今週のテーマは「40代の経営者男が20代の女に振られたワケは?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:3度目のデートで冷めたワケ。28歳女が45歳バツイチ経営者に抱いた「年の差」のリアル




六本木から自宅のある祐天寺へ向かうタクシーの帰り道、流れる景色を見ながら、私は車窓にコツン、と頭を傾けた。

「なんだろうなぁ…」

今日で三度目のデートだった健介。

港区だと知っている人は知っている経営者で、性格も良い。今乗っているタクシーも、ちゃんとアプリで手配してくれたので彼が清算済みだ。

でも、私はこの先どうしようか悩んでいる。

それには、二つの理由があった。

一つは、年齢差があると思う。彼は45歳で、私は28歳。年齢差は17個もあるけれど、40代なんてまだ若いし許容範囲内だ。

でも、やはり隠しきれない年齢を感じてしまったのと、もう一つ、決定的なことがあった。


A1:大人の余裕があると思ったから。


健介と出会ったのは、港区でも有名な経営者の誕生日会だった。

こういう誰か有名な経営者の誕生日会や、何かしらのパーティーは、「出会うチャンスだ」と思っている女子たちが、どこからともなく湧いてくる。

正直、私も若干のよこしまな気持ちはあった。

なぜなら、集まる男性陣は経営者ばかりだし、みんなリッチだ。女子はその隣にいられる座を虎視眈々と狙っている。

そんな表面的には笑顔だけれど、その下では熾烈な争いが繰り広げられる会で話しかけてきた一人が健介だった。

正確に言うと、健介と一緒にいた男性経営者が私の友人に声をかけてきたので、後半はずっと4人で話していた。

そして翌日、健介にお礼のLINEを送ると返事が来たので「食事へ行きませんか?」と積極的なメッセージを送り、めでたくデートをする運びとなった。

健介が予約をしてくれていたのは、デートの大正解とも言えるような西麻布の裏路地にある『蓮』だった。




気合を入れて、私はお店へと向かう。そして席へ着くなり、健介は「何でも注文して良いよ」と言ってくれるほど紳士的だった。

「何飲みます?お好きな物を」

しかも、かなり年下の私にも敬語だ。

「この前から思っていたんですけど…健介さんって、なんで私に敬語なんですか?」
「敬語のほうが楽だからかなぁ」
「私には、敬語なしでお願いします♡そして、シャンパン飲んでも良いですか?」
「うん、もちろん。好きな物を頼んで」

こういう大人の余裕は、本当に素敵だと思う。

華やぎ系レストランで“何でも良いよ”と言ってくれるのは嬉しいし、大人にしかできないスマートな言動だ。

しかも健介は、もっとグイグイ系の人かと思ったら物腰も柔らかく、性格まで良かった。

「じゃあ凛ちゃんは、今後起業したいの?」
「そうなんです。そのために、今は普通の会社員ですけどお金を貯めて、来年には起業したいなと思っています」

私の話にも、食事をしながら「うんうん」と聞いてくれる。




「すごいね。何系の会社をつくるのかな」
「美容とITを組み合わせたサービスです」
「そっか、応援してるよ」

― そこは何か、支援とかないのかな…?

そう欲をかいてしまうけれど、今日はまだ初回。最初から、そんなにうまくいくはずもない。それに健介と知り合えて、こうして仲良くなれるだけでも私にとっては嬉しいことだった。

「健介さんに話聞いてもらえて、良かったです!ありがとうございます」
「いえいえ」
「やっぱり、健介さんって大人の余裕があって素敵だなぁ」
「凛ちゃんは、同世代の人とかとは付き合わないの?」

正直、この質問を待っていた。健介は既婚者ではないはずだが、一応確認しておかなければいけない。

何よりも、この関係に先があるのかどうか、見極めが必要だ。

「元彼は同じ歳だったんですけど、子ども過ぎたというか、何というか…。自分が成長できない感じが嫌で、別れちゃいました」
「そうなんだ…大変だったね」
「健介さんは?今彼女とかいるんですか?」

だからさりげなく、恋愛の話に持っていってみる。

「僕?いないよ。バツイチだけど」
「そうなんですね!!お子様はいらっしゃるんですか?」
「一人いるけど、前妻のほうにいて。だから今はひとり暮らし」
「再婚願望とかあるんですか?」
「あるよ。素敵な人がいたらいいなぁと思ってる。凛ちゃんは?」
「私は、結婚願望しかありません(笑)」

