、熊本のプロジェクトに参画している。

 「われわれは2020年から熊本空港のコンセッション(運営委託)を引き受け、わたくしどもが筆頭になってコンソーシアムで運営しています。そういう意味では熊本ともいろいろご縁があったということですね」

 TSMCの本拠・台湾との関係構築も以前から進めていた。