毎月19日に実施される「クッキー詰め放題」も見逃せない!

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お店から漂う、甘くて香ばしい匂いについ引き寄せられてしまう「ステラおばさんのクッキー」。自分用に買うのはもちろん、ちょっとした手土産や贈り物にも喜ばれる、アメリカンクッキー専門店だ。

【写真】「ステラおばさん」ことステラ・ダンクルさん。ブランド化のきっかけは甥っ子さん!

クッキーを食べて「おいしい!」とはなるものの、よく考えてみると、この“ステラおばさん”とは誰のことなのだろうか。そもそも実在するのか?そしてそのステラおばさんが、クッキーにどんな関係があるのか…。今まで考えてみたことはあるだろうか。

今回はそんなふとした疑問を解消すべく、「ステラおばさんのクッキー」を運営する株式会社アントステラの広報担当者に話を聞きながら、その秘密に迫ってみることにした。

■ステラおばさんの正体は?みんなに愛される幼稚園の先生!

ステラおばさんことステラ・ダンクルさん(以下、ステラおばさん)は、1908年生まれの実在した人物だ。アメリカ・ペンシルベニア州のダッチカントリーで幼稚園の先生をしていたそうだが、彼女は誰からも「先生」と呼ばれることはなく、「アントステラ(ステラおばさん)」と親しみを込めて呼ばれていたという。

「とても愉快な人で、イタズラをする子供のお尻を叩きながら、でも叩いた回数と同じだけ子供たちのためにクッキーを焼くような、そんな先生だったそうです。彼女の作る大きくて香ばしいクッキーはとても人気で、村主催のお菓子コンテストで優勝したこともあったようです」

そんなステラおばさんが作った風味豊かで素朴な味わいのクッキーは、彼女の甥・ジョセフ・リー・ダンクルによって“クッキー専門店”として姿を変えた。

「ジョセフはステラおばさんが大好きで、彼女の後ろを1日中ついて回っていた子だったようで、一緒にトマトを植えたり、ピクルスを作ったり、大好きなクッキーやケーキを焼いたりしたそうです。やがて成長したジョセフは、『ステラおばさんのクッキー』としてブランド化することを決意。そのことをステラおばさん本人に伝えると、とても喜んで賛成してくれたと言われています」

その際、ステラおばさんがジョセフに伝えた言葉は、今も企業理念として受け継がれているという。

「『いいかい。クッキーやケーキを作るときに1番大切なのは、オーブンの温度じゃないんだよ。それを誰かのために作ろうっていう気持ちなんだよ』。この言葉は、“ウォーム・ハート・コミュニケーション”という企業理念となり、最も大事なコンセプトです。私たち従業員は常にこの言葉を振り返りながら仕事をしています」

ステラおばさんはブランド化を志すジョセフに対し、数年間にわたってクッキーとケーキ作りの全てを伝えた。そして1982年、日本に上陸することに。

ステラおばさん本人はこの経緯をいたく喜んだというが、1988年の春、80歳でその生涯を閉じた。

■今も受け継がれる“手作り”へのこだわり

ステラおばさんの故郷、ペンシルバニア州のダッチカントリーには、聖書の教えに忠実に従って生きる「アーミッシュ」と呼ばれる人々が暮らしている。アーミッシュは、アメリカ移民当時のライフスタイルを今日も維持し、原則的には移民当時の農耕や牧畜といった自給自足で暮らしている。

アーミッシュの人々の暮らしぶりは、アメリカ人にとっては「心の故郷」とも言われ、何も飾らず、何もつけない、あるがままの暮らしという意味で「プレーン」とも表現される。これは彼女のクッキーの味わいにも大きな影響を与えている。

「手作り製法にこだわり、クッキーを焼く職人たちはその日の気温や湿度を見極め、生地一つひとつに愛情を込めて手作業で仕込んでいます。そうすることで生地にほどよい密度が生まれ、カリッとした食感とおいしさを最大限に引き出すことができるんです。また、バターの香りを閉じ込めるため、バターを包みこむように1枚1枚手で成型しています。そして熱風で焼き上げるタイプのコンベクションオーブンを使って余分な水分を飛ばし、香りを引き立たせることで甘く香ばしいクッキーに仕上げます。これらをもって、温かみのあるおいしさを維持しています」

ひと口、ふた口と噛むにつれて、小麦とバターの味わいや香りを堪能できるクッキー。店頭では100種類ほどのレシピから季節に合わせたクッキーを販売しており、1枚1枚に“ウォーム・ハート・コミュニケーション”が詰まっていると言って良いだろう。

■ステラおばさんの人柄のようなサービスと味わい

ステラおばさんのクッキーの店内では常時数多くのクッキーをラインナップしているが、豊富な種類を前にどれを選ぶか迷ってしまうこともある。そんな人に人気だったのが、昨年実施したクッキー詰め放題イベント。あまりの好評ぶりに、2023年からは毎月19日に定例で開催することになった。※開催店舗は公式サイトを確認。

このイベントは、量り売りのケースから客自身がトングを使用し、ジッパーが閉まるまでクッキーをどれだけ詰められるかをチャレンジするというもの。人気のチョコレートチップクッキー、季節限定クッキー、量り売りだけでしか展開しないコーンフレーククッキーなど、約3500円分以上のクッキーを参加費用1700円で詰め込めることができるという。

また、クッキーの「ク」と「9」をかけ、毎月9日・19日・29日はお客様感謝デーとし、量り売りクッキーをお得に購入できるイベントも実施。好みのクッキー10枚を540円で購入できるという。ステラおばさんの優しく楽しい人柄を、そのまま反映したかのようなこのイベント。開催店舗は公式サイトをチェック。

また、店舗では2023年1月9日(祝)から2月15日(水)までバレンタインデーフェアも開催し、期間限定のクッキーをアソートしたバレンタインデー用の「ハピネスシリーズ」というクッキーギフトも登場。540円から2160円までの4種類を展開する。ピンクを基調としたキュートなパッケージに詰められていることに加え、手頃な価格で購入できるので、パートナーはもちろん、日頃お世話になっている人、友人などに贈るのにもぴったりだ。

最後に広報担当者に、ステラおばさんのクッキーが目指すものを聞いた。

「これからも、ステラおばさんが残してくれた思いとレシピを大切に、多くの方に笑顔とおいしさをお届けできるよう努めていきます。今後も『ステラおばさんのクッキー』をご愛顧いただければ幸いです」

味わいはもちろん、クッキーを食べる人のシーン全体までを優しく包み込んでくれるステラおばさんのクッキー。ステラおばさんが残した「ウォーム・ハート・コミュニケーション」は、今日までしっかり受け継がれている。

取材・文=松田義人(deco)