ゴキブリスト・柳澤静磨に聞く「なぜGに興味を持つようになったのですか?」粋な<ゴキブリの捕まえ方>も伝授

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夏の風物詩(?)ともいえるゴキブリ。その姿はテカテカと黒光りし、大きな触角をなびかせながら素早く移動、予測できない動きをし、多くの人々のトラウマになりかねない。
漫画やアニメでは「G」と呼ばれ、最近のコンプライアンス事情でモザイク処理がかかることも...。その姿は、もはや人々の恐怖の対象となっている。

そんなゴキブリについて克明に書かれた書籍「ゴキブリ研究はじめました」(柳澤静磨著 イースト・プレス刊)が7月7日(木)に発売。著者で、現在「磐田市竜洋昆虫自然観察公園」に勤務する柳澤静磨さんは、35年ぶりに国内でゴキブリの新種を発見した"ゴキブリ研究者"だ。
本にはゴキブリ嫌いだった柳澤さんがゴキブリの道を歩み始めた経緯や、ゴキブリの都市伝説、新種発見、はたまたゴキブリの味まで、ゴキブリ奮闘記が実に淡々と描かれている。

今回「テレ東プラス」は、そんな柳澤さんにリモートインタビュー! 前編では、柳澤さんの幼少時代からゴキブリに興味を持つようになった経緯、ゴキブリの捕まえ方まで...話を聞いた!

▲柳澤静磨さん



昆虫館と合わせると120種類ぐらい...自宅だけでも数万匹はいると思います(笑)


――"ゴキブリスト"の異名を持つ柳澤さんですが、幼少期はどのようなお子様だったのでしょう。

「昔から虫をとっている子どもでした。当時は昆虫だけでなくカナヘビというトカゲを捕まえて生餌を与えたり、ダンゴムシを集めたり...。そこらへんにいる虫を捕まえては飼育し、観察するのが好きでした。両親もそんな僕の興味に対してとても寛大で、温かく見守ってくれていたなと感じます。小学生の時の夏休みの課題では、カブトムシやクワガタの標本を作って提出したこともあります」

▲幼少期の柳澤さん

――子どもの頃、虫とりにハマった人は多いと思いますが、柳澤さんは、思春期に入っても虫への興味はなくならなかったんですね?

「そうですね。中学では自然科学部に入り、そこでも3年間、ほぼ虫とりしかしていません(笑)。カミキリムシやチョウなど、小学生時代より少しマニアックな虫をとり始めたのがこの頃。当時の僕が一番好きな昆虫は、カミキリムシだったんですが、中でもヨコヤマヒゲナガカミキリという種類が大好きでした。。
カミキリムシは、夜、光に向かって飛んでくるという習性がありますが、高尾山に昆虫採集に行った際、自動販売機にとまっていたことがあって...。その時の光に照らされているヨコヤマヒゲナガカミキリがとても美しく、今でもその光景をはっきりと覚えています。

高校を卒業してからは、昆虫だけでなく、他の生き物についても学びたい、もう少し広い視野を持ちたいと思い、自然環境の勉強ができる専門学校に進学しました」

――そして現在は、「磐田市竜洋昆虫自然観察公園」の職員として働いていらっしゃいます。

「専門学校時代、ダラダラしていたので就活が遅れてしまって...。元々は環境調査会社(例えばダムなどを作る時、そこにどんな生き物がいるか調査する職)に就職しようと思っていました。でも、野外で働くのは大変だな、自分にできるかなと思ったので、他にできる仕事はないかと探し始めたんです。"水族館があるんだから、昆虫館とかあるのかな?"と思って探し始め、そこで『竜洋昆虫自然観察公園』を見つけました。ちょうど募集していたのですぐに電話をかけて面接していただき、後日昆虫採集をしている時、電話で採用通知がありました」

――その時は、まだゴキブリに魅せられていなかったんですよね?

「はい。ゴキブリはめちゃくちゃ嫌いでした。ゴキブリは昆虫というよりも"ゴキブリ"だと思っていましたね。皆さんが苦手なクロゴキブリやチャバネゴキブリは、僕も気持ち悪くて人一倍嫌いでしたし、見たくもなかった。触るなんてもってのほかだと思っていたんです」

――そんな柳澤さんがゴキブリに興味を持ったきっかけは?

「昆虫館に勤務し始めたのが2016年で、翌年の2017年、仕事の一環で西表島を訪れることになりました。目的は昆虫採取と写真撮影。そこでヒメマルゴキブリと出会ったのです。ヒメマルゴキブリはダンゴムシのように丸まるとしたゴキブリで、台所にいる素早くて黒々としたイメージのゴキブリではありませんでした。
この出会いを機に、“もしかしたら、ゴキブリにもいろいろな種類がいるんじゃないか、テカテカしたゴキブリだけじゃないんじゃないか”と思うようになったのです。そこから一気にゴキブリに興味を持つようになり、知れば知るほど面白くなっていきました。

ただ、以前ほどではないにしても、今も家に出るゴキブリは苦手です(笑)。さすがに悲鳴をあげることはありませんが、触ることは難しいですね。もしも家にゴキブリが出たら…何も言わず淡々と捕まえます」


――ゴキブリへの造詣が深い柳澤さん…家ではどのようにしてゴキブリを捕まえるのでしょう。

「ゴキブリといえば、殺虫剤を使う、新聞紙を丸めてたたくことが一般的だと思います。でも、僕は透明なカップを使います。カップをゴキブリに被せ、そこに紙を差し込んで逃げないようにし、ふたを閉めて捕まえます。ゴキブリや昆虫は、上に行こうとする習性があるので、容器の上に止まっている時を狙って、パッとふたを閉めるのがポイントです。
実は自宅でもゴキブリを飼っているので、殺虫剤を使うことができないんですよ。ゴキブリが死んでしまう可能性があるので…。新聞紙でたたいて中身が飛び散るのも嫌なので、容器を使って捕らえるのが一番です!」

――なんと! 家でもゴキブリを飼っているのですね。

「昆虫館と合わせると120種類ぐらい…。自宅だけでも数万匹はいると思います(笑)」

――ひーっ! 想像するだけでもう…(笑)。7月9日(土)午前11時半に公開する後編では、柳澤さんをさらに深掘り! ゴキブリにまつわるお仕事から都市伝説までを紹介する!


ゴキブリ研究はじめました」(柳澤静磨著 イースト・プレス刊)

【柳澤静磨 プロフィール】
1995年生まれ、東京都出身。幼いころから生き物が好きで、専門学校卒業後は静岡県の昆虫館・磐田市竜洋昆虫自然観察公園に入職。ゴキブリの魅力に気づいた後は同園で『ゴキブリ展』を企画・運営し、「GKB総選挙」などのユニークな催しで注目を集める。
2020年、所属する研究チームとともに、35年ぶりとなる日本産ゴキブリの新種・ウスオビルリゴキブリ、アカボシルリゴキブリの2種を発表。その後、ベニエリルリゴキブリ、イツツボシルリゴキブリ、アカズミゴキブリについても記載を行うなど、ゴキブリ研究を続けている。
企画展示、講演会、SNSやブログを通じ、ゴキブリの魅力、生物保全の重要性について発信を行っている。

(取材・文/今泉)