@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

飛行場を活用した新たな研究センター

自動車試験機関である英国の非営利団体サッチャム・リサーチ(The Motor Insurance Repair Research Centreの通称)は、英ノッティンガムシャーに新設した研究センターでの業務を開始した。

【画像】中国車の安全性も以前より高まっている?【欧州に進出する中国EVブランドを写真で見る】 全68枚

このセンターは、既存の自動車メーカーが使用する約15台の車両プラットフォームに加え、今後数年のうちに新規メーカーが導入する30台近い車両プラットフォームに対応するために設けられた。2021年にサッチャムが購入したガムストン飛行場を拠点としている。


サッチャム・リサーチは英国保険協会が設立した団体で、特に安全性に関する自動車試験でよく知られている。

ガムストンは引き続き飛行場としても利用されているが(サッチャムは昨年、主要滑走路を改修した)、格納庫や関連建物内には新たに作業場とテスト施設が設置された。

「現在のチームは18人で、新施設にも慣れてきています。リース期間が満了したアッパー・ヘイフォードの旧テストセンターよりもはるかに良いですよ」と、ガムストンのチーフエンジニアであるベン・タウンゼント氏は述べている。

「わたし達はニューベリー本部で行われている作業をさらに拡大し、車両技術の研究と安全性テストにおける卓越したセンターになることを目指します」

安全技術を社会に受け入れてもらうために

40ヘクタールの敷地には新たに120平方メートルの舗装エリアを整備したほか、全長1.6kmの3車線道路があり、自動運転技術のテストなどに利用する。

一般道に通じるゲート1か所から出入りできるため、クローズドの試験環境から実世界の試験環境へと素早く切り替えられるのも利点だ。


2021年にサッチャムが購入し拠点を新設したガムストン飛行場

タウンゼント氏は、「ガムストンは非常に柔軟性が高く、ウェスト・ミッドランズのメーカーや大学、研究センターと、北部の日産自動車やそのサプライヤーの間に位置する立地です」と話す。

既存のニューベリー本部ではユーロNCAPの衝突試験、データ分析、車両修理の研究、技能訓練(毎年3500人以上の技術者が通う)を継続する一方で、ガムストンでは自動車メーカーと技術開発者、規制当局、保険会社の間のギャップを埋め、理解を深めることを目的とする。

「サッチャムはこれまで衝突安全性の向上に重点を置いてきましたが、これからは他の分野にも目を向けたいと考えています。例えば、一部の自動車メーカーが新しい運転支援技術を設計・搭載する際に、エンドユーザーのことをしっかり考慮していないことが明らかになりつつあるのです。もしユーザーが操作できなかったり操作に不満を感じたりすれば、技術の使用を止めてしまい、安全性が損なわれてしまいます。新しい技術を社会が受け入れるかどうかが鍵になるのです」

この点に関して、ガムストンは国際的な保証センターとなることを目指し、ユーザーが安心して使用できるよう、よりユーザーフレンドリーな技術を推進している。

「技術開発のスピードは速いので、より多くのテストを迅速に行う必要があります。保険会社や規制当局が理解できないからといって、技術を抑制してしまうようなことがあってはならないからです」

これからは自動車も救っていきたい

ガムストンでは、自動車のライフサイクルにも注力する予定だ。

「過去10年間、サッチャムはユーロNCAP試験プロトコルの開発を支援してきました。しかし、衝突安全性を向上させる際に問題となるのは、人を傷つけないことを忘れてしまうということです。例えば、低速度での衝突でクルマが廃車になるようなケースです」


運転支援システムなど新しい技術が次々と登場する中、自動車試験の重要性も高まっている。

「安全性だけでなく、自動車のライフサイクルにも目を向ける必要があるのです。例えば、事故後のEVのバッテリーがどの程度安全なのかを修理業者に知ってもらい、そのまま廃車にならないようにしなければなりません。これまでは人を救ってきましたが、これからは自動車も救いたいですね」

また、EVの衝突試験の強化も図る。

「EVのような重い自動車が、小型で軽い自動車にぶつかるとどうなるかを理解するために、膨大な量の作業が行われています。サッチャムはすでにニューベリーでこのような試験を行っていますが、もっと学んでいく必要があります」

タウンゼント氏はサッチャムの役割を、自動車メーカー、規制当局、保険会社からなる三角形の角をつなぐものであるとし、この三角形はますますグローバル化していると述べた。

「サッチャムは英国の保険会社のために活動していますが、英国で保険に加入できる自動車は、全世界で保険に加入できるものでなければなりません。もし、メーカーが自社製品を社会に受け入れられるものにしたいのであれば、わたし達のところに持ってくるべきです」