バツイチなんて、どうでも良い。子どもがいても、どちらでも良い。

― せっかくのチャンス、頑張ってみようかな。

そう思ったので、タクシーで家の下まで送ってくれた健介に対し、二度目のデートの念押しをしっかりしてから別れた。

「すっごく楽しかったです!次のデートの日程、またLINEしますね」


A2:おしぼりで顔を拭いたこと、そして腰が重いことに年齢を感じた。


二度目のデートも楽しく終え、いよいよ三度目のデートがやってきた。

― 今日で三度目か…。

二度のデートを終え、かなり良いムードだし、健介も私のことを気に入っているのがわかる。だから、今日で事は動くと思っていた。

そう思っていたので、いつも以上に気合を入れて、健介が待つ、六本木の高級中華料理屋へと向かう。しかし道が混んでおり、少し遅れてしまった私。

「遅くなっちゃってすみません」

そう言いながら到着した時に、一瞬私は言葉を失ってしまった。




健介が、おしぼりで顔と首をゴシゴシと拭いていたからだ。

「全然。今来たことろだから」
「今日、暑いですよね」
「そうなんだよ。もちろんシャワーは浴びてきたんだけど、サウナ行ってきたから汗臭かったらごめんね」
「大丈夫ですよ」

これが蛙化現象なのだろうか。別に暑い日だし、冷たいおしぼりで顔を拭くのは良いと思う。

でもなぜか、その行為にとても“年齢”を感じ、急に現実に引き戻された気持ちになった。

― うわ…おじさんくさい。

そう思った。しかもスタートがそれだったせいか、会話すべてに強めの年齢差を感じてしまう。

「健介さんって代謝良いんですね」
「そうなんだよ。運動もよくしているから、汗かきやすくて」
「シュッとされているのに意外です。何の運動をされているんですか?」
「僕はジムを週に2、3回と。あとサウナかな。昨日も、ジムでこれくらい走ってきて」

そう言うと、次は自分が走ったランニングの記録を見せてきた健介。




走った記録を見せられて、どう反応すれば良いのだろう。彼がどれほど走ったかなどに、興味はない。

スタイルの良い女性が「ピラティス行ってきた♡」という投稿をしつつも、スタイルを見せつけているのと同じで、男性は強さの誇示なのだろうか。

「こんなに走ったんですか?すごい…」
「いやいや、そんなことないけど。凛ちゃんは?運動とかするの?」
「私はヨガ行くくらいですね。たま〜にゴルフとか」
「ゴルフね。でも今は、暑いでしょ?」
「はい。なので夏はやりません」

そして何より私が三度目のデートで「次はどうしようかな」と思ったのは、健介のこの態度にあった。

それは、仕事の話をしている時だった。

「凛ちゃんって、もっと派手なのかと思ったけど…意外だね。でもモテるでしょ?」
「どうでしょうね〜。でも早く結婚したいので、彼氏も絶賛募集中ですけど。本当に、健介さんって彼女いなんですか?」

私なりに、結構攻めている。初回も二度目も、私から誘っているし、何よりこうやって二人で食事へ行っている。

でも健介は私を口説くそぶりも、来る感じもまったくない。

「うん、前にも言ったけどいないよ」
「そっか。健介さんのほうこそモテそうですけどね」
「そんな事ないよ」

謙遜のし合いになって終わってしまい、そこから何も話が進まない。

要は、勢いがない。

たぶん、失敗したくないのだろう。それに“振り・振られ”など恋愛がもう面倒なのかもしれない。でも動かないと何も始まらないのに、その腰の重い雰囲気にも年齢を感じてしまった。

お店を出ると暑かったので、すぐにタクシーを手配してくれた健介。

「あっつ…凛ちゃん、タクシーだよね?」
「はい、タクシーで帰ります」
「じゃあ呼ぶからちょっと待っててね」

こういう気遣いは素晴らしいし、本当に大人の余裕だと思う。でもこの先のイメージが湧かず、どう出れば良いかもわからない。

― この先、どう進めればいいんだろう…。これ以上グイグイ行くと、逆に怖いって思われそうだし…。

人は、年齢を重ねれば重ねるほど慎重になるのかもしれない。

そう思うと私からのアプローチも考えものだ。結果として、若干面倒になってしまい、少し引くことにした。

